東京通信 Research Memo(3):ヘルステック、ライブコマース、メタバース等、新規事業の展開に注力(1)
■事業概要
2. 事業内容
東京通信<7359>はインターネットメディア事業、プラットフォーム事業、インターネット広告事業の3事業体制であったが、2023年12月期第1四半期より、「インターネットメディア事業」と「インターネット広告事業」を「メディア事業」に統合した。これにより、「メディア事業」と「プラットフォーム事業」の2事業体制に移行している。また、報告セグメントに含まれない事業セグメント「その他」があり、投資事業やメタバース、デジタルサイネージなどの新規事業を手掛けている。
(1) メディア事業
メディア事業では、主にスマートフォン向けアプリメディアの企画・開発を行っている。アプリ内の一部スペースを広告枠とし、広告を出稿したい広告主へ提供することで、ユーザーの広告視聴やクリック数等を獲得し、広告収入を得ている。
具体的には、短時間で操作できる「国内向けアプリ」、シンプルな操作で言語の壁がない「ハイパーカジュアルゲーム」を中心に、現在4,000タイトル以上のスマートフォンアプリをリリースし、無料アプリ内の広告収益を主軸としたビジネスモデルとなっている。2020年11月にリリースした「Save them all」がダウンロードランキングにて、国内をはじめとする7ヶ国で第1位を獲得するなど大ヒットタイトルとなったほか、「stop the flow!」がApp Store Awards 2022(トップ無料ゲームランキング)」で第9位を獲得するなど、ユーザーから高い支持を得ている。最近では、外部IPを活用したハイパーカジュアルゲームアプリの開発やPlay-to-Earnゲームの展開にも注力している。さらに、新たな新事業領域として、GameFi領域への参入も表明している。GameFiへの参入に関してはネクスグループ<6634>とアライアンス契約を締結し、「ネクスコイン」を基軸通貨とするブロックチェーンゲームに特化したゲーム配信プラットフォームである「NCXC GameFiプラットフォーム」へ、ブロックチェーンゲームの供給を行っていく方針だ。
また、インターネット広告事業も2023年12月期第1四半期より、同セグメントに統合された。インターネット広告事業は、アフィリエイト広告及びアドテクを活用して広告主の収益の最大化を図り、取引の不正防止に重点を置くなど、大手クライアントとの信頼関係を構築し、安定した広告提案から運用までを手掛ける。業界に造詣の深い人材を中心とした組織を構築し、クローズドネットワークの活用により有望なアフィリエイターを抱え、VOD(ビデオ・オン・デマンド)サービスをはじめとしたアフィリエイト広告戦略を強みとする。
(2) プラットフォーム事業
プラットフォーム事業では、恋愛や、仕事、人生に関する悩みを抱えるユーザーと、経験豊かなアドバイザーをマッチングする電話相談サービス「カリス」、筋トレ系インフルエンサーのTestosterone氏が監修するヘルステックサービス「OWN.」、アーティストなどとの双方向のコミュニケーションを実現する推し活×メッセージアプリ「B4ND」、ANAPと共同で展開するアパレル商品を中心に取り扱うライブコマース「PCAN Live」など、新たな収益基盤として期待される新規事業を多く展開している。
(a) 電話占い「カリス」
電話占いは、相談を受ける側である占い鑑定師のマネジメントや教育にも注力し、全体的なコンテンツの質を高めることでユーザー獲得を行っている。また、「カリス」のノウハウを転用した恋愛相談サービスも行っている。占いと恋愛相談は心理的に近い分野であり、恋愛に悩みを持つ人、誰かに恋愛相談したい人などにまで顧客層を広げる計画だ。さらに、2023年4月には、サイバーエージェントから「SATORI電話占い」の事業を譲受することを予定している。これにより、電話占い市場におけるシェアのさらなる拡大を実現していく。
(b) ヘルステックサービス「OWN.」
200万以上のフォロワーを擁する筋トレ系インフルエンサーの Testosterone氏が監修する「OWN.」は、動画でのトレーニング要素に加え、画像認識による食事の自動解析、体重管理や摂取カロリー計算機能を追加したヘルステックサービスとなっており、健康でエネルギッシュな状態を生涯にわたって維持するのに役立つプロダクトを提供するウェルネスブランドとして事業展開している。Web・Appマーケティングとインフルエンサーマーケティングの両輪でアプリダウンロード数を最大化し、ショートムービー型SNSを駆使しながら、ダウンロードユーザーの課金比率向上を狙う。国内若年層を最初のターゲットとし、トレーナーと顧客をマッチングさせるサービスなどを視野に入れ、世界でトップのサービスを目指す。
また「OWN.」ブランドの積極的な事業展開も計画している。プロテインやサプリメントの販売に加えてアパレル及びトレーニンググッズの販売も開始しており、ヘルスケアにおける包括的なサービスの提供を志向している。将来的には、リアル店舗を構えるフィットネスジムへの展開、健康経営を目指す企業への福利厚生サービスとしての提供なども検討しており、スマートフォンアプリである「OWN.App」を起点にサービスの幅を拡大させていく計画だ。「OWN.」の利用ユーザーは着実に増加しており、2023年1月時点で「OWN.App」のダウンロード数は累計10万ダウンロードを突破した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
《SI》
提供:フィスコ