ナノキャリア Research Memo(5):アクセリードと包括的協業関係に
■最近の提携動向
ナノキャリア<4571>は2023年1月、アクセリードとmRNA医薬品の研究開発・製造に関する包括的協業関係に関する契約を締結した。アクセリードは、武田薬品工業<4502>の創薬研究部門の一部事業を承継し、医薬品・医療機器の研究開発から製造にわたるバリューチェーンを構築・拡大している、傘下に複数の企業を持つ総合的創薬ソリューションプロバイダーである。mRNA医薬を用いた変形性関節症については、早期からmRNAに特化した医薬品製造受託機関(CDMO)((株)ARCALIS(アクセリードの子会社))との協業などを想定している。既述のとおり、両社は本件開発のための合弁会社PrimRNAを共同設立しているが、新しいmRNA医薬ビジネスを推進するに当たり、mRNA医薬品の研究開発・製造に関する一連の業務において包括的協業関係を構築することを目的に本契約を締結した。これにより、新規mRNA創薬ターゲットの創出、製造、非臨床試験の実施、新規医薬品候補IPの創出、製薬会社へのIPの売却まで、ワンストップ対応を推進していく。
ENT103は2023年度前半には販売の見通し
同社は2018年6月より耳鼻咽喉科領域のスペシャリティーファーマであるセオリアファーマとENT103の共同開発を実施してきた。四半世紀ぶりの本格的な国内第III相臨床試験を完了させ、2022年4月に製造販売承認申請を実施した。通常は、約1年で承認取得、その後薬価収載されて販売に至る。同社は1年前に申請しており、2023年度前半には販売の見通しとしている。現在、セオリアファーマと連携のもと承認申請後の当局対応などを実施しているほか、販売計画に関する協議やプロモーション計画の立案および販売体制の整備を行っている。本製品については、販売はセオリアファーマが担当し、販売利益をシェアすることとしている。初年度はマーケティング費用などが計上される見込みであり、売上は徐々に立ち上がるとみている。今後は、利益を生み出す上市製品を所有するバイオベンチャーとなる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
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提供:フィスコ