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3104 富士紡ホールディングス

東証P
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前日比
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時価総額 597億円
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富士紡HD Research Memo(1):2024年3月期通期は下期から業績も回復に向かう


■要約

富士紡ホールディングス<3104>は1896年に設立し、研磨材事業と化学工業品事業を主力事業、生活衣料(B.V.D.など)事業を準主力事業として事業展開している。日本の繊維産業とともに栄えてきたが、現在では祖業の繊維・紡績業は現在、事業全体の2割以下となっており、大きく業態転換が行われ、この3つが中核3大事業である。売上構成では研磨材4割、化学工業品3割、生活衣料2の割合。その他事業の中の化成品(樹脂金型)の“第4の柱”事業への育成を図っている。

1. 2023年3月期通期の業績概要
2023年3月期の連結業績は、売上高が前期比4.9%増の37,669百万円、営業利益は同17.1%減の4,872百万円、経常利益は同16.6%減の5,041百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同23.7%減の3,399百万円となった。また期初計画比では、売上高は3.2%上回ったが、営業利益で24.1%減、経常利益で21.2%減、親会社株主に帰属する当期純利益で24.5%減と計画を下回り、増収減益となった。

主力の研磨材事業は、上期までは旺盛な半導体需要に支えられ順調に推移したが、下期は一転、主要ユーザーの在庫調整及び急激な生産調整の影響を受け、売上高が低迷した。また、すべての事業において、原燃料価格の高騰や物流コスト上昇の影響を受け、一部収益が圧迫された。

2. 2024年3月期の業績見通し
2024年3月期通期の業績予想については、売上高は36,100百万円(前期比1,569百万円減)、営業利益は2,950百万円(同1,922百万円減)、経常利益は3,350百万円(同1,691百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,200百万円(同1,199百万円減)としている。

研磨材事業は売上高12,800百万円(前期比15.1%減)、営業利益950百万円(同66.4%減)を見込んでいる。今年下期から半導体市場は底入れと上向き傾向が予想され、同社の研磨材も業績回復が見込まれる。一方で、新用途市場として、「SiCウエハー」と「半導体の微細化と積層化」に大きな期待が寄せられている。前者は、自動車のEV化が進展するなか、SiCウエハー(パワー半導体)市場が伸長している。同社の今期受注額は数億円程度が見込まれる。後者は、メモリー半導体分野でも積層化が進むと微細化技術が必要となり同社の研磨材(ソフトパッド)の出番がある。既にNANDフラッシュメモリ分野ではソフトパッドが使われはじめている。

3. 半導体の市場リスクの影響を緩和する強い事業構造
半導体業界は、2022年10月以降シリコンサイクルの「調整局面(マイナス成長)」に突入した。その影響で同社の研磨材事業の収益も大きな減少となった。ここで特筆すべきは、同社の事業構造が景気サイクルの異なる市場(半導体、産業財、一般消費財)向けの複数事業から構成されており、シリコンサイクルなどの大きな景気循環の影響を最小限にとどめ補完するかたちとなっていることである。この半導体市場リスクの影響を緩和する事業構造の特徴は、半導体業界の景気後退局面である今こそ発揮されると弊社では評価している。

4. 「株主還元」と「成長投資」の適正な利益配分。減益下でも年間配当金は110円を実施
同社は、株主への利益還元を経営の最重要課題の1つに位置付け、利益配分については経営環境や業績動向等を総合的に勘案し、長期安定的かつ業績に対応した配当を行うことを基本方針としている。また、中長期的な企業価値向上のため、中核事業(研磨材事業、化学工業品事業)の成長投資に振り向ける内部留保を確保している。

同社の基本方針である「安定配当の継続」については、過去10年間配当の増配・維持を継続している。今後もこれを継続していく予定である。2023年3月期は大幅な減益(当期純利益前期比1,055百万減)であったが、前期並みの年間配当金110.0円を実施予定。また、2024年3月期の年間配当も、3期連続の110.0円(中間配当金55.0円、期末配当金55.0円)と高い水準を見込んでいる。

■Key Points
・2024年3月期通期は半導体市場が底入れと上向き傾向となり、下期から同社も業績は回復に向かう
・半導体の市場リスクの影響を緩和する強い事業構造
・「株主還元」と「成長投資」の適正な利益配分

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)

《AS》

 提供:フィスコ

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