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6070 キャリアリンク

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時価総額 319億円
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キャリアリンク Research Memo(6):地方自治体向け案件の受注拡大により2024年3月期も2ケタ増収見通し


■今後の見通し

1. 2024年3月期の業績見通し
キャリアリンク<6070>の2024年3月期の連結業績は、売上高で前期比18.7%増の62,365百万円、営業利益で同7.9%減の7,010百万円、経常利益で同8.4%減の7,007百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同16.0%減の4,799百万円と増収減益で計画している。

売上高は地方自治体の新規取引先の拡大及び既存取引先での受注量のシェア拡大、並びにBPO事業者等からの受注量拡大により2ケタ増収が続く見通し。一方、利益面では、スタッフ登録者募集費の増加や中核人材社員の増強、システム開発費の増加を見込んでいることや、採算が相対的に高いスポット案件については受注確定済みの案件以外は計画に織り込んでいないことから減益計画となっている。前期はBPO関連部門のうちスポット案件の比率が約27%と例年よりも高水準だったこともあり、利益率の押し下げ要因となる。直近は会社計画に対してスポット案件が増加したこと等により業績の上方修正を続けてきたことから、今回も会社計画は保守的に立てているものと思われる。

なお、親会社株主に帰属する当期純利益の減益率が経常利益よりも大きくなっているが、これは前期に賃上げ促進税制の適用による税額控除を受けた反動によるものだ。

事業別の売上見通しでは、事務系人材サービスが前期比17.7%増の55,030百万円となる見通し。中途採用で増強してきた中核人材(前期末で338名)を、受注推進及び請負業務運用に重点配置し、未取引の地方自治体からの受注獲得、既存取引先の地方自治体からの受注シェア拡大、BPO事業者等からの受注拡大を図っていく。受注案件としては前期に引き続き、マイナンバー関連業務や各種給付金・交付金等業務、窓口・総務関連業務、法施行・改正関連業務、福利厚生関連の相談センター業務を中心にその他新規業務も取り込むことで2ケタ成長を目指す。

拠点展開については、2023年4月に大阪支店及び横浜営業所を移転・増床したほか、同年6月に熊本にBPOセンターを開設し、仙台支店を移転・増床した。今後も需要に応じた拠点整備を検討することとしているため、引き続き商圏拡大が見込まれる。

製造系人材サービスについても前期比28.6%増の7,050百万円と高成長が続く見通し。今期は関西エリアでも新規営業拠点を開設していく予定で、既存取引先からの受注拡大に加えて新規取引先の開拓を推進していく。特に、外国籍の方の入国規制が解除されたことで、外国籍留学生スタッフ等を活用した派遣案件の拡大が見込まれる。


膨大な公共BPO案件を開拓、2026年3月期に売上高800億円、営業利益90億円超えを目指す
2. 中期利益計画
同社は毎年3ヶ年の中期経営計画を策定している。2023年5月に発表した中期利益計画では、2026年3月期に売上高80,335百万円、営業利益9,384百万円、経常利益9,381百万円、親会社株主に帰属する当期純利益6,396百万円を目標に掲げた。3年間の年平均成長率は売上高で15.2%、営業利益で7.2%となる。営業利益に関しては前述のとおり、2024年3月期に一旦減益を見込んでいるため、低くなっているが2025年3月期以降の2年間で見れば15.7%成長と2ケタ増収増益が続く計画となっている。成長ドライバーは地方自治体向けBPOサービスとなり、積極的な拠点展開により取引先地方自治体数の拡大と、1取引先当たりの複数案件受注による受注高の拡大により高成長を実現していく戦略だ。また、製造系人材サービス事業においても同様の戦略により、年率22.4%の売上成長を目指す。

事務系人材サービスのなかでも中心となるBPO関連部門の売上高成長イメージについて、会社側では明らかにしている。全体では2024年3月期の計画41,960百万円から2026年3月期は52,950百万円に拡大し、このうち地方自治体向けを27,690百万円から42,410百万円に拡大していく格好となる。単年度ベースの取引先自治体数は2024年3月期の84件から2026年3月期は101まで拡大し、また1自治体当たりの受注案件数を1.3倍から2.5倍に増やしていく。1自治体当たりの受注件数については前期実績でも増加しており、今後も高品質なサービスを提供することで受注案件数の増加は可能と見ている。一方で、広域展開を積極化するため取引先自治体数の規模も中小規模の地方自治体の増加が見込まれることから、平均受注単価は2024年3月期の246百万円から2026年3月期は170百万円に低下することを前提としている。受注単価については業務内容や地方自治体の規模によって様々である。1地方自治体当たりの平均売上高で見ると2024年3月期の330百万円から2026年3月期は420百万円に上昇することになる。このため、取引先地方自治体数をどれだけ獲得できるか、また1地方自治体当たりの受注件数を増やしていくことができるかが売上成長の鍵を握ることになりそうだ。なお、今回の計画ではスポット案件については織り込んでいないため、スポット案件の受注状況によっては売上高が上振れする可能性もある。

公共分野においてBPO案件となる業務は多岐にわたっており、同社は豊富な運用実績を持つマイナンバー関連業務や給付金業務、窓口業務等を軸に新規取引先からの受注を獲得し、その他の業務についても受注を推進していく。また、単独受注だけでなく各テーマに対するリーディングカンパニーとのアライアンス先を拡充していくことでも受注を拡大していく。協業やJV等で現在36社との取引実績があり、これら取引先と連携しながら公共分野の膨大なBPO需要を取り込んでいく方針だ。マイナンバーカードの交付手続き業務はピークを打つが、それ以降も更新手続きや健康保険証、運転免許証との一体化など付随する業務が増えてくるため関連業務は継続する見通しだ。2024年度以降は子育て支援策の拡充など様々な施策の導入も見込まれており、今後数年間はBPO関連の事業規模を拡大する好機になると弊社では見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SI》

 提供:フィスコ

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