タメニー Research Memo(8):2023年3月期は営業損失縮小、EBITDAは黒字基調
■業績動向
1. 2023年3月期業績の概要
タメニー<6181>の2023年3月期の連結業績は、売上高が前期比0.5%増の5,604百万円、営業損失が151百万円(前期は153百万円の損失)、経常損失が230百万円(同218百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失が237百万円(同320百万円の損失)だった。コロナ禍の影響が残っていること、カジュアルウェディング領域は受注から施行までのタイムラグがあることなどで売上高は横ばいにとどまったが、人員配置最適化や拠点統廃合などの経営合理化効果で販管費が減少し、営業損失が僅かながらも縮小した。販管費は前期比2.3億円(5.2%)減少した。広告販促費が広告の段階的再開で1.1億円増加したが、人件費が人員減少と生産性向上で2.2億円減少、地代家賃が拠点統廃合で0.4億円減少、その他が0.7億円減少した。特別利益では前期計上の関係会社株式売却益88百万円が剥落したが、事業譲渡益122百万円を計上した。特別損失では減損損失が70百万円増加したが、臨時休業等による損失が74百万円減少した。
営業損失の計上が継続したが、EBITDAは、経営合理化と広告抑制で2022年3月期第2四半期に黒字転換し、2023年3月期は広告を段階的に強化しながらも4四半期すべてが黒字だった。収益改善基調と言えるだろう。
なお、2023年3月期の事業区分は「婚活事業」「カジュアルウェディング事業」「テック事業」「ライフスタイル事業」「法人・自治体向け事業」の5区分となっている。
2. 事業別動向
婚活事業は、売上高が前期比12.3%減の2,272百万円、営業利益(全社費用等調整前)が同27.0%減の587百万円だった。コロナ禍の影響を鑑みて前期に広告販促費を戦略的に抑制した影響で、結婚相談所「パートナーエージェント」の新規入会者数、在籍会員数が減少した。新規入会者数は同7.1%減の4,716名、期末在籍会員数は同9.0%減の8,568名となった。なお、2022年6月に首都圏を中心に交通広告を再開、2022年9月に東海及び関西に拡大するなど、段階的に広告を強化している効果で2022年9月以降は新規入会者数が増加に転じている。婚活パーティーの開催数は同8.2%減の4,517回、参加者数は同12.9%減の50,289名だった。運営最適化とサービス品質向上を目的として戦略的に開催数を減らしているが、婚活パーティーから結婚相談所への送客は同24.4%増の495名と順調だった。
カジュアルウェディング事業は、売上高が前期比11.6%増の2,690百万円、営業損失がのれん償却費152百万円を計上して229百万円(前期は212百万円の損失)となった。コロナ禍の影響が緩和され、結婚式二次会「2次会くん」の成約件数が前期比100.2%増の961件、施行件数が同132.9%増の743件と回復傾向を強めた。カジュアル挙式披露宴「スマ婚」シリーズは成約件数が同3.1%増の695件と緩やかに回復傾向だが、タイムラグの関係で施行件数は同25.8%減の601件だった。フォトウェディング「LUMINOUS」は、成約件数が同9.0%減の4,800件、施行件数が同6.6%減の4,526件だった。挙式披露宴型に回帰する動きや競争激化の影響などが見られ、成約件数・施行件数とも伸び悩む形となったが、衣装の高品質化などで施行単価は上昇した。
テック事業は、売上高が前期比21.6%増の168百万円、営業利益が同25.9%増の64百万円だった。婚活事業者間相互会員紹介プラットフォーム「CONNECT-ship」で新たな利用事業者が加わり(2022年4月にTMSコネクトが加入、一方で1事業者が退会したため期末利用事業者数は前期末と同数の12社)、課金対象会員数が増加した。また、2022年4月に設立した結婚相談所連盟「婚活アライアンスパートナーズ」や、2022年7月に開始した「CONNECT-ship」を活用した婚活パーティー「CONNECT-ship Party」も寄与した。ライフスタイル事業は売上高が同0.5%増の70百万円、営業利益が33.5%増の25百万円だった。新規保険契約証券数が順調に増加(同37.9%増の546件)した。法人・自治体向け事業は売上高が同8.2%増の421百万円、営業利益が同14.1%減の75百万円だった。地方自治体向け婚活支援システム「parms」の導入が拡大したが、企業向けイベントプロデュース「イベモン」の忘年会需要が減少した。なお「イベモン」は2023年3月末に事業譲渡した。
3. 財務状況
財務面で見ると、2023年3月期末の総資産は前期末比316百万円減少して5,016百万円となった。のれんが152百万円減少、無形固定資産のソフトウェアが129百万円減少した。負債合計は同229百万円減少して4,865百万円となった。長短借入金合計が180百万円減少した。なお長短借入金合計の残高は4,062百万円となった。純資産合計は同86百万円減少して150百万円となった。資本剰余金が237百万円減少、利益剰余金が150百万円増加した。この結果、自己資本比率は同1.5ポイント低下して3.0%となった。
なお2023年2月にTMSホールディングスと追加の資本業務提携契約を締結し、TMSホールディングスを割当先とする第三者割当増資を実施して147百万円を調達(2023年3月に払込完了)した。安定的な財務基盤の回復が課題だが、資金調達によって当面は財務面のリスクが低下したと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
《SI》
提供:フィスコ