高島 Research Memo(3):省エネ化、省力化で顧客に貢献する「サステナの先進商社」(2)
■高島<8007>の会社概要
(2) 産業資材セグメント
売上高構成比は22.2%(2023年3月期)と建材セグメントに次ぐ。「樹脂ソリューション」「車輌ソリューション」「繊維ソリューション」「機能ソリューション」の4分野で構成されており、バリューチェーンの企画・設計から施工、サポートまで幅広い範囲にわたって顧客に価値を提供している。顧客は多岐にわたり、アパレル分野では国内の大手小売企業に対してOEM商品の提案を行う。樹脂部材分野では、同社グループで緩衝設計した物流用資材を自動車メーカーや電機メーカーに提供している。また、車輌部材分野では、同社協力工場で製造する鉄道車輌部材を鉄道車輌製造メーカーに提供している。同事業で扱っているシートハウスは、グループ協業の好例である。鉄骨と膜材を組み合わせたテント倉庫の設計から施工まで請け負い、グループ企業が加工機能を提供している。グループ間連携により価値機能を拡充するとともに、シートハウスの提供により顧客の省エネ化に貢献している。
a) 樹脂ソリューション
合成樹脂から環境配慮型の樹脂まで多様な原料や製品を取り揃えているだけでなく、設計、組立、複合加工などの機能も提供し、顧客の多様なニーズに応えている。
b) 車輌ソリューション
国内外の鉄道事業者及び鉄道車輌製造事業者向けに、鉄道車輌向け内外装部材を省エネ化・省力化をキーワードにしたソリューションとして提供することで、顧客の脱炭素に向けた取り組みに貢献している。
c) 繊維ソリューション
多様化するニーズに応えるために、最適な素材を効率的な加工によって必要なところに提供している。加工・物流の効率化、検査・技術指導の徹底により、顧客に安心で満足できる製品を提供している。
d) 機能ソリューション
国内外から高い機能性を持った素材・製品の調達と、それらの特殊加工などによるソリューションを提供している。商業施設、オフィスビル、工場、倉庫などの効率的な配置設計を通じて顧客の省エネ・省コストに貢献している。
(3) 電子・デバイスセグメント
売上高構成比は21.7%(2023年3月期)となっている。香港にヘッドクォーターを構えるiTak (International) Limitedを中心とするiTakグループとして、顧客ニーズに沿った電子部品を、アジア中心に事業展開するメーカーより調達し販売する「電子部品販売ビジネス」、iTakグループ自らがメーカーとしてそれらの電子部品を搭載した基板実装(EMS)を行う「製造受託ビジネス」を展開している。国内外に事業所7拠点(駐在事務所除く)、自社工場2ヶ所(タイ・ベトナム)を構え、顧客のビジネスをグローバルにサポートしている。「サステナV」では、タイ及びベトナムの自社工場に投資を実行し、チャイナプラスワンとして製造拠点を探している顧客のニーズに対応する方針を掲げている。
a) エレクトロニックコンポーネンツ部門
コンシューマー製品から車載用機器、産業用機器に至るまで幅広い用途の液晶ディスプレイの製造販売、及び音響部品の販売を行い、顧客に多岐にわたる価値を提供している。
b) 電子部品・半導体
パワーエレクトロニクス関連部品を中心に技術・品質・供給能力に優れたアジアメーカーを厳選し、提案している。トランスフォーマー、チョークコイルはタイの自社工場でカスタム対応し、顧客に提供している。
c) 白物家電向け基板実装部門
2017年に設立した自社工場であるタイのチョンブリ工場、及びタイ、中国の現地協力工場を活用し、主に白物家電メーカー向けにEMS事業を展開している。基板実装のコスト力、トランスフォーマー・チョークコイルやLCDなどのiTak製カスタム部品、コストパフォーマンスの高いアジア部品のデザインインによって、価格優位性と安定供給を実現している。白物家電などの省エネ化に対するニーズが高まっていることを受け、タイ及びベトナムの自社工場に投資を行う方針だ。工場ラインへ投資し生産キャパシティーを拡大することで、ニーズに応えていく。
d) デジタル・ソリューション部門
幅広い製品(ソフトウェア、メカ、ハードウェア)に対して、コスト・安全性・生産性・品質・信頼性・技術認証などに配慮した試作・設計受託から製造受託、日本国内生産までをトータルでサポートすることにより、顧客のモノづくりにおける課題を解決している。
e) 国際調達部門
顧客の調達を代行している。香港倉庫、マレーシア・ペナン倉庫、日本倉庫を活用し、納期のコントロール、在庫の管理、部品の品質管理を行っており、在庫の削減、輸送コストの低減などを実現している。
f) 技術・品質管理部門
技術本部と品質管理推進室が顧客の開発・設計をサポートし、自社工場、EMS工場、仕入先メーカーへの品質改善指導などを行っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
《SI》
提供:フィスコ