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狙うは「物言う株主×PBR1倍割れ」で、“資産テンバガー”の技
目指せ億トレ、頑張り投資家さんの稼ぎ技 ゆうとさんの場合-第1回
PBR(株価純資産倍率)1倍未満の企業で、期待できそうなところはどこか!
2023年1月に、東京証券取引所がPBR1倍割れ状態が続く上場企業に是正を促す方針を明らかにすると、株式市場では万年割安銘柄が企業価値の向上に取り組むとの期待で銘柄物色する動きが広がっている。
今回登場のゆうとさん(ハンドルネーム)は、こうした時代の到来を予測するかのように19年頃から、企業価値が解散価値に満たない企業や、資本効率に問題のある企業を狙った投資スタイルを駆使して、運用成績を伸ばしてきた。
40万円の元手に追加資金を投入した運用資産は、約10倍にまで拡大させている。また、交流するすご腕投資家の間から「株の知識は、達人たちをも上回る」とも評されている。
そんな20代のホープがゆうとさんだが、必ずしも順風満帆でここまで来たわけではない。10年前から紆余曲折を経て、ようやくたどり着いたのが、「結果を出せない馬でも、騎手が変われば勝ち馬になれる」というスタイルだ。
そんなゆうとさんの勝ち技を4回シリーズで見ていく。初回は、最近の成功例を取り上げる。
カタリストがあるバリュー株を狙う
ゆうとさんの22年の年間成績は前年比+25%と、TOPIX(東証株価指数)を30%ポイントほどアウトパフォームしている。ゆうとさんの投資対象は割安株になることから、昨年のバリュー優位の相場環境は追い風になったことは確かだ。
一方で、ゆうとさんが、割安是正の期待値が高い銘柄に狙いを定めていく手法が、昨年の好パフォーマンス(運用成績)につながった面がある。まだ資産の形成過程で、できるだけ効率よく資産を増やしたいとの思いから、ゆうとさんは割安水準を是正するカタリスト(株価変動のきっかけ)が明確で、しかも、いつ頃までに是正されそうだというタイミングが読みやすい銘柄に対象を絞っている。
言い換えると、万年割安状態が続くバリュートラップにハマるリスクを抑え、しかも投資効率の向上が期待できるものを狙っている。具体的には、村上世彰氏など物言う株主としての実績があるファンドなどが株を買い集めている銘柄や、昨年4月に再編された東証プライム市場に暫定措置で残った銘柄で、今後もプライム上場維持を目論む銘柄だ。
ゆうとさんは、「これは」と思う銘柄には、投資効率を上げるために集中投資を行う。一方で、集中すれば相応のリスクを伴うが、そのリスクを緩和させるため、下落リスクが限定的で期待値の高い銘柄に狙いを定める。
こうした手法で昨年夏から集中投資を始めたのが、ベンチャーキャピタル最大手のジャフコ グループ<8595>だ。注目したのは村上世彰氏の影響下にある投資ファンド、シティインデックスイレブンズ(以下、シティインデックス)によって、会社が支配される圧力がかかったこと。
ゆうとさんがジャフコ株に注目したのは、同社が昨年8月15日買収防衛策発動の方針を発表したことがきっかけだ。この発表の後、同社株は8月16日の2465円を高値に下落基調に。さらに同月25日にシティインデックスが提出した変更報告書による保有減を受け、29日には1952円まで大幅下落した。
この急落局面を利用して、ゆうとさんは平均取得単価2000円で同社株を取得する。ジャフコ株への配分はポートフォリオの80%まで高めた。その理由は、シティインデックスらがこのまま市場でジャフコ株を売り切る可能性は低く、「再度買い増して来るだろう」と読んだからだ。
ゆうとさんは、直近にジャフコ株を共同保有する南青山不動産が市場外取引によって2028円で大幅に買い増している状況から、この2000円水準を割り込むまでに売ることはないだろうと考えた。また、後述するジャフコの株主構成からも買収防衛策は賛同を得られない可能性が高いと見た。
そうなれば、いわゆる村上ファンドの過去の実例から、ジャフコは増配による株主還元の強化、もしくはシティインデックスなど関連ファンドが保有する同社株のTOB(株式公開買い付け)を実施するかのいずれかで22年末ごろまでに決着がつくと想定した。
その読みは的中し、ジャフコは昨年11月25日に株主還元の見直しと、自社株TOBによってシティインデックスなどが保有する自社株を買い取る対応策を発表した。これを受け、同社株は11月28日に2580円まで跳ね上がった。
その後、12月8日にジャフコは、自社株TOBを実施しないと表明した後に、再び同21日に実施を発表した。それを受けて、ゆうとさんは翌営業日から保有するジャフコ株の利益確定を開始し、TOB実施期間の最終日付近となる翌年1月末までに全保有分を手仕舞った。
利確時の株価は、2300円~2400円の水準。上昇は想定より小幅にとどまったが、集中投資によって資産拡大に成功した。
■ジャフコの日足チャート(22年1月~)
ここまで強気で攻められたのは、シナリオ通りにリターンを得られる期待値が高く、仮に当てが外れても、損失リスクは少ないと分析したからだ。
「村上さんは、PBR1倍割れの状態を放置していることが許せないんです」(本人)
ゆうとさんは、村上氏が過去に手掛けた東京スタイルやニッポン放送、阪神電気鉄道(いずれも現在は上場廃止)などの案件が株高につながるケースを分析し、村上氏の投資スタイルや案件が決着に持ち込まれるパターンや、注目すべき項目などを押さえていった。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
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文・イラスト/福島由恵(ライター)、編集・構成/真弓重孝(株探編集部)
■ゆうとさん(ハンドルネーム・20代・男性)のプロフィール:
大学生のころから投資を始め、投資歴10年になる20代後半の若手投資家。40万円の元手に追加資金を加えた運用資産を10倍程度まで膨らませた実力から、交流するすご腕投資家たちからも「ネクスト億り人」として期待がかけられている。投資スタイルは、カタリストのあるバリュー株への投資。増配など株主還元策の強化による株価上昇を狙う。「起きている時間のほとんどは投資のことで頭がいっぱい」という自称株オタクで、会社員になるも投資に専念するため、数年前に専業投資家に転身している。
大学生のころから投資を始め、投資歴10年になる20代後半の若手投資家。40万円の元手に追加資金を加えた運用資産を10倍程度まで膨らませた実力から、交流するすご腕投資家たちからも「ネクスト億り人」として期待がかけられている。投資スタイルは、カタリストのあるバリュー株への投資。増配など株主還元策の強化による株価上昇を狙う。「起きている時間のほとんどは投資のことで頭がいっぱい」という自称株オタクで、会社員になるも投資に専念するため、数年前に専業投資家に転身している。
PBR(株価純資産倍率)1倍未満の企業で、期待できそうなところはどこか!
2023年1月に、東京証券取引所がPBR1倍割れ状態が続く上場企業に是正を促す方針を明らかにすると、株式市場では万年割安銘柄が企業価値の向上に取り組むとの期待で銘柄物色する動きが広がっている。
今回登場のゆうとさん(ハンドルネーム)は、こうした時代の到来を予測するかのように19年頃から、企業価値が解散価値に満たない企業や、資本効率に問題のある企業を狙った投資スタイルを駆使して、運用成績を伸ばしてきた。
40万円の元手に追加資金を投入した運用資産は、約10倍にまで拡大させている。また、交流するすご腕投資家の間から「株の知識は、達人たちをも上回る」とも評されている。
そんな20代のホープがゆうとさんだが、必ずしも順風満帆でここまで来たわけではない。10年前から紆余曲折を経て、ようやくたどり着いたのが、「結果を出せない馬でも、騎手が変われば勝ち馬になれる」というスタイルだ。
そんなゆうとさんの勝ち技を4回シリーズで見ていく。初回は、最近の成功例を取り上げる。
カタリストがあるバリュー株を狙う
ゆうとさんの22年の年間成績は前年比+25%と、TOPIX(東証株価指数)を30%ポイントほどアウトパフォームしている。ゆうとさんの投資対象は割安株になることから、昨年のバリュー優位の相場環境は追い風になったことは確かだ。
一方で、ゆうとさんが、割安是正の期待値が高い銘柄に狙いを定めていく手法が、昨年の好パフォーマンス(運用成績)につながった面がある。まだ資産の形成過程で、できるだけ効率よく資産を増やしたいとの思いから、ゆうとさんは割安水準を是正するカタリスト(株価変動のきっかけ)が明確で、しかも、いつ頃までに是正されそうだというタイミングが読みやすい銘柄に対象を絞っている。
言い換えると、万年割安状態が続くバリュートラップにハマるリスクを抑え、しかも投資効率の向上が期待できるものを狙っている。具体的には、村上世彰氏など物言う株主としての実績があるファンドなどが株を買い集めている銘柄や、昨年4月に再編された東証プライム市場に暫定措置で残った銘柄で、今後もプライム上場維持を目論む銘柄だ。
ゆうとさんは、「これは」と思う銘柄には、投資効率を上げるために集中投資を行う。一方で、集中すれば相応のリスクを伴うが、そのリスクを緩和させるため、下落リスクが限定的で期待値の高い銘柄に狙いを定める。
こうした手法で昨年夏から集中投資を始めたのが、ベンチャーキャピタル最大手のジャフコ グループ<8595>だ。注目したのは村上世彰氏の影響下にある投資ファンド、シティインデックスイレブンズ(以下、シティインデックス)によって、会社が支配される圧力がかかったこと。
ゆうとさんがジャフコ株に注目したのは、同社が昨年8月15日買収防衛策発動の方針を発表したことがきっかけだ。この発表の後、同社株は8月16日の2465円を高値に下落基調に。さらに同月25日にシティインデックスが提出した変更報告書による保有減を受け、29日には1952円まで大幅下落した。
この急落局面を利用して、ゆうとさんは平均取得単価2000円で同社株を取得する。ジャフコ株への配分はポートフォリオの80%まで高めた。その理由は、シティインデックスらがこのまま市場でジャフコ株を売り切る可能性は低く、「再度買い増して来るだろう」と読んだからだ。
ゆうとさんは、直近にジャフコ株を共同保有する南青山不動産が市場外取引によって2028円で大幅に買い増している状況から、この2000円水準を割り込むまでに売ることはないだろうと考えた。また、後述するジャフコの株主構成からも買収防衛策は賛同を得られない可能性が高いと見た。
そうなれば、いわゆる村上ファンドの過去の実例から、ジャフコは増配による株主還元の強化、もしくはシティインデックスなど関連ファンドが保有する同社株のTOB(株式公開買い付け)を実施するかのいずれかで22年末ごろまでに決着がつくと想定した。
その読みは的中し、ジャフコは昨年11月25日に株主還元の見直しと、自社株TOBによってシティインデックスなどが保有する自社株を買い取る対応策を発表した。これを受け、同社株は11月28日に2580円まで跳ね上がった。
その後、12月8日にジャフコは、自社株TOBを実施しないと表明した後に、再び同21日に実施を発表した。それを受けて、ゆうとさんは翌営業日から保有するジャフコ株の利益確定を開始し、TOB実施期間の最終日付近となる翌年1月末までに全保有分を手仕舞った。
利確時の株価は、2300円~2400円の水準。上昇は想定より小幅にとどまったが、集中投資によって資産拡大に成功した。
■ジャフコの日足チャート(22年1月~)
注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同
ここまで強気で攻められたのは、シナリオ通りにリターンを得られる期待値が高く、仮に当てが外れても、損失リスクは少ないと分析したからだ。
「村上さんは、PBR1倍割れの状態を放置していることが許せないんです」(本人)
ゆうとさんは、村上氏が過去に手掛けた東京スタイルやニッポン放送、阪神電気鉄道(いずれも現在は上場廃止)などの案件が株高につながるケースを分析し、村上氏の投資スタイルや案件が決着に持ち込まれるパターンや、注目すべき項目などを押さえていった。
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※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
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