明日の株式相場に向けて=「インバウンド、6G、AI」新主役探し
きょう(2日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比17円安の2万7498円と小幅ながら3日ぶりに反落。米国では米10年債利回りが遂に4%台に乗せてきたが、NYダウは終盤買い戻され小高く引けており、東京市場も過度な警戒ムードは感じられない。ドル円相場は再び円安のスイッチが入っているが、これも株式市場的にはウェルカムである。ただし、国内のインフレは今後かなり意識されることになりそうだ。来週の日銀金融政策決定会合は、黒田日銀総裁の最終登板となるが、“立つ鳥跡を濁さず”でYCC解除というウルトラCもまことしやかに市場で囁かれる。今は嵐の前の静けさかもしれないが、足もとの物色意欲は旺盛であるのも事実で、慎重かつ大胆に個別株戦略を進めていきたい。
今月から中国を対象とした水際対策が緩和され、中国本土からの直行便による入国者に対するウイルスチェックが簡素化されている。以前は中国人による日本国内での消費熱は爆需といわれるほどインバウンドの代名詞的な存在だった。これまで、中国抜きでも訪日外国人による経済効果はかなりインパクトがあったが、ここからは新たな需要の上乗せが見込まれることで、上昇一服となっていた関連株に物色の矛先が向かう可能性がある。
前日の当欄ではホテル関連として京都ホテル<9723>やワシントンホテル<4691>、ツカダ・グローバルホールディング<2418>などを取り上げたが、このほか1月中旬から異彩を放つ上昇波を構築しているABホテル<6565>も目が離せない。ただ、「ホテル側にすれば著しく人手が足りない状況で商機を捉えるのも簡単ではない」(中堅証券アナリスト)という指摘もある。こうなると、その周辺企業のビジネスチャンスにも着目しておく必要がある。例えばホテル向け厨房業務を請け負うCSSホールディングス<2304>は要マークとなる。インバウンド関連では、羽田をはじめ国内12空港で施設の運営を行い、冷暖房や水供給事業も手掛ける空港施設<8864>にもスポットライトが当たる。株価は2月24日にマドを開け大陽線で上放れた後も次第高の展開をみせており、上昇一服場面は狙えそうだ。このほか、昨年来当欄でも追い続けてきた力の源ホールディングス<3561>だが、株価は約5年ぶりの高値圏に浮上しているものの依然として頭打ち感がない。インバウンド・コト消費であれば、ボウリング場やエンタメ施設を運営するラウンドワン<4680>や「カラオケまねきねこ」を展開するコシダカホールディングス<2157>などに注目だ。
インバウンド以外のテーマでチェックしておきたいのは6G関連。NTT<9432>とKDDI<9433>が5Gの次世代規格となる6G光通信分野で提携するという報道がなされたが、「これは5Gで米韓の後塵を拝した日本が官民を挙げて本気でマウントを取りに行く意思表示」(国内投資顧問ストラテジスト)という見方がある。現時点では、まだマーケットでこれをテーマ視する動きは希薄ながら、関連銘柄としては光測定器や、光パワーモニター、光フィルターなどの光関連部品をグローバル展開するsantec<6777>や、通信設備のシェアリングのほか電波タワーに展開するJTOWER<4485>などが挙げられる。5G関連の象徴株であったアンリツ<6754>なども外せない銘柄となる。
更に「Chat GPT」でにわかにテーマ性を再燃させている人工知能(AI)関連は、目先低PBR銘柄への物色の流れが形成されるなか、ひと頃ほどの勢いはないものの、今なお根強く波状的に投資資金が流れ込んでいる。そのなかAI inside<4488>やヘッドウォータース<4011>、プライム・ストラテジー<5250>など直近IPO銘柄やグロース市場上場銘柄にハイボラティリティな値動きが目立っている。その観点から休養十分のテクノロジーズ<5248>などは面白い存在となる。
低PBR銘柄も引き続き循環物色の波が打ち寄せている状況だ。プライム上場企業の半数がPBR1倍割れという現実をみても分かるように物色の裾野は広く、高配当利回り銘柄と被る部分もあるだけに、テーマ性が色褪せない。中期的に全体指数の下支え効果も期待できる状況にある。新たなところではウェッズ<7551>の押し目に着目してみたい。
あすのスケジュールでは、2月の都区部消費者物価指数(CPI)、1月の失業率、1月の有効求人倍率、3月の日銀当座預金増減見込みがいずれも朝方取引開始前に発表される。また、午前中に3カ月物国庫短期証券の入札が行われる見通し。海外では2月の財新中国非製造業購買担当者景気指数(PMI)、2月の米ISM非製造業景況感指数など。(銀)
出所:MINKABU PRESS
最終更新日:2023年03月02日 18時05分
今月から中国を対象とした水際対策が緩和され、中国本土からの直行便による入国者に対するウイルスチェックが簡素化されている。以前は中国人による日本国内での消費熱は爆需といわれるほどインバウンドの代名詞的な存在だった。これまで、中国抜きでも訪日外国人による経済効果はかなりインパクトがあったが、ここからは新たな需要の上乗せが見込まれることで、上昇一服となっていた関連株に物色の矛先が向かう可能性がある。
前日の当欄ではホテル関連として京都ホテル<9723>やワシントンホテル<4691>、ツカダ・グローバルホールディング<2418>などを取り上げたが、このほか1月中旬から異彩を放つ上昇波を構築しているABホテル<6565>も目が離せない。ただ、「ホテル側にすれば著しく人手が足りない状況で商機を捉えるのも簡単ではない」(中堅証券アナリスト)という指摘もある。こうなると、その周辺企業のビジネスチャンスにも着目しておく必要がある。例えばホテル向け厨房業務を請け負うCSSホールディングス<2304>は要マークとなる。インバウンド関連では、羽田をはじめ国内12空港で施設の運営を行い、冷暖房や水供給事業も手掛ける空港施設<8864>にもスポットライトが当たる。株価は2月24日にマドを開け大陽線で上放れた後も次第高の展開をみせており、上昇一服場面は狙えそうだ。このほか、昨年来当欄でも追い続けてきた力の源ホールディングス<3561>だが、株価は約5年ぶりの高値圏に浮上しているものの依然として頭打ち感がない。インバウンド・コト消費であれば、ボウリング場やエンタメ施設を運営するラウンドワン<4680>や「カラオケまねきねこ」を展開するコシダカホールディングス<2157>などに注目だ。
インバウンド以外のテーマでチェックしておきたいのは6G関連。NTT<9432>とKDDI<9433>が5Gの次世代規格となる6G光通信分野で提携するという報道がなされたが、「これは5Gで米韓の後塵を拝した日本が官民を挙げて本気でマウントを取りに行く意思表示」(国内投資顧問ストラテジスト)という見方がある。現時点では、まだマーケットでこれをテーマ視する動きは希薄ながら、関連銘柄としては光測定器や、光パワーモニター、光フィルターなどの光関連部品をグローバル展開するsantec<6777>や、通信設備のシェアリングのほか電波タワーに展開するJTOWER<4485>などが挙げられる。5G関連の象徴株であったアンリツ<6754>なども外せない銘柄となる。
更に「Chat GPT」でにわかにテーマ性を再燃させている人工知能(AI)関連は、目先低PBR銘柄への物色の流れが形成されるなか、ひと頃ほどの勢いはないものの、今なお根強く波状的に投資資金が流れ込んでいる。そのなかAI inside<4488>やヘッドウォータース<4011>、プライム・ストラテジー<5250>など直近IPO銘柄やグロース市場上場銘柄にハイボラティリティな値動きが目立っている。その観点から休養十分のテクノロジーズ<5248>などは面白い存在となる。
低PBR銘柄も引き続き循環物色の波が打ち寄せている状況だ。プライム上場企業の半数がPBR1倍割れという現実をみても分かるように物色の裾野は広く、高配当利回り銘柄と被る部分もあるだけに、テーマ性が色褪せない。中期的に全体指数の下支え効果も期待できる状況にある。新たなところではウェッズ<7551>の押し目に着目してみたい。
あすのスケジュールでは、2月の都区部消費者物価指数(CPI)、1月の失業率、1月の有効求人倍率、3月の日銀当座預金増減見込みがいずれも朝方取引開始前に発表される。また、午前中に3カ月物国庫短期証券の入札が行われる見通し。海外では2月の財新中国非製造業購買担当者景気指数(PMI)、2月の米ISM非製造業景況感指数など。(銀)
出所:MINKABU PRESS
最終更新日:2023年03月02日 18時05分