フェローテク Research Memo(7):営業利益は前期比7.3%減予想 石英坩堝、パワー半導体基板は続伸を見込む
■今後の見通し
1. 2024年3月期の業績見通し
フェローテックホールディングス<6890>の2024年3月期の業績は、売上高220,000百万円(前期比4.4%増)、営業利益32,500百万円(同7.3%減)、経常利益は30,000百万円(同29.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は18,000百万円(同39.4%減)を見込んでいる。
世界的に半導体業界が調整期にあることから、半導体等装置関連の主な製品は減収を予想している。ただし、太陽光発電向け大口経シリコン用に需要が期待できる石英坩堝と、引き続き高い需要が見込まれるパワー半導体基板は大幅増収を予想しており、半導体等装置関連の減収を補う計画だ。売上高の増加が小幅に止まることに加え、減価償却費が大幅増となることから営業利益は減益予想となっている。また営業外損益においては、前期のような為替差益等を見込まないことから、経常利益の減益幅は営業利益より大きくなる見込みだ。さらに特別損益でも、特別利益等は発生しない予想であることから、親会社株主に帰属する当期純利益の減益幅はさらに大きくなる予想である。
設備投資額は96,900百万円(前期比54.6%増)、減価償却費も17,400百万円(前期12,618百万円)と大幅増の予定。為替レートは、米ドル130.00円(前期132.08円)、人民元19.00円(同19.50円)の前提。
セグメント別売上高は、半導体等装置関連が前期比5.4%減、電子デバイスが同33.4%増、その他が同5.4%減を予想している。
2. セグメント別見通し
セグメント別売上高、サブセグメント別売上高の予想は以下のとおり。
(1) 真空シール・金属加工、ウエーハ加工・再生ウエーハ
半導体市況の悪化を受け、半導体製造装置向け金属加工の需要が減少、真空シール・金属加工の売上高は25,250百万円(前期比9.7%減)と減収予想。
ウエーハ加工の売上高も半導体市況の悪化を受け縮小する見込みだが、再生ウエーハの売上高は1,620百万円(同7.9%増)と予想している。再生ウエーハ事業は、今期中に黒字化を目指す。
(2) 半導体マテリアル、洗浄事業
市況悪化を受けた顧客の在庫調整等の影響により、石英製品の売上高は22,420百万円(同22.3%減)を、シリコンパーツの売上高は14,840百万円(同15.4%減)を見込む。セラミックスは、半導体設備投資の減少や顧客の在庫調整の影響で、売上高は20,680百万円(同24.0%減)を見込む。CVD-SiCは、顧客からの需要は底堅く、能力を増強した岡山工場の増産により、売上高は6,450百万円(同34.0%増)の見込み。装置部品洗浄は、半導体市況の低迷を受けて需要は減少する見通しで、売上高は11,560百万円(同5.0%減)を見込む。石英坩堝は、太陽光発電向け大口径シリコン用の需要が高まっており、売上高は16,000百万円(同311.2%増)と大幅増が見込まれている。特に下半期にかけて大きく伸びる予想である。
(3) サーモモジュール
前期まで好調だった5G通信システム機器向け及びPCR検査機など医療検査機器向けの需要低減が予想され、売上高は21,360百万円(同8.2%減)を見込む。
(4) パワー半導体基板
産業機器・民生品向けDCB基板の需要はさらに拡大する予想となっており、生産能力の増強継続により、売上は大幅増を見込む。一方で、自動車・EV向けAMB基板も成長が継続する見込みであることから、売上高は36,010百万円(同80.0%増)と大幅増予想となっている。
新株予約権付社債発行で250億円を調達
3. 設備投資額と減価償却費の見通し
設備投資額は96,900百万円(前期比54.6%増)と引き続き高水準の投資を計画している。主な投資内容はマレーシア(セラミックス、石英製品、金属加工等)、常山(シリコンパーツ等)、四川(パワー半導体基板)など。これに伴い、減価償却費も17,400百万円(前期12,618百万円)と大幅増の予定。
また同社は、上記の設備投資に充当する目的で、2028年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債(社債の総(2023/6/7リリース)額250億円、2023年6月23日払い込み、転換価額4,020円)の発行を決議した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
《SI》
提供:フィスコ