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9219 ギックス

東証G
892円
前日比
-1
-0.11%
PTS
894.1円
13:11 11/25
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
47.4 2.68 6.00 22.15
時価総額 49.8億円
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ギックス Research Memo(3):「データインフォームドな判断」実現に向け高い専門性と技術力を発揮


■事業概要

ギックス<9219>は、「DIコンサルティング」「DIプラットフォーム」「DIプロダクト」の3つのサービスを通じて、データに基づく論理的思考や合理的判断により、人間の判断が効率化・高度化していく社会の実現を目指している。

1. DIコンサルティング
DIコンサルティングでは、顧客の業務上の判断をデータインフォームドに変革するためのサービスを提供する。同サービスは、「顧客理解」「解法模索」「解決策発見」の3つのフェーズに分かれ、顧客理解のフェーズではデータインフォームドな判断を行うために何が必要であるかを顧客と一緒に検討する。解法模索のフェーズでは、実施したい判断のために、活用可能なデータを用いた最適な分析方法を模索する。解決策発見のフェーズでは、分析結果をどのように業務に組み込んでいくべきかを見極め業務設計を行う。データ分析では、仮説検証型・試行錯誤型の2種類のスタイルによって、全件・全量データを用いた全粒度分析を行い、顧客の業務知識にデータという裏付けを与える。仮説検証スタイルでは、勘・経験に基づく仮説に対してデータによる検証・補強を行い、試行錯誤スタイルでは、顧客の興味・仮説に応じた動的な追加分析を行う。顧客理解から解決策発見のフェーズまでは、短くて3~4週間、平均6~7週間で到達する。同社に蓄積されたノウハウ・モジュール・ツールを活用し、顧客と併走しながら高速で分析を進めることで短期間での解決策発見が可能となる。顧客の蓄積されたデータを分析するだけではなく、物事を適切に判断していくためのアプローチを顧客とともに模索する点に、同サービスの価値が凝縮されていると弊社では考える。

2. DIプラットフォーム
DIプラットフォームでは、DIコンサルティングで得られた分析要件を仕組み化し、データを用いる思考態度を日々の業務に浸透させる。DIプラットフォームとはデータ処理基盤であり、必要なデータを必要な形で蓄積・処理する仕組みである。具体的には、他システムからのデータ連携により取得したデータを、「ダッシュボード」「業務システム」「リアルタイム処理」などのシステム・機能で蓄積・処理し、継続的な分析処理を安定的に実行する。GCP(Google Cloud platform)やAWS(Amazon Web Services)等を主体とするクラウドベースのデータ基盤を採用しているため、可用性と拡張性の高いプラットフォームが実現されている。また、システムの構築手法にはアジャイル型アプローチを採用しており、開発するシステムを小さな単位に分け、計画・設計・実装・テストを繰り返すことで、迅速かつ柔軟な対応を可能としている。

3. DIプロダクト
DIプロダクトでは、「個別課題解決」プロジェクトで培った分析ノウハウを用いて、「共通課題解」決に役立つ複数のプロダクトを開発・提供している。「個別課題解決」プロジェクトで抽出された、業界特有の課題や分析ノウハウ、ツール・モジュールを汎用化し、プロダクト化することで、より幅広い層におけるデータインフォームドな判断を促進する。主なDIプロダクトとしては、以下の2つがある。

1) トチカチ
「トチカチ」は、「モバイル空間統計データ」※の過去から最新の人口動態に、天候情報や地図情報などを統合、機械学習によって要素に分解・分析することで、最小500m×500mのエリアに関する情報を提供するサービスである。最大8日前から最短2時間前までの1時間当たりの人数をグラフ化でき、日本全国約80,000のエリアから選択したエリアの滞在人口が把握できる。また、機械学習により新型コロナウイルスの影響が無かった場合のパラレルワールド値(あるべき人口変化)も予測可能で、実際の人数と比較することでエリアの変化を捉えることができる。利用シーンとして、自社施設・競合施設の調査、施設の企画・効果検証、出退店・開発エリアの判断等が挙げられ、料金は対象エリア数に応じた従量課金制である。

※NTTドコモが提供するサービス。携帯電話ネットワークの仕組みを使用して作成される新たな人口統計で、日本全国の人口を24時間365日把握することができる。


2) マイグル
「マイグル」は、商業施設や観光エリアにおける買い回りや回遊を促進するスタンプラリーを提供する、スマートフォン向けWebアプリである。利用施設やサービスに関しては、「マイグルAI」により利用者の趣味・嗜好に合わせた選択肢が表示され、利用者が行き先を選択することで自分だけのスタンプラリーシートを作成できる。また、利用者が実際に選択した内容を「マイグルAI」が学習することで、提示内容が最適化される。顧客は、スタンプラリーの実施によって得られたデータを用いることで、一過性のキャンペーンで終わらせることなく、継続的なキャンペーンの検討・実施に活用できる。また、リアルタイムで状況を把握できるため、キャンペーン実施期間中も集客や告知面での追加対応を検討することが可能だ。主要顧客は、商業施設や地方自治体、鉄道やバス等の公共交通事業者で、料金はスタンプラリーの規模や期間に応じて決定する。2020年3月のサービス開始以来、企画中を含む159キャンペーンに採用されており、2023年3月末時点で累計89.8万人のエンドユーザーの利用を達成した。

4. 顧客ターゲット
同社では、データ活用に一度取り組み、自社に適した「やり方」を模索するステージにいる顧客を、コア・ターゲット層と規定している。これらの顧客は、PoCやソリューション導入に取り組み一定の成果は得られたが、抜本的な業務変革には至らず、やり方の見直しを検討している段階にある。そのため、データ活用への期待度は、取り組み当初と比較して低下しており、「幻滅の谷」に落ちる。同社は、顧客とともに試行錯誤を高速に繰り返し、各社各様に適したデータの用い方を検討する。これにより、顧客は幻滅の谷を越え、大きな成果につながる実感を得ることができる。

5. 市場環境
同社は、DI推進によって生じる売上増進・効率向上等の経済効果は大きく、2022年時点で十分に魅力的な規模の市場機会があると考えている。加えて、DI市場の顕在化によりデータ活用・AI市場のさらなる拡大を見込んでいる。再現性の高い業務判断を行うためには、勘・経験・度胸をデータの活用により検証・補強する必要がある。従来のデータ提供の仕組みでは、ビジネス判断に耐え得る速度・品質のデータが提供されないという課題があった。同社は、データの蓄積・加工・判断への活用を一気通貫でサポートすることにより、データにより検証・補強された再現性の高い業務判断を実現する。DI市場は、極めて大きな意思決定である経営判断や、各自の自由意志に任される個人判断よりも、日常業務における業務判断領域において拡大が見込まれている。現場で日常的に行われている判断は、組織全体で膨大な無駄の温床となりやすいが顕在化していない。BPRやRPAなどによる業種・業態別の業務効率改善市場は、DI市場のなかでも大きな拡大余地があると弊社では考える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 欠田耀介)

《SI》

 提供:フィスコ

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