日ピストン Research Memo(10):市場環境の変化はあるがエンジン生き残りのシナリオも(2)
■日本ピストンリング<6461>の成長戦略
4. サステナビリティ経営
サステナビリティ経営については、社会に存在する様々な課題の中から優先して取り組むべき重要課題として、地球環境との共生(製品を通じた環境貢献、事業活動における環境貢献)、ステークホルダーとの共生(お客様満足度向上、従業員の安全と健康、ダイバーシティの実現)、持続的成長のための基盤醸成(人権尊重、コーポレート・ガバナンス、コンプライアンスの遵守)を特定し、サステナビリティ推進室(2021年10月設置)を中心に持続可能な社会の実現に向けた活動を展開している。
重要課題のうち「事業活動における環境貢献」としては、2024年3月期にCO2排出量25%削減(2014年3月期比)、2031年3月期CO2排出量46%削減(同)、2050年3月期頃にカーボンニュートラルの実現を目指している。これまで「革新的生産ライン」の導入、排熱再利用、照明のLED化、岩手県や栃木県の森林由来J-クレジットの活用などに取り組んでいる。また、2022年9月に子会社の日ピス岩手が、三井住友ファイナンス&リース(株)グループのSMFLみらいパートナーズ(株)と、PPA(Power Purchase Agreement=電力購入契約)モデルを導入するエネルギーサービス契約を締結(2023年10月導入開始予定で、年間1,000tのCO2削減見込み)したほか、タイの子会社SNPRにおいても太陽光発電設備を導入し、2023年7月より発電を開始している(年間294tのCO2削減見込み)。
「お客様満足度向上」としては、海外拠点や仕入先を含むサプライチェーン全体での品質向上活動の内容や不良率低減の実績が認められ、2023年3月には、トヨタ自動車より「品質管理優秀賞」を受賞した。2022年に続く2年連続の受賞となった。
「従業員の安全と健康」としては、経済産業省及び日本健康会議が主催する「健康経営優良法人認定制度」において「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」の認定(2020年から4年連続の認定)を受けた。また、「持続的な成長のための基盤醸成」の取り組みとして、グループ人権方針を制定したほか、2023年5月には、政府関係閣僚(内閣府、経産省、厚労省、国交省及び内閣官房副長官)と経団連会長、日商会頭、連合会長をメンバーとする「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」の趣旨に賛同し、「パートナーシップ構築宣言」を策定・公表した。
これらの取り組みが評価され、サステナビリティに関する国際的な評価機関である仏EcoVadisが実施した2023年サステナビリティ調査において、ブロンズ評価を獲得した。
このほか、2023年6月に、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、TCFD提言に基づき、気候変動がもたらすリスクと機会に関する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4項目について情報を開示した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
《YI》
提供:フィスコ