ブランディング Research Memo(9):人材不足が課題の中小・地方企業
■成長戦略
1. 市場背景
コロナ禍・アフターコロナを問わずインターネット広告費が増加を続けており、各産業においてデジタルシフトに対する優先度が上昇している模様である。このため、国際的に生産性が低いと言われる中小・地方企業でも、デジタルシフトに積極的に取り組もうとする意識が高まっている。一方、そうした企業では、CMOやCDOなど企業のデジタル化を推進する人材の不在が恒常的な課題にもなっている。ブランディングテクノロジー<7067>はこうした課題の解決に引き続き注力し、各地・各業界のブランド×デジタルシフトを推進していく考えである。
顧客の人材、フロント人材、地域の人材を育てる
2. 成長戦略
成長戦略として同社は、ノウハウの開発と進化、人的資本経営の推進、フロント人材の育成とDX推進、AI活用による生産性と顧客体験向上、地域経済・産業への貢献(ESG方針)を進めていく考えである。ノウハウの開発と進化では、顧客セグメントに新たに自治体を加えてふるさと納税増額に向けたサービスノウハウを開発するとともに、新サービス領域での組織立ち上げやCMO育成などを支援するマーケティングイネーブルメントのノウハウをセグメント横断で開発していく。人的資本経営の推進では、2021 年に健康経営を推進するためのプロジェクトを発足し、2023年3月に経済産業省が制度設計し日本健康会議が選定する「健康経営優良法人2023」に認定されたが、これを働きがいと生産性の向上の両立につなげる方針だ。
「フロント人材」の育成とDX推進では、成功事例のプロセス共有と表彰制度を連動させることでノウハウとナレッジの共有を促して人材レベルの向上を図る一方、データドリブン経営による「フロント人材」の属人化解消とパフォーマンスの向上を進める。AI活用による生産性と顧客体験向上では、ChatGPTを活用してマーケティング戦略策定における関連データからの要点抽出や要約などの業務を半自動化し、戦略・企画の提案など「フロント人材」がより創造性の高い業務に集中できる環境を構築する。地域経済・産業への貢献(ESG方針)では、宮崎県におけるマーケティングイネーブルサービスの提供やアザナによる沖縄県内企業へのブランディング支援など既に実践しているものも多いが、地域で人を育て、地域の「らしさ」を発見し、地域の価値を発信することで、地域経済・産業への貢献を拡大する。
短期的な足踏みはあっても、同社は中期成長ステージにある
3. 中期成長イメージ
同社は中長期的な成長戦略として、アフターコロナという新たな時代を見据えて構築した「マーケティングDX」というビジネスモデルを軸に、強まる中小・地方企業のデジタルシフトニーズに対応していく方針である。また、アフターコロナの時代に適応した効率的なセグメント・ユニット事業構造を確立したこと、AIによって「フロント人材」の生産性向上と創造性発揮の目途が立ってきたこと、同社の優位性を支えるKPIが順調に伸びており同社の戦略・戦術が正しい方向にあること――から、短期的な要因で業績が足踏みしても、同社は中期的な成長ステージにあると考えられる。加えて、提携やサービス開発の強化や事業ユニットごとの効率化による収益向上を図ることにより、長期的な成長につなげていく考えである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
《SI》
提供:フィスコ