貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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9005 東急

東証P
1,838.0円
前日比
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18:49 11/25
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爆騰DNA開花へ! 甦る「インバウンド特需」とっておき7銘柄 <株探トップ特集>


―観光立国へ向けた国策始動、“黄金の国ジパング”へ海外マネーが押し寄せる―

●東京株式市場に押し寄せる海外マネー

 週末21日の東京株式市場は日経平均株価が前日終値近辺で強弱観を対立させ、2万8000円台後半のゾーンで売り買いを交錯させた。一時は2万8778円まで上値を伸ばし、今年に入ってからのザラ場高値を更新したが、足もとでは買い疲れ感も垣間見える。結局、取引後半は値を消しマイナス圏で引けた。しかし、直近2週間で日経平均は1000円あまりも水準を切り上げている。

 4月は過去の統計からみても外国人投資家の買い越しが目立つ月で、昨年までの直近10年間をさかのぼって月間ベースで売り越しだったのはたったの1度しかない。9勝1敗、勝率9割である。今年も4月相場ではこの“鉄板アノマリー”が生きて、海外マネーの東京市場上陸が際立つ状況となっている。4月第2週は現物株で約1兆500億円、現先合わせると1兆5800億円の大量買い越しとなった。

 東証が上場企業に対し株価意識を持つように要請したことが、海外資金の呼び水となったほか、著名投資家ウォーレン・バフェット氏が日本株への追加投資を検討していると語ったことも世界の耳目を集めた。足もとで明らかに潮の流れが変わっている。

●日本の消費を牽引する外国人パワー

 そして、海外マネーの上陸は何も株式市場の世界に限ったことではない。我々の日常と密接に関わる消費動向においても、外国人パワーが全開となっている。いわゆる「インバウンド 消費」で、これが強力な投資テーマとして再び相場を牽引し始めた。

 世界中がコロナ禍からの脱却モードとなるなか、日本も水際対策をおおむね解除し、これまで入国が制限されていた外国人観光客が日本になだれ込む構図となっている。もとより日本は民度が高く、治安が良いという印象があり、サービスやカルチャー、風土といった側面でも魅力を感じる外国人が多いようだ。日本は狭いようで広い。例えば、「外国人の側から見て十把一絡げに日本という括りではなく、北海道や京都など独立したエリアとして魅力が語られることが多い」(国内投資顧問ストラテジスト)という声がある。

 加えて、長期にわたるデフレ経済の余韻で、現在の日本は世界のインフレモードに呑み込まれていない唯一の先進国ということも大きな利点となっている。これが昨年来の円安進行と相まって、安くてハイクオリティーという強みが前面に押し出され、訪日客にとって極めて魅力的な渡航先となっているのだ。

●国策支援で巨大化するインバウンド

 今週19日に日本政府観光局が発表した3月の訪日外国人客数は推計で181万7500人と急増し、これは前年同月比で27.5倍となった。前月(2023年2月)との比較でも23%強の増加となり勢いを感じるが、まさに海外発のリベンジ消費が日本経済を活気づかせている状況にあることが分かる。しかし、これはあくまで“コロナ後”の新たな風景である。時計の針を4年前に戻し、新型コロナウイルス感染拡大の影響とは無縁であった19年3月と比較すると訪日客数は66%にとどまっている。つまり、盛時と比べ現状はまだ3人のうち1人は日本に訪れていない勘定となる。

 中国からの入国者数は中国政府が日本への団体旅行を許可していないという事情もあって19年3月の1割止まりとなっており、これが影響している形だが、市場関係者によると「中国側の日本への規制は日本政府の水際対策に対抗した意味合いが強く、今の状況を考慮すれば解除は時間の問題」(ネット証券アナリスト)という。政治的な背景とは裏腹に、中国人の潜在的な訪日需要(日本人気)は非常に高いともいわれている。以前と比べ円安に振れているという事情も考慮して、爆食経済とも形容される中国の消費熱は、遅かれ早かれ日本に伝播することになりそうだ。

 なお、今回のインバウンド消費において円安効果は日本への渡航を促すだけでなく、実額ベースでも高額消費を誘発し、単価上昇の強力な追い風となっている。観光庁によると1-3月期の外国人観光客の旅行消費額は1兆146億円と1兆円超えを達成した。客数ベースでは6割程度でも金額ベースでは19年同期の88%と9割近くに達していることが判明した。このペースで行けば、4-6月期は過去最高額となっても不思議はない。岸田政権では3月末に閣議決定した観光立国推進基本計画で、年間の訪日消費額について速やかに19年を上回る5兆円とすることを目標に掲げている。観光立国日本が国策テーゼとして再び意識される状況にあることで、株式市場でもインバウンド関連株には、中長期にわたって循環物色のビッグウェーブが及ぶことになりそうだ。

●物色の裾野広く怒涛の株高が相次ぐ

 今週は東京市場でも、内需関連株にインバウンド人気が色濃く反映された。高島屋 <8233> [東証P]やJ.フロント リテイリング <3086> [東証P]、エイチ・ツー・オー リテイリング <8242> [東証P]が年初来高値に買われたのをはじめ、百貨店株が総じて上値指向を鮮明とした。また、「観光客」を運ぶ鉄道株の上げ足も目立っている。JR東日本 <9020> [東証P]、JR西日本 <9021> [東証P]、JR東海 <9022> [東証P]などJR各社が揃って新値圏に浮上し、私鉄でも東武鉄道 <9001> [東証P]、東急 <9005> [東証P]、小田急電鉄 <9007> [東証P]、京成電鉄 <9009> [東証P]、富士急行 <9010> [東証P]など軒並み年初来高値。とりわけ電鉄セクターはリオープン(経済再開)関連の切り口で株価が刺激された面もあり、3月以降の上昇パフォーマンスが目立っている。

 また、テーマパークでは東京ディズニーランド・シーを運営するオリエンタルランド <4661> [東証P]が年初来高値を更新するとともに、昨年3月につけた上場来高値に肉薄。更にサンリオ <8136> [東証P]の3月下旬以降の上値追いは鮮烈を極めた。このほか、地域限定の手土産で象徴的存在の寿スピリッツ <2222> [東証P]や、ドラッグストア大手のマツキヨココカラ&カンパニー <3088> [東証P]など上場来高値圏でなお上値を慕う動きをみせている。

 インバウンド関連の物色の裾野は広い。これ以外にも隠れた出世株候補が目白押しである。高値圏を走る銘柄は必然的に目立つが、底値圏で動意前夜の銘柄を掘り当てることができれば、それもまた投資家冥利に尽きる。今回のトップ特集では順張り、逆張り双方から光を当て、大きなパフォーマンスが期待される関連有望株を7銘柄エントリーした。

●ここから狙う順張り・逆張り特選7銘柄

◎tripla <5136> [東証G]

 トリプラはホテルや旅館などの宿泊施設向けに自社予約サイトやコミュニケーションツールなどのシステム構築支援を主力業務として展開する。リオープンの環境下、営業力強化の経営努力と相まって導入案件が着実に伸びている。また、ここにきて訪日外国人観光客の増勢が顕著となるなかで、同社システムを導入するホテルも今後加速度的に増えそうだ。業績変化率の高さは注目され、23年10月期はトップラインが前期比で4割を超える伸びを予想、増収効果を映して営業利益は同3倍以上となる2億5500万円を見込んでいる。しかも、インバウンド特需を完全に織り込んでおらず、この計画は更に上振れする公算大だ。昨年11月に新規上場したニューフェースだが、株価は3月8日につけた上場後の高値である3225円奪回が時間の問題とみられる。

◎ツカダ・グローバルホールディング <2418> [東証P]

 ツカダGHDは直営による欧米邸宅風施設を使って挙式・披露宴を行う婚礼事業を主力とするが、ホテル事業にも注力、現在は4つのホテルを運営し、ハイクオリティーな接客で好評を博している。訪日外国人観光客効果による、宿泊稼働率向上と単価上昇で収益が大きく押し上げられる方向にある。23年12月期は営業利益が45億800万円予想と前期比5割強の急拡大を見込むが、中国の渡航制限が早晩解除されれば追い風は一気に強まり、更なる上乗せも。株主還元も抜かりなく、今期年間配当はコロナ禍前の水準である10円(前期実績は5円)を計画している。株価は3月2日に444円の年初来高値形成後はいったん調整局面に移行したが、目先再び動兆しており新値街道復帰から更なる一段高が予想される。

◎インバウンドテック <7031> [東証G]

 インバウTは24時間365日・多言語対応(日本語を含む13言語)をセールスポイントとしたコンタクトセンター(コールセンター)運営事業を手掛け、業種別通訳などにも対応する。訪日外国人の増勢基調に比例して、多言語対応のコールセンターへのニーズもうなぎ登りだ。同社の業績はM&A戦略が奏功し、23年3月期営業利益が前の期比27%増の3億7000万円と大幅ピーク利益更新が予想されている。更に24年3月期もインバウンド需要をバネに増益トレンドが維持される公算が大きい。株式需給面では、同社株は空売りのできない非貸借銘柄ながら外資系証券経由の貸株調達による空売りを呼び込んでおり、その買い戻し効果で意外高を演じる可能性を内包。昨年10月の高値1938円(分割修正後株価)は射程圏といえる。

◎スカイマーク <9204> [東証G]

 スカイマークは昨年12月に再上場し話題となった航空会社で国内第3位。民事再生手続きを経ての復活だが、経営改革及び収益構造の改善が顕著となっている。羽田発着の国内線で実績が高く、脱コロナに伴う旅客需要の回復で23年3月期は営業損益の黒字化が見込まれている。燃料コストの上昇などは単価引き上げにより吸収が可能であり、中期的にも羽田をはじめとする高収益路線の増便に前向きに取り組み、業績立て直しを図る構えだ。1000円近辺の時価は大底買いのチャンスといえる。昨年上場後間もない12月中旬に1545円の高値をつけた。そこから約4ヵ月で3割近い下落をみせ、時価は大底圏。今後の収益回復トレンドが見えてくれば株価の波動も一変し、上場後の高値である1500円台を目指す展開が意識されることになる。

◎シュッピン <3179> [東証P]

 シュッピンは、カメラや時計など専門性の高い高級商材の中古品及び新品を店舗とネットで販売する。23年3月期業績はロレックス価格急落の影響などが反映され、営業26%減益予想と厳しい収益環境にあったが、最近はロレックス相場の底入れが観測されるなか、再び風向きが変わっている。ロレックス価格とも連動性の高い中国経済の回復が追い風となり、24年3月期の営業利益は過去最高を記録した22年3月期の31億円前後までV字回復が視野に入りそうだ。同社の株価は昨年10月に1540円の戻り高値を形成後急落し、時価は高値から40%以上も水準を切り下げており、底値買い妙味が高まっている。特に1000円トビ台までは滞留出来高の希薄な真空地帯であり、急速なリバウンドに転じる可能性もある。

◎藤田観光 <9722> [東証P]

 藤田観は観光業界の老舗で、「椿山荘」の運営で有名。ホテル事業では、「ホテル椿山荘東京」のほか、ビジネスニーズに対応した「ワシントンホテル」や観光ニーズに対応した「ホテルグレイスリー」などを展開している。また、箱根小涌園などの箱根リゾートも同社の強みとなっている。リオープンやインバウンドに伴う旅行需要の回復は同社の業績復元に直結する。22年12月期まで3期連続の営業赤字を強いられていたが、トップラインは21年12月期に既に底入れ反転となり、22年12月期は前の期比54%増収を果たした。23年12月期も大幅増収基調は継続し、営業損益も小幅ながら黒字化する見通しだ。株価は直近3ヵ月にわたり3100~3400円のボックス圏推移だが、上限突破から早晩新局面入りが期待される。

◎サツドラホールディングス <3544> [東証P]

 サツドラHDは北海道を地盤とする中堅ドラッグストアで、医薬品のほか、日用雑貨、食品などの展開で優位性を持っている。北海道はインバウンドの誘致に積極的で、訪れる外国人観光客の割合も増加傾向が著しい。同社はその恩恵を単に享受するだけでなく、訪日外国人向けの品揃えと免税カウンターを完備するインバウンド対応店舗を展開し、業績拡大に向けた戦略を強力に推進していることがポイントだ。23年5月期営業利益は12億円と前期比6割強の伸びを見込み過去最高を大幅更新する見通しだが、続く24年5月期はもちろん、それ以降も大幅な収益成長路線を走る可能性が高い。時価は修正後株価で上場来高値近辺に位置するとはいえ、PER16倍台に過ぎず、近い将来に4ケタ大台を地相場とする展開が見込まれる。

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