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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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2004 昭和産業

東証P
2,769円
前日比
-7
-0.25%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
8.2 0.68 2.89 4.37
時価総額 914億円
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高ROIC銘柄は「花の山」、YCC終了でも底力発揮の有望株大選抜 <株探トップ特集>


―確実視される金融政策の転換局面、クオリティー銘柄への資金流入に期待膨らむ―

 金利上昇時は利ザヤ改善の期待から金融株が選好され、グロース(成長)株は敬遠されると考えられている。だがグロース株といっても経営の効率性が高く、金利上昇時でも高収益が期待できるクオリティー銘柄が少なからず存在する。

 こうした銘柄が大きく売られミスプライス(適正価格から乖離した状態)が発生すれば、投資家には押し目買いの好機となるに違いない。クオリティー銘柄の指標として近年、注目度が高まっているのがROIC(投下資本利益率、ロイック)だ。経営目標に掲げる企業が相次いでおり、株式市場での評価余地も広がっている。

●見過ごせぬYCCと資本コスト、株価の関係性

 3月9~10日の日銀の金融政策決定会合は黒田東彦総裁の下で開かれる最後の定例会合となる。政策変更は見送られるとの見方が大勢となっているが、市場の一部ではサプライズ的な政策修正を予想する向きもあるようだ。

 仮に今回の会合で修正が見送られたとしても、植田和男・次期総裁候補の新体制でイールドカーブ・コントロール(YCC)政策が見直されるという観測そのものが消えることは考えにくい。長期金利の変動許容幅の上限が撤廃、または引き上げられた場合は、国内の債券利回りに対し一時的に上昇圧力が掛かるとの思惑が続くと想定されている。

 教科書的には金利上昇は株安要因だ。例えばDCF(ディスカウントキャッシュフロー)法では、企業の将来の各年度におけるフリーキャッシュフロー(FCF)を「割引率」で割り引いて「現在価値」に置き換え、それらを足し合わせた企業価値をもとに理論株価を算出する。

 割引率は加重平均資本コスト(WACC)とも呼ばれる。金利上昇はWACCの上昇につながり、企業価値を低下させる。日本板硝子 <5202> [東証P]と味の素 <2802> [東証P]が直近で海外事業の資産に関する減損損失の計上に動いたのも、このロジックによるものだ。

 また、実際に計算すると分かりやすいのだが、FCFが急拡大すると期待されるグロース企業と、FCFが一定と見込まれる企業を比較すると、WACCの上昇による企業価値の低下の度合いは計算上、前者のほうが大きくなってしまう。米長期金利の上昇で米ハイテク株が売られる理由のひとつとなっている。

●ROEの欠点をカバーするROIC

 経営効率性の代表的な尺度であるROE(自己資本利益率)は、負債を増やし、財務レバレッジを高めることによっても理論上は上昇する。高ROE銘柄でも有利子負債が積みあがれば、金利上昇時に財務が悪化するリスクが高まることとなる。

 こうした欠点を補うのがROICだ。一般に株主資本(あるいは自己資本)と有利子負債を足した「投下資本」を分母とし、「NOPAT(税引き後営業利益)」を分子として算出する。

 簡易的な算出方法として現在、個人投資家を中心に活用されているのが、以下のような手法のようだ。NOPATは、決算が日本基準の場合、営業利益から法人税等合計額(いずれも前期の1年間の実績値)を引いた値とする。分母は直近四半期末時点の有利子負債(借入金や社債、コマーシャルペーパーなどの合計)と、自己資本(株主資本とその他の包括利益累計額の和)を足したものとする――。

 市中金利が上昇すれば理論上は有利子負債が膨らみ、分母の増加を伴ってROICは低下する。また、ROICがWACCを上回る水準にあれば、企業価値は創造されることとなる。とすれば、WACCの上昇が「痛み」をもたらさないレベルまでROICが高水準にあれば、金利上昇時にも企業価値を高め続けることができ、株価の上昇も期待できるようになる。ちなみにWACCは日本企業では7%以上が目安とされているようだ。

 生命保険協会による「企業価値向上に向けた取り組みに関するアンケート調査(2021年度版)」によると、中期経営計画や経営目標として重視すべき指標(複数選択)のうち、ROICを挙げる投資家の割合は46%となった一方、目標として公表する企業の割合は13%にとどまっており、大きな開きがある。

 直近では大林組 <1802> [東証P]や昭和産業 <2004> [東証P]がROICの目標値を掲げたが、今後、市場に後押しされる形で、ROICの目標値を示す企業が増えそうだ。今回の株探トップ特集では、前述の方法をもとに算出したROICが高水準であり、業績拡大が期待できる6銘柄をピックアップする。

●金利上昇時でも底堅い業績が期待できる高ROIC6銘柄

◎SHOEI <7839> [東証P]

 高級ヘルメットで世界首位。ROICは26.8%に上る。23年9月期第1四半期(22年10-12月期)の営業利益率は32%と収益性の高さも目を引く。それでも北米市場は代理店による在庫拡充の反動で販売数量が落ち込んだ。コロナ禍では3密を避ける手段として二輪車の需要が高まったといわれている。経済活動が正常化に向かうなかでヘルメット需要への影響が懸念されたが、決算短信では需要が急速に減退している事実は報告されていないと言及している。一方、アジア市場での販売は前年同期比71%増と急拡大しており、今後の中国景気の回復による業績面でのポジティブな効果に期待が膨らむ。

◎ジェイエイシーリクルートメント <2124> [東証P]

 国内の1月の有効求人倍率は2年5ヵ月ぶりに前月を下回った。物価の上昇に伴って、転職希望者が増えたことが背景にあるとみられており、人材紹介サービスを手掛ける同社の事業に追い風が吹く。23年12月期の営業利益は前期比10.3%増の77億7000万円と連続過去最高益を見込む。ROICは32.5%。財務安定性が高く、トップラインの伸びも期待できるという、攻守両面で優れた銘柄としてマークしたい。

◎インソース <6200> [東証P]

 企業への講師派遣型研修などを提供する「リスキリング」銘柄で、ROICは39.2%。23年9月期の最終利益は前期比13.7%増の25億4000万円と過去最高を計画する。講師派遣型の研修実施回数や公開講座の受講者数は、2月までの月次実績をみても堅調に推移。バリュー銘柄選好の流れのなかで株価は調整色を強めたが、下値では押し目買いに動く投資家の姿勢も顕著となっている。中長期目線で資金を振りむけるうえでの有望銘柄として押さえておきたい。

◎プラスアルファ・コンサルティング <4071> [東証G]

 ROICは26.5%。人事情報管理システム「タレントパレット」などのクラウドサービスを提供する。23年9月期の最終利益は前期比44.7%増の26億円と、こちらも過去最高を見込む。同システムの販売は計画を上回って推移しており、解約率も低水準という。2月には東証プライム市場への市場区分変更申請に向けた準備を行うことを決議しており、今後の動きが注目されそうだ。

◎日本オラクル <4716> [東証S]

 米オラクル<ORCL>の日本法人で、投資負担の必要に迫られることが少なく、キャッシュが積み上がりやすい構図にある。23年5月期第2四半期累計(22年6-11月)の営業利益は前年同期比1.8%増と、第1四半期の4.7%減から一転して増益で着地した。クラウド事業では、製造業をはじめ幅広い業種や官公庁のIT投資拡大が業績の押し上げ要因となっているようだ。ROICは39.1%。値上げ効果に伴う業績の上振れ期待も株高に弾みをつける要因となりそうだ。

◎ベース <4481> [東証P]

 ソフトウェアの受託開発などを手掛ける。ROICは26.3%。23年12月期は営業利益で前期比20.0%増の46億9200万円を見込む。富士通 <6702> [東証P]や野村総合研究所 <4307> [東証P]、NTTデータ <9613> [東証P]、みずほフィナンシャルグループ <8411> [東証P]傘下のみずほ証券という既存顧客との強固な関係性を生かし、経営リソースを集中する戦略も評価されている。株価は上場来高値圏で推移しており、過熱感も意識されているが、調整局面では中長期の業績拡大を期待する投資家の買いが入る展開も十分あり得るだろう。

※各社とも企業側の公表値や情報提供業者が算出する値と一致しないケースがある。

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