三和HD Research Memo(4):2023年3月期決算は、売上、利益ともに修正予想を超過し、過去最高を記録
■三和ホールディングス<5929>の業績の動向
1. 2023年3月期決算の概要
2023年3月期の同社グループを取り巻く外部環境は、原材料価格の高騰、インフレーションの進行を背景とした各国での政策金利の上昇、ウクライナ情勢の長期化によるエネルギー価格の高騰、急速な為替変動等、不安定な状況が続いた。一方で、コロナ禍からの回復に伴い、各国での経済活動の正常化が進み、景気は緩やかに回復が続いた。
こうした環境下で、同社グループは、2023年3月期より、長期経営ビジョン「三和グローバルビジョン2030」および「中期経営計画2024」をスタートさせ、気候変動やデジタル化で変化する社会のニーズに応える高機能開口部ソリューションのグローバルリーダーへ向けた基盤の確立に取り組んだ(取り組みの詳細は後述)。
以上の結果、同社の2023年3月期決算は、売上高588,159百万円(前期比25.4%増)、営業利益56,307百万円(同58.7%増)、経常利益52,780百万円(同54.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益33,084百万円(同44.8%増)と、大幅な増収増益の好決算であった。2023年1月に発表した修正予想比では、売上高は2.3%、営業利益も4.3%超過して着地するなど、売上高、利益ともに過去最高を記録した。売上高は、米国を中心に売価転嫁が浸透したことに加えて、全セクターで数量増となり、大幅増収となった。営業利益では、主材料に加え、各種部材、エネルギー等の価格上昇分に対応した売価転嫁が広く浸透し、数量効果や為替影響もあって、大幅増益を記録した。営業利益や経常利益の前期比増加率に比べて、親会社株主に帰属する当期純利益の増加率がやや低いのは、特別損失として固定資産減損損失など3,900百万円を計上したためだ。
2022年3月期決算発表時の2023年3月期予想では、インフレーションの加速と利上げ、サプライチェーンの混乱等による影響に加え、中国でのロックダウンやウクライナ情勢の今後の展開により景気が下振れするリスク等の先行き不透明感を考えて、慎重な業績予想を発表していた。しかし、米国事業において想定以上に売価転嫁が浸透したことから、2023年3月期第3四半期決算発表時に業績予想を上方修正したが、2023年3月期決算は上方修正後の数字をさらに上回る良好な結果であった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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提供:フィスコ