貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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8035 東京エレクトロン

東証P
23,100円
前日比
+850
+3.82%
PTS
23,125.5円
15:17 11/25
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
20.2 5.97 2.47 17.40
時価総額 108,947億円
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春の嵐が世界市場を直撃、「米金融不安」ショックは相場の流れを変えるか <株探トップ特集>


―リーマン危機時とは状況異なるとの声、米金融政策の潮流変化でグロース株反発も―

 春の嵐が世界の金融市場を直撃している。先週、突如発覚した米銀行の経営破綻を契機に、「金融不安」が世界市場に伝播した。世界の株式市場では、金融不安を背景にした売りが膨らみ、銀行株などが軒並み安の状態となっている。果たして、この波乱はいつまで続くのか。また、相場の物色の流れはどう変わるのか。波乱状態に陥った市場の行方を探った。

●米SVBの経営破綻を契機に世界株安状態

 13日の米株式市場は金融株が軒並み安となり、NYダウは前週末比90ドル安で5日続落した。米SVBファイナンシャルグループ<SIVB>傘下のシリコンバレーバンク(SVB)に続き、シグネチャー・バンク<SBNY>が経営破綻したことが嫌気され、JPモルガン<JPM>など大手銀行が値を下げたほか、ファースト・リパブリック・バンク<FRC>やコメリカ<CMA>といった銀行株が軒並み安となった。

 この米株安は世界に波及しており、13日の欧州市場で英FTSE指数やドイツDAX指数は急落した。14日の東京市場も日経平均株価は前日比610円安と大幅に3日続落。三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]が前日に比べ8%超安と急落したほか、三井住友フィナンシャルグループ <8316> [東証P]やりそなホールディングス <8308> [東証P]などが売られた。

 この株安の発端となったのは、SVBファイナンシャルグループの業績悪化が表面化したことだ。特に10日にSVBが経営破綻したことが金融不安の引き金を引いた。同行はテクノロジー関連のスタートアップとの取引に強く、資金の運用で債券投資に傾斜していたが、金利上昇で巨額損失を計上した。その破綻規模は米銀で過去2番目と大きく、市場には一気に警戒感が台頭した。更に12日にはニューヨーク州を地盤とするシグネチャー・バンクの破綻も明らかとなった。同行は仮想通貨関連企業への融資が多かったとみられている。米金融当局は2行の預金全額保護を発表した。この措置は異例のものだが「リーマン・ショックの再来を防ぐもので市場に安心感を与えた」(アナリスト)という。

●SVBは特徴ある事業形態で一般商業銀行とは異なる

 今回破綻した2行はテック業界向けや仮想通貨関連などに強いという特徴のある銀行であり一般の商業銀行とは状況は異なることが指摘されている。直近で株価が急落しているファースト・リパブリック・バンクもテック業界向け融資が多いことが警戒されているようだ。更に、米国は連邦制の国であり、州によって金融の規制や監督の状況が異なるなか「今後は各州ともに銀行の監督を厳しくするとみられることも地銀株が売られる要因」(アナリスト)と指摘されている。その点、JPモルガンやバンク・オブ・アメリカ<BAC>といった大手銀行は、顧客層も幅広く運用先も分散されているため、債券安などの損失の影響は比較的抑えられているとの見方もある。

 あるファンドマネージャーは「バブルが大きく膨らんでいたリーマン・ショックの時と今の状況は異なる。状況次第では、もう何行か経営破綻する銀行が出てくるかもしれないが、あと2~3週間もすれば、相場は落ち着いてくると思う」と予想する。また、「恐怖指数と呼ばれるVIX指数は26前後まで上昇したが、これが30を突破するところまで上昇した時点で相場は落ち着くのではないか」(アナリスト)との見方も出ている。

●FRBの金融政策に影響も、米2月CPIも大きな焦点に

 米国発の金融不安がいつまで続くかは、見方が分かれる。しかし、今後の米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策に影響を与えそうだ、という点は一致する。今月21~22日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が予定されているが一時、市場に広がった0.5%利上げの公算は今回のショックで大きく後退し、むしろ利上げ見送りも囁かれ始めた。実際は0.25%利上げの可能性が高いが、FRBのタカ派姿勢は抑制されるとの見方が多い。前出のファンドマネージャーは「今月のFOMCを通過すれば、米金融不安も一巡し相場は通常モードに戻るのではないか」と予想する。

 そんななか、今晩発表される米2月消費者物価指数(CPI)が高い関心を呼んでいる。米2月CPIの上昇率が鈍化し、インフレ懸念が後退した場合、FOMCのタカ派姿勢に対する警戒感が薄れるなかでの米金利低下となりアップル<AAPL>やマイクロソフト<MSFT>といったグロース株が一気に見直される可能性がある。東京市場では、レーザーテック <6920> [東証P]や東京エレクトロン <8035> [東証P]などが優勢な展開となろう。高配当利回り株も再び買い直されそうだ。

●金融不安が継続ならディフェンシブ株と金関連株に出番か

 一方、FRBの舵取りが難しくなるのが、米2月CPIが依然として高水準でインフレ懸念が強い場合だ。景気後退と金利上昇というスタグフレーション懸念も頭をもたげてくるが、足もとの銀行株安もあり積極的な利上げは難しいことになる。その際は、ジョンソン・エンド・ジョンソン<JNJ>のようなディフェンシブ株やニューモント<NEM>のような金関連株が注目されそうだ。東京市場でもJR東日本 <9020> [東証P]や住友金属鉱山 <5713> [東証P]のような銘柄が見直されよう。

 更に、今月下旬以降も米国の金融不安が収まらないような場合も、やはりディフェンシブ株や金関連株が強含むことが予想される。日経平均株価は足もとの急落で、高値圏での示現ではあるが「三空叩き込み」の形を示している。急落を経て、ここからの戻りがあるかが注目されそうだ。

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