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東証P
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8.5 2.21 2.75 20.21
時価総額 405億円
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水際対策終了で飛躍期突入、「富裕層ビジネス関連株」に物色の号砲鳴る <株探トップ特集>


―海外では高額消費関連株の上昇顕著、リベンジ消費で強まる日本経済浮揚シナリオ―

 東京の富裕層人口が世界2位──。英国企業がまとめたデータが、国内外で注目を集めている。海外では富裕層ビジネスを展開する企業の株価上昇がめざましい。新型コロナウイルス感染症の水際対策終了後、日中間の往来がより容易になると期待されるなか、国内外の富裕層によるリベンジ型の「爆買い」消費の活発化は、日本の関連銘柄に対しても株価浮揚力を強めそうだ。

●躍進するフェラーリ株

 英コンサルティング会社のヘンリー・アンド・パートナーズの調査によると、100万ドル(約1億3500万円)以上の投資可能な資産を持つ富裕層の人口で、東京は29万300人となり、ニューヨーク(34万人)に次いで世界2位にランクインした。10億ドル以上の「超富裕層」に限ると数は少なくなるが、世界的にみれば、経済大国の日本の首都である東京は富裕層の多い都市と考えられている。

 3月の首都圏における新築分譲マンションの販売動向も話題になった。不動産経済研究所によると、平均販売価格は1億4360万円と、単月で初めて1億円を突破した。価格上昇の原動力となったのは三井不動産 <8801> [東証P]と三菱地所 <8802> [東証P]のグループ企業が東京都港区で販売を開始した超高級マンション「三田ガーデンヒルズ」だ。1戸あたりの平均価格は4億円台で、約1000戸のうちの第1期販売分となる約400戸は完売したようだ。

 そして海外では、フェラーリ<RACE>株の上昇が投資家の関心を引き付けている。およそ1年前の2022年4月末時点から約3割上昇し、同期間で大きく下落したテスラ<TSLA>と対照的な動きとなっている。「ルイ・ヴィトン」などのブランドを手掛ける仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンの時価総額が、欧州企業で初めて5000億ドルを突破したのも今月下旬のことだ。ブランド力に裏打ちされた利益率の高さと、景気の変動に左右されにくい収益モデルが投資家の資金の呼び水となっている。

●ビジネスジェットの受け入れ緩和報道も

 東京市場でも4月に入り、高島屋 <8233> [東証P]や三越伊勢丹ホールディングス <3099> [東証P]、J.フロント リテイリング <3086> [東証P]といった百貨店株が相次いで年初来高値を更新した。インバウンド需要の回復期待はもちろんのこと、足もとでも高額商品の販売は堅調に推移しているようだ。

 訪日外国人客数はコロナ禍前の水準をなお下回った状況だが、今後の航空便数の増加に伴って一段の回復が見込まれている。更に、国土交通省が5月からプライベートジェットの受け入れ要件を緩和するとも伝わっている。海外の富裕層が訪日するための環境が整いつつあるといえるだろう。

 例年にない規模での企業の賃上げが相次ぎ、マイナスが続いていた実質賃金の好転と消費の活性化が期待されるなか、国内外の富裕層のリベンジ消費の拡大が加われば、日本経済のプラス効果は計り知れないといっても過言ではない。

●宝飾・美術品や収益不動産に成長期待

 海外富裕層による需要の恩恵を大きく受けそうな分野とみられているのが、宝飾品や美術品だ。このうちNEW ART HOLDINGS <7638> [東証S]は2月に23年3月期の連結業績予想の上方修正を発表。前期の売上高と最終利益はともに過去最高となる見込みだが、富裕層による資産運用を目的とした美術品へのニーズの高まりは今期以降の業績を一段と成長させる可能性がある。配当利回りは5%台後半と高水準なのも投資妙味を感じさせる。

 クロスフォー <7810> [東証S]は、人間の呼吸などのわずかな動きを受けてダイヤが振動し輝きを発する特許技術「ダンシングストーン」を持ち、海外の宝飾品メーカーへのパーツ販売を手掛けている。数多くの海外の大手ジュエリーメーカーと契約するなど、業界内では確固たる地位を持つ。同業の光・彩 <7878> [東証S]も含め、宝飾品へのリベンジ消費の効果を注視したい。

 収益用不動産を手掛ける企業にも、富裕層の投資意欲が業績拡大のドライバーとなるシナリオが横たわる。東京・城南エリアを事業エリアの中心とするランディックス <2981> [東証G]は昨年12月、中国語の自社サイトの開設を発表。中国語に堪能なスタッフが直接、顧客対応をする態勢もとり、更なる商機獲得を狙う。

 ビーロット <3452> [東証P]は21年に公募増資で調達した資金を活用し、高級区分マンションの仕入れを加速させた。22年12月期の不動産投資開発事業は営業減益となったが、富裕層向けの相続対策などを手掛ける不動産コンサルティングなど他事業は好調に推移。手持ちの販売物件を多く抱えた状態で期初を迎えた今期は、過去最高益を更新する見通しを示している。

 今年、公募増資による資金調達に踏み切ったタスキ <2987> [東証G]は、空室リスクの少ない新築投資用物件の企画・開発を進める「IoTレジデンス」事業の競争力の更なる強化などにつなげる構えだ。海外富裕層向けの営業体制の強化により顧客基盤も拡大。希薄化懸念で下落した株価は、直近では下値の堅い展開が続いている。

●GT-Rや輸入車販売にも恩恵か

 国内在住の富裕層の増加による消費活動へのポジティブな効果にも期待が強まっている。野村総合研究所の推計では、日本の富裕層(純金融資産保有額1億円以上5億円未満)と超富裕層(同5億円以上)は合計148万5000世帯(21年時点)で、05年の推計開始から最多となった。また、出入国在留管理庁の統計によると、「経営・管理」ビザを取得して在留する外国人数(22年6月末時点)は前年比8%増の2万9385人。全体の増加率(7.3%増)よりも高い伸びを示している。中国の富裕層が、このビザを取得して実際に日本に移住する事例も報じられている。

 いずれにせよ日本在住の富裕層の増加は、高級車や高付加価値型サービスの需要を広げそうだ。例えば日産自動車 <7201> [東証P]の「GT-R」に代表される高級車の引き合いの増加は、日産東京販売ホールディングス <8291> [東証P]やVTホールディングス <7593> [東証P]などの自動車ディーラーの収益拡大につながる可能性が高い。

 自動車販売のうちウイルプラスホールディングス <3538> [東証P]は、「アルファロメオ」や「アバルト」「ジープ」などのブランドを展開するステランティス<STLA>製の自動車を主力商品とする。同社の23年6月期第2四半期累計(22年7-12月)決算は前年同期比29%の最終減益となった。ブランドの一部で供給不足が続いたことなどが響いたが、23年1月以降はアルファロメオとジープの販売回復が鮮明となっている。株価は2月の高値から水準を切り下げたが、販売面のアップサイドはなお大きい状況にあり、6倍を下回るPER(株価収益率)と割安感も強い。

●マリン製品、高級介護サービスなど広がる銘柄群

 富裕層の増加に伴って、クルーザーやヨットなどのマリン製品、プライベートジェットの需要へのプラスの効果も見込まれる。マリン製品と言えばヤマハ発動機 <7272> [東証P]が日本を代表するメーカーだが、サプライヤーではウルトラファブリックス・ホールディングス <4235> [東証S]が関心を集めそうだ。同社の湿式ポリウレタンレザーは高級感のある内装材として、自動車とともにプライベートジェットや小型船舶に活用されている。足もとでビジネスジェット向けの需要拡大が業績の追い風となる同社だが、クルーザーやキャンピングカー向けなどが想定を上回る伸びとなれば、一段の上振れの可能性が高まる。

 サービス関連では、ポピンズ <7358> [東証P]が、企業の経営層などプライバシーの配慮が必要なエグゼクティブの外出の同行や、身体介護を行うケアサービスを展開する。また、チャーム・ケア・コーポレーション <6062> [東証P]は、JR品川駅周辺の一等地に介護付高級老人ホーム「チャームプレミア御殿山参番館」をオープンした。いずれも富裕層の拡大に対応した動きと考えられ、中期的な収益増に貢献しそうだ。

 このほか、会員制リゾートなどを展開するリゾートトラスト <4681> [東証P]や高級レストランのひらまつ <2764> [東証P]、美術品オークションのShinwa Wise Holdings <2437> [東証S]なども、富裕層の拡大の恩恵を受けやすい銘柄としてマークをしておきたい。


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