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8508 Jトラスト

東証S
435円
前日比
+4
+0.93%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
9.0 0.38 3.22 178
時価総額 599億円
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Jトラスト Research Memo(1):2023年12月期通期業績予想は韓国における金利上昇等を踏まえ保守的な計画


■要約

1. 会社概要
Jトラスト<8508>は、東京証券取引所(以下、東証)スタンダード市場に上場しており、傘下に国内外の金融事業を有するホールディングカンパニーである。現 代表取締役社長の藤澤信義(ふじさわのぶよし)氏の下、国内外で数々のM&Aにより成長を続けてきた結果、日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業を中心に資産規模を拡大してきたが、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による世界的な経済環境悪化に直面し、抜本的な事業ポートフォリオの再編に着手した。事業環境の落ち着きに伴い、利益拡大に向けて、成長性が高いJT親愛貯蓄銀行(株)(以下、JTCSB)及びNexus Card(株)を再グループ化するとともに、エイチ・エス証券(株)(2022年10月1日付でJトラストグローバル証券(株)(以下、JTG証券)に商号変更)を子会社化した。今後は主力の金融3事業に一層注力するとともに不動産事業を拡大することで、成長を図る計画だ。

2. 2022年12月期の業績概要
2022年12月期の営業収益は82,419百万円(前期比94.7%増)、営業利益は14,399百万円(同173.7%増)、税引前利益は16,995百万円(同188.1%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は12,632百万円(前期は1,123百万円)と大幅な増収増益決算となった。営業収益及びすべての利益項目で、2022年8月の上方修正予想を上回り、営業収益と営業利益は過去最高を記録した。セグメント別営業損益では、東南アジア金融事業がJトラスト銀行インドネシア(以下、BJI)の業績改善により同6,430百万円増となり黒字化を実現した。韓国及びモンゴル金融事業は堅調な事業状況に加え、Nexus Bank(株)グループの子会社化に伴う負ののれん発生益9,719百万円の計上もあり、同11,228百万円増となった。日本金融事業は販管費の増加等により同657百万円減となったが、計画を上回る利益を計上した。負ののれん発生益を除く金融3事業のセグメント営業利益は85億円に拡大したが、第4四半期(2022年10~12月)は韓国の金利上昇等の影響を受けて伸び悩んだ。以上から、2022年12月期末の親会社所有者帰属持分比率は10.5%となり、2022年3月期の東証1部銀行業平均の4.49%やその他金融業平均の6.14%を大きく上回る強固な財務基盤を維持している。また好決算を反映して、期初予想どおり同9.0円増配の10.0円の期末配当を実施する。

3. 2023年12月期の業績見通し
2023年12月期の連結業績については、営業収益115,000百万円(前期比39.5%増)、営業利益8,500百万円(同41.0%減)、税引前利益9,000百万円(同47.0%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益13,000百万円(同2.9%増)を見込んでいる。営業収益は過去最高の更新を計画しているものの、営業利益は韓国の金利上昇等の影響から減益を予想する。セグメント別営業損益について、日本金融事業は利益拡大を見込み、その他の事業は不動産事業会社の事業規模拡大に伴い大幅増益を計画する。なお、2023年12月期より不動産セグメントを新設する予定だ。一方、韓国及びモンゴル金融事業は金利上昇等の影響から、また東南アジア金融事業は企業の経営環境の悪化等に備えた貸倒引当金(損失評価引当金)の積み増しなどから、それぞれ損失計上を見込んでいる。ただ、従来同様に期初業績予想は保守的であると弊社では見ている。配当は前期比4.0円増配の通期14.0円(中間1.0円、期末13.0円)を予定していることに加えて、優待利回りが高い株主優待を復活させており、株主還元の充実にも取り組む経営姿勢は評価できよう。

4. 成長戦略
同社は、2020年12月期より抜本的な事業ポートフォリオの再編を進めてきた結果、成長フェーズに転換した。2021年12月期は黒字化を実現し、2022年12月期~2024年12月期の中期業績予想のもと増収増益計画を推進していたが、経営環境の変化を踏まえて新たに3か年計画(2023年12月期~2025年12月期)を発表した。最終年度となる2025年12月期に営業収益1,587億円、営業利益191億円を目指すが、韓国の金利上昇等の影響を受け、2023年12月期の営業利益は減益となる。セグメント別では、韓国及びモンゴル金融事業の営業利益は、高金利預金の剥落に伴い、2024年12月期には正常化すると見られる。東南アジア金融事業はBJIを中心に利益拡大が見込まれ、成長ドライバーとして期待される。日本金融事業は安定的な利益を計上する見通し。これらにM&Aによるプラス要因が加われば、さらなる増収増益も期待される。事実、2022年4月に傘下に収めたJTG証券は新たな金融商品の提供を開始し、(株)日本保証の保証残高の拡大を目指している。また、2023年2月には(株)ミライノベートを吸収合併し、不動産事業を一層拡大することで、同社グループの成長に寄与すると見られる。

■Key Points
・日本金融事業、韓国及びモンゴル金融事業、東南アジア金融事業など、アジアの金融事業を中心に発展を目指す金融グループ
・2022年12月期は上方修正後の業績予想を達成。東南アジア金融事業が黒字化を実現したほか、韓国及びモンゴル金融事業や日本金融事業も順調に推移。大幅な増配を実施
・2023年12月期は韓国の金利上昇等の影響から減益を見込む。増配及び株主優待制度復活など株主還元を充実
・日本金融事業と韓国及びモンゴル金融事業での安定的利益計上、東南アジア金融事業の利益拡大、不動産事業の利益貢献により、グループの持続的な成長を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

《YI》

 提供:フィスコ

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