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4177 i-plug

東証G
1,549円
前日比
-97
-5.89%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
15.1 7.83
時価総額 61.2億円
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iーplug Research Memo(7):成長重視ばかりでなく投資効率も重視へ


■i-plug<4177>の業績動向

2. 業績未達への対策
前述したように、2023年3月期業績が未達になったことに課題が残った。2023年3月期に実行した基本戦略は、新卒のミスマッチ解消に向けた「OfferBox」の更なる成長により売上高が前期比23.0%伸び、早期定額型の受注も前期比38.6%増となるなど成果もあったが、成功報酬型の伸びが鈍化したことや就活の早期化への対応といった想定外の課題も残った。“HRtech×People Analytics”領域における新規事業投資の加速では、「PaceBox」や新卒紹介事業の「OfferBox+」の開始といった成果はあったが、「PaceBox」の立ち上げが遅れたことは想定外だった。エコシステム構築に向けた規律あるM&Aの実行では、ソーシング体制の構築やマキシマイズのグループイン、会員制ラウンジ事業などの譲受といった成果があった。シナジーの創出や会員制ラウンジ事業のコスト効率改善といった課題はあるが、これは織り込み済みで、将来の見通しもある程度立っている状況と言えよう。

業績未達のなかで早急に対策を打つ必要のある重要な課題が、成功報酬型の伸び鈍化と、「PaceBox」立ち上げの遅れである。成功報酬型の伸び鈍化に関しては、「OfferBox」の2023年3月期の売上高が期初予想の39億円から着地33.7億円と未達になった主因となっている。企業がダイレクトリクルーティングを積極的に増やしたにもかかわらず、想定ほどに入社合意枠を超過して成功報酬に至らなかったのだが、これにはシステム面や、直接会う機会が少なくなることによる企業と求職者の関係性の希薄化、早期定額型でカバーできなかったことといった問題が関わっている(営業のスキルアップにより結果的に適正な入社合意枠を提案したという要因も考えられる)。

同社は業績のため決定人数を増やす必要があるが、求職者数の母数が大きくなるにつれ、企業の承認する求職者に偏りが生じるようになったようだ。これは適切に求職者を配分できるよう分散の仕方を中心にシステム面の改修で対応可能だが、アルゴリズムやUI、施策など諸々の改修が必要となるため、改善するには2024年3月期いっぱいかかる見通しである(徐々に改善していくことになると思われる)。早期定額型でのカバーに関しては、期初早期定額型の枠を拡げて超過分を成功報酬型として確保するはずだったが、営業のスキルアップにより最適人数を提案したことで早期定額型の枠が拡がり早期定額型の売上は増えたが、アグレッシブに過ぎた予算だったため決定人数が低くなってしまったのである。対策は、ひとえに前提を保守的にすることだろう。なお、決定人数を増やすには企業と求職者の関係性を濃くすることが有効なため、食品企業向けセミナーの開催など就職イベント事業や、全国有名大学近隣に11店を展開する会員制ラウンジ事業を開始するなど、企業と求職者が直接リアルで会う機会を増やしたが、これらの事業はM&A前から既に実績もあり、「OfferBox」のオプションとして人気となりそうだ。これは規律あるM&Aの成果といえる。

「PaceBox」も売上高1.4億円、営業損失4.6億円という期初予想に対して、実績が売上高0.1億円、営業損失5.6億円と未達になった。垂直立ち上げを目指し、採用や求職者の登録のためプロモーション費用を積極的に投下したが、企業や求職者の登録は想定通りだったものの、決定人数が想定を大きく下回ってしまったのである。これは、体制構築が遅れたことでマッチングが進まず、機会ロスが発生したことが要因である。対策として人員を増強しているが、足元でおおむね体制が整ってきたため攻勢を強めているところである。

このように諸々課題はあったが、全体的なものとしては、これまで成長のみを重視してきたため過大な計画を立てることが多かったが、これに対しては、まず予算を保守的にする、そして投資もROEなどに注目して投資効率も重視すると考え方を変えたようで、たとえば短期垂直立ち上げを目指してコストを投下した「PaceBox」であれば、リスクを考慮して必要な投資に限定し、緩やかな立ち上げにより着実な収益化を目指していくことになる。非常に評価のできる対応と言えよう。一方、引き続き強い成長を見せている新卒のダイレクトリクルーティング市場では、これも投資効率に注目するが、しっかりと投資を継続していく方針である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《SI》

 提供:フィスコ

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