「さようならマスク」本番、「化粧品・美容」関連株が本格復活の狼煙上げる <株探トップ特集>
―13日から着用は任意に、インバウンド需要の回復にも期待高まる―
新型コロナウイルスの国内での感染が確認されてから3年が過ぎ、いまやマスクの着用は日常の風景となった。しかし、新型コロナ感染拡大にピークアウト感が広がるなか、政府は13日からマスク着用は任意とする方針を示した。いよいよ「さようならマスク」が本格化する。これに伴い、復活期待が高まるのは何と言っても化粧品株だ。出張や観光など外出の機会も増えるなか、化粧品を多く取り扱う 百貨店や美容関連への リベンジ消費需要の増加にも期待が掛かる。
●人前で素顔の日常戻り化粧品需要は復活へ
「脱マスク」の動きがついに本番を迎える。来週13日から、屋内・屋外を問わずマスクの着用は個人の判断に委ねられる。コロナ禍のもと3年にわたり余儀なくされたマスク着用の生活は大きな節目を迎えることになる。この脱マスクに絡み、復活モード突入が見込めるのが化粧品業界だ。マスクを取り素顔を人前で見せることになるため、口紅やスキンケア商品などへの需要が復活することは必至だ。
米国では昨年9月、バイデン大統領が「パンデミックは終わった」との見解を示した。これを契機に、アルタ・ビューティ<ULTA>、コティ<COTY>、サリー・ビューティ・ホールディングス<SBH>など化粧品関連株が上昇基調を強めている。海外に遅れて脱マスクが進むとみられる日本だが、化粧品関連企業は商機を捉えるべく注力姿勢を強めている。今春は、各ブランドで名品のリニューアルや新製品の発売ラッシュを迎える。リップスティックやチークなどの新作や新色、春限定色、復刻版など、マスクなしの生活を見据えたラインアップが勢ぞろいで、「化粧品の売れ行きは上々」と大手百貨店広報担当者は話す。
●インバウンド需要の回復も追い風に
日本百貨店協会が発表した1月の全国百貨店売上高概況で、化粧品は前年同月比8.5%増を記録し11ヵ月連続で伸長。特に東京地区において、急増する インバウンド需要に加え、一部ブランドにおいて価格改定前の駆け込みもあり同11.4%増の2ケタ増となった。更に、先週出そろった大手百貨店各社の2月の月次売上高も総じて好調。なかでもエイチ・ツー・オー リテイリング <8242> [東証P]はコロナ禍前19年2月の実績を上回った。国内のリベンジ消費需要により高額品が変わらず好調なほか、外客の強い購買需要が売り上げを押し上げる構図が鮮明となっている。
●日本製化粧品の海外人気に一段の高まりも
日本の化粧品は特にアジア圏において圧倒的な人気を誇っている。「ダブル洗顔」「美白」など日本独自のスキンケア商品はアジアの人々の共感を呼ぶものが多い。また、漢方や植物由来成分の使用など、高機能・高品質な「メイド・イン・ジャパン」製品への信頼もある。今後は、国内需要の本格回復に加え、コロナ禍を背景に健康や環境に対する意識が更に向上していることから日本製化粧品の海外での人気が一段と高まることが考えられる。関連銘柄としては、大手化粧品の資生堂 <4911> [東証P]や高級化粧品に強いコーセー <4922> [東証P]、無添加化粧品のファンケル <4921> [東証P]などにまず注目だ。
また、カウンセリング化粧品「ノエビア」や豆乳イソフラボンを配合した人気セルフ化粧品ブランド「なめらか本舗」、低刺激セルフ化粧品「ノブ」などを手掛けるノエビアホールディングス <4928> [東証P]からも目が離せない。2月7日に発表した23年9月期第1四半期(22年10-12月)の連結営業利益は前年同期比20.0%増の33億2900万円と順調な滑り出しだった。今期は、リアル販売への回帰でカウンセリング化粧品における対面販売力を強化するほか、セルフ化粧品に関しては拡販により収益拡大を図るとしている。
富士フイルムホールディングス <4901> [東証P]も要注目だ。同社が写真分野などで培った技術を活用した高機能化粧品「アスタリフト」ブランドは07年の発売から4年目で売上高100億円を突破する実績を挙げた。男性の美容意識の高まりを受け、19年には男性用スキンケアブランド「アスタリフト メン」も発売し、ビジネスマンの出張や旅先、ゴルフ、ジムなどでの需要を取り込み話題となった。
健康食品や化粧品のネット販売を主力とする北の達人コーポレーション <2930> [東証P]は、独自の目線で商品を自社企画し、製造をアウトソーシングするビジネスモデルが特徴だ。中期的目標である売上高1000億円(23年2月期予想98億2500万円)、営業利益300億円(同7億7300万円)を達成するため、得意とするニッチトップ戦略を推し進めている。また、台湾などのECモールへ新規出店するなど海外展開も更に強化していく。
●ヘアケアではミルボン、Ineなどが活躍
外出する機会が増えれば、「ヘアケア」など美容にかける金額も増える。美容院向けヘア化粧品専業で首位のミルボン <4919> [東証P]や、ボタニカルシャンプーなどのヘアケア・ボディケア商品を手掛けるI-ne <4933> [東証G]、美容サロン向け低価格PB商品などをインターネット販売するビューティガレージ <3180> [東証P]は、軒並み今期の最高益更新を見込んでいる。
コラーゲン・ゼラチンや化粧品が主力のニッピ <7932> [東証S]は昨年11月、23年3月期の連結営業利益を13億円から16億5000万円(前期比6.2%減)へ上方修正した。化粧品事業では、「ニッピコラーゲン100」が健康志向の高まりなどを受けて好調に推移している。
化粧品の原材料に関連する化学関連企業などにも注目したい。例えば、高砂香料工業 <4914> [東証P]は香料国内最大手で、フレグランス市場においても圧倒的な存在感を持つ。2月に発表した23年3月期第3四半期累計(22年4-12月)の連結営業利益は55億6800万円(前年同期比25.1%減)となったが、通期計画の50億円(前期比43.3%減)を上回って着地しており、業績の上振れが期待される。
また、DIC <4631> [東証P]傘下の米サンケミカル社は、有機・無機顔料の分野で世界トップクラスの実績を誇り、その製品は多くの化粧品メーカーに採用されている。更に、「高弾力性」「ぷるぷる感」などの性能を化粧品に付与する機能付与型の化粧品原料を扱うADEKA <4401> [東証P]や、口紅などのOEM生産を手掛け、商品開発から最終製品までの一貫した生産体制を強みとしている日本色材工業研究所 <4920> [東証S]などもマークしたい。
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