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5133 テリロジHD

東証S
326円
前日比
+3
+0.93%
PTS
327.1円
14:16 05/24
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
20.4 2.11 1.53
時価総額 55.8億円
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テリロジーHD Research Memo(1):産業や社会のDX化に貢献するテクノロジー企業グループ


■要約

テリロジーホールディングス<5133>は、(株)テリロジーが2022年11月1日付で単独株式移転の方式により設立した持株会社である。経営理念に「デジタル社会の変化に自ら対応・進化し、お客様が欲する最適・的確なソリューションとサービスを提供し続けられるテクノロジーオーガナイズ企業グループを目指します。」を掲げ、IPネットワーク関連やネットワークセキュリティ関連を中心にITソリューション&サービス事業を展開している。産業や社会のDX化に貢献するテクノロジー企業グループである。

1. セキュリティ部門とソリューションサービス部門が拡大基調
同社は事業区分を、ネットワーク製品販売などを展開するネットワーク部門、ネットワークセキュリティ製品販売などを展開するセキュリティ部門、テリロジーグループ開発製品によるパケット分析(THX)やクラウド性能監視サービス(CloudTriage)などを展開するモニタリング部門、テリロジーグループ開発ソフトウェアのRPA(Robotic Process Automation)ツール(EzAvater)や多言語リアルタイム映像通訳サービス(みえる通訳)などを展開するソリューションサービス部門としている。なお2024年3月期よりモニタリング部門の売上をネットワーク部門及びセキュリティ部門に組み替える。ネットワーク部門は大型案件などで売上高が変動する可能性があり、2021年3月期にはIPアドレス管理サーバの新モデルへのリプレース需要により売上高が急拡大する局面があった。セキュリティ部門は2019年3月期を起点とすると2023年3月期まで73.1%成長、ソリューションサービス部門は同じく130.4%成長と拡大基調である。

2. 「目利き力と市場対応力」がコアコンピタンス
創業以来30年以上に及ぶ豊富な実績とノウハウの蓄積、時代の流れを的確に捉える市場対応力、海外新興IT先端企業を発掘する目利き力などに加え、輸入技術とテリロジーグループ独自技術を組み合わせて顧客ニーズに最も適したソリューションを提供できることなどを強みとしている。同社グループのビジネスモデルの特色・強みの一つとして、「顧客重視」の企業理念を実践するために必要なバリューチェーンを構築していることが挙げられる。そして企業理念を実践する事業バリューチェーンのベースにあるのは、(1)目利き力と市場対応力、(2)ソリューションラインナップ、(3)サービス提供の多様性、(4)実績に裏打ちされた技術力、(5)グローバル対応力などである。すなわち、海外企業の注目すべき技術トレンド・最先端技術を明確に捉えて、導入・普及させる「目利き力と市場対応力」がコアコンピタンスとなっている。

3. 2023年3月期は円安の影響や一時的費用発生などで大幅減益
2023年3月期の連結業績は、売上高が5,676百万円、営業利益が115百万円、経常利益が127百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が46百万円だった。2022年3月期のテリロジーの連結業績との単純比較で見ると、売上高は8.7%増収、営業利益は74.0%減益、経常利益は71.0%減益、親会社株主に帰属する当期純利益が83.1%減益だった。売上面は全体として増収と順調だった。セキュリティ部門とソリューションサービス部門の高成長が牽引した。ただし利益面は大幅減益だった。為替の急激な円安進行の影響で売上総利益率が低下し、事業拡大に向けた人的資本増強に伴って人件費などが増加した。さらに、M&A・アライアンスに係る費用20百万円の計上や、譲渡制限付株式の精算など組織再編に伴う諸費用として46百万円計上という一時的費用も影響した。

4. 2024年3月期は需要が高水準に推移して大幅増益予想
2024年3月期の連結業績予想は、売上高が前期比11.8%増の6,345百万円、営業利益が同107.9%増の240百万円、経常利益が同88.6%増の240百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同261.2%増の168百万円としている。売上面は需要が高水準に推移して2桁増収の計画としている。利益面は、継続的な人的資本投資に伴って人件費が増加するが、増収効果、為替の円安進行一服による売上総利益率低下要因の緩和、価格改定効果に加え、前期計上した一時的費用の一巡なども寄与して大幅増益予想としている。為替の前提は1米ドル=140.00円で、価格改定は10%程度の値上げを推進する方針としている。弊社では、セキュリティ関連の事業環境は良好であり、為替が同社前提よりも円高方向に傾く可能性や、価格改定が順調に進展する可能性なども考慮すれば、同社予想に上振れ余地があるだろうと考えている。

5. 新3ヶ年中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)
同社は、新たに「テリロジーグループ新3ヵ年中期経営計画」(2024年3月期~2026年3月期、毎年改定を行うローリング方式)を策定し、目標数値には2024年3月期売上高63億円、営業利益2.4億円、2025年3月期売上高72億円、営業利益3.3億円、2026年3月期売上高82億円、営業利益5.3億円を掲げた。中長期的にはグループ売上高100億円を目指すとしている。目標達成に向けての基本戦略・重要施策におけるキーメッセージとしては、(1)グループ連携によるストック型事業モデルへの強化・人材育成、(2)グループ・ポートフォリオ事業の更なる拡充・拡大、(3)グローバルな事業展開を掲げている。そして、事業展開を加速させるための従業員エンゲージメント向上への取り組みとして、2023年4月より従業員の賃金を6%引き上げ、さらに従業員持株会の奨励金付与率を従来の7%から20%に引き上げた。

6. 弊社の視点
同社グループは、これまで「目利き力と市場対応力」をコアコンピタンスとして、海外先端技術の日本市場への導入・普及に豊富な実績を持っている。ただし過去の業績推移をみると、売上面はM&Aも寄与して拡大基調であるものの、利益面は前々期及び前期に収益認識基準適用、サブスク型への転換期、特需の反動、先行投資段階の子会社の新規連結、為替の円安、一時的費用の発生などの影響を受けたことを考慮しても、持続的な利益成長・利益率向上という点で物足りないという印象が否めない。投資家の関心が利益成長期待にあることを勘案すれば、持続的利益成長・利益率向上への取組が同社グループの課題と考えられる。今回の新中期経営計画では、M&A・アライアンスも活用した新技術・新規領域への展開加速など、事業ポートフォリオの拡充やストック型ビジネスモデルへの転換という方向性とともに、事業展開加速に向けた人的資本投資強化による従業員エンゲージメント向上やM&A戦略の基準明確化など意欲的な戦略を打ち出した。この点については、中長期的に売上高100億円を目指す戦略として一定の評価ができるだろうと弊社では考えている。さらに加えれば、DXの進展とともにセキュリティニーズが高まるなど同社グループを取り巻く事業環境は良好であるだけに、単なる売上拡大戦略にとどまらず、持続的利益成長・利益率向上への施策(為替変動リスク低減策、ストック収益拡大策、売上構成変化策、部門別戦略など)や、新たな成長ドライバーとなる製品・サービスなどが、より具体的に示されれば、同社グループの成長シナリオに対する投資家の関心度も一段と高まってくるだろうと弊社では考えている。

■Key Points
・産業や社会のDX化に貢献するテクノロジー企業グループ
・2023年3月期は円安の影響や一時的費用発生などで大幅減益
・2024年3月期は需要が高水準に推移して大幅増益予想
・持続的利益成長・利益率向上への取組施策や新たな成長ドライバーに期待

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

《YI》

 提供:フィスコ

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