サインポスト Research Memo(6):2023年2月期は大幅増収で損失縮小
■業績動向
1. 2023年2月期の業績(非連結)概要
サインポスト<3996>の2023年2月期の業績(非連結)は、売上高が2022年2月期比21.5%増の2,574百万円、営業利益が110百万円の損失(2022年2月期は378百万円の損失)、経常利益が119百万円の損失(同382百万円の損失)、当期純利益が132百万円の損失(同291百万円の損失)だった。前回予想(2023年1月13日付で下方修正、売上高2,580百万円、営業利益90百万円の損失、経常利益99百万円の損失、当期純利益112百万円の損失)を下回ったものの、前期比ではコンサルティング事業が牽引して大幅増収となり、販管費抑制なども寄与して営業・経常・当期純利益の損失が縮小した。売上総利益は同18.7%増加し、売上総利益率は27.2%で同0.6ポイント低下した。販管費は16.3%減少し、販管費比率は31.5%で同14.2ポイント低下した。なお特別利益では前期計上の関係会社株式売却益232百万円が剥落した。
コンサルティング事業が牽引
2. セグメント別の動向
セグメント別(2023年2月期第1四半期よりセグメント区分を変更、従来のソリューション事業の中核部門をコンサルティング事業に統合、DX・地方共創事業を新設)の売上高、営業利益は以下のとおりである。
コンサルティング事業は売上高が2022年2月期比17.3%増の2,466百万円で、営業利益(全社費用等調整前)が同38.0%増の390百万円だった。前期に新規顧客から受注した支援業務が通期で貢献したほか、既存得意先の基幹システム更改・統合のプロジェクトマネジメント支援なども堅調だった。また、デジタルバンクや投資運用会社の開業支援などの新分野への展開、金融関係以外の得意先拡大も寄与した。地方自治体・公共団体等のITシステムに係る支援業務も堅調だった。
イノベーション事業は売上高が同475.6%増の93百万円で、営業利益が206百万円の損失(同328百万円の損失)だった。書店向けセルフレジ「ワンダーレジ-BOOK」やPOS機能付コンパクトセルフレジ「EZレジ」の導入が進展したほか、新規顧客からの店舗ソリューション開発を受託した。また、TTGにおいて無人決済システムの設置が増加したことに伴いロイヤリティ収入が増加した。利益面では、棚卸資産評価損を計上したが、増収効果などで吸収して営業損失が縮小した。
DX・地方共創事業(2022年3月開始)は、売上高が14百万円で営業利益が63百万円の損失だった。地域経済の持続可能性を高めることを目的として、自社のDX技術やオープンイノベーションを活用して新しいビジネスの構築に取り組んでいる。当期は、BtoB向けオンラインマーケットプレイスへの決済機能導入に係るコンサルティングサービス、食品ロスを低減する製品を提供した。
財務の健全性に大きな懸念点はない
3. 財務の状況
財務面で見ると、2023年2月期末の資産合計は2022年2月期末との比較で95百万円増加して2,395百万円、負債合計は同218百万円増加して979百万円、純資産合計は同122百万円減少して1,416百万円となった。社債300百万円を発行したことにより負債が増加し、当期純損失を計上したため利益剰余金が減少した。この結果、自己資本比率は同7.8ポイント低下して59.1%となった。また2021年2月期から営業活動によるキャッシュ・フローのマイナスが続いている。
これに対して同社は、2024年2月期の事業計画で予定している経常支出、借入金返済、投資資金は十分に確保しており、経営環境が急変した場合に必要となる支出にも十分対応できる手元流動性を確保している。弊社では、財務の健全性について特に大きな懸念点はないと考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
《SI》
提供:フィスコ