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4776 サイボウズ

東証P
2,063円
前日比
+8
+0.39%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
32.4 7.12 0.73 12.07
時価総額 1,088億円
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テック新潮流「ノーコード開発」、パラダイム転換で急変貌の有望株が跳ぶ <株探トップ特集>


―導入する企業や自治体が急増、米IT大手のみならず多様なプレイヤーが躍動中―

 テックの新潮流を語るうえで、「ノーコード開発」から目を離すことはできない。専門的なプログラミング知識がなくても企業の業務効率化や生産性の向上を促すアプリケーションを構築できる開発手法を指し、IT人材が不足するなかで急速に普及している。直近では自治体などが予算案にノーコード開発に関連する費用を計上する例も相次いでいる。今回の株探トップ特集では、 システム開発領域でのパラダイム転換の波に乗りそうな銘柄群について掘り下げていく。

●市場規模は年率18%で急成長

 企業や自治体での採用が急拡大しているノーコード開発とともに、ある程度のコードの記述が必要となる分、比較的開発の自由度が高くなる「ローコード開発」もある。調査会社IDCの試算によると、これらに関連する市場の売上規模は世界全体で年率約18%の成長を続け、2026年には210億ドル(約2兆8560億円、1ドル=136円で換算)に達すると予想されている。代表的な開発ツールには、米マイクロソフト<MSFT>のローコード開発ツール「パワーアップス」や、米セールスフォース<CRM>の「ライトニングプラットフォーム」などがあるが、変化の波に乗るのは米IT大手ばかりではない。

 日本電信電話 <9432> [東証P]グループでは、NTTデータ <9613> [東証P]子会社のエヌ・ティ・ティ・データ・イントラマート <3850> [東証S]が昨年12月、トヨタ自動車 <7203> [東証P]グループのトヨタファイナンスにローコード開発関連の製品が採用されたと公表した。ITサービス国内大手のSCSK <9719> [東証P]は昨年10月、業務アプリが作成できるノーコード開発サービス「CELF(セルフ)」について、欧州地域を皮切りにグローバル展開する方針を示している。更に国内では昨年、ノーコード開発の普及啓発活動などを行う業界団体「ノーコード推進協会」が設立された。IT企業各社が事業拡大の好機を虎視眈々と狙っている状況にある。

●「キントーン」の売上高は100億円突破

 多様なプレイヤーが存在する国内市場のなかで、代表銘柄と位置付けられるのがサイボウズ <4776> [東証P]だ。同社の主力製品であるクラウド型の業務改善プラットフォーム「kintone(キントーン)」は特別なスキルを必要とせず、マウスによるドラッグとドロップなど簡単な操作でアプリを作成できるもの。昨年末時点の国内契約社数は約2万7500社と順調に拡大。導入する自治体は約190に上る。

 今年2月に公表した22年12月期の連結決算は売上高が前の期比19.4%増の220億6700万円。営業利益は広告宣伝投資がかさんだ影響などにより、同57.5%減の6億1100万円となったが、「キントーン」の売上高は同32.4%増の104億1400万円と急拡大し、100億円の大台を突破した。今期は広告宣伝投資については一定の認知度を獲得できたと判断し、認知度維持のための投資に抑制する方針。今期の営業利益は前期比3.9倍の23億7600万円と過去最高益の更新を計画している。

 ノーコード開発アプリ「Yappli」のヤプリ <4168> [東証G]も関連銘柄の最右翼と位置付けられている。23年12月期は売上高での20%前後の成長とともに、営業黒字への転換を目指す構え。サイボウズと同様の理由で今期は広告宣伝投資を抑制する方針。課題となった新規の獲得件数に関しては中堅・中小企業向けの専任チームの組成や、地方拠点でのセールス強化などの対策をとるという。

 アステリア <3853> [東証P]は、同社の幹部がノーコード推進協会の代表理事を務めている。データ連携ツール「Warp」を活用したノーコード開発を導入する業種は多岐にわたっており、昨年末時点で導入社数が9800社を超え、4~12月の同ツールの売上高は同期間として過去最高になったという。

●トヨクモ、キーウェアにも評価余地

 ローコード・ノーコード開発はコロナ禍後のデジタルトランスフォーメーション(DX)化や、IT人材難という現状の打破という文脈で語られることが多いが、そもそもトヨタの「カイゼン」活動に代表されるような、企業活動の課題を解決するための地道な手段の一つであるのも確かだろう。

 そのトヨタのお膝元、愛知県を拠点とする企業で注目を集めているのがトライエッティング(名古屋市中区)だ。名古屋大学発のAIスタートアップで、膨大なデータをもとにした需要予測が可能となるノーコードAIクラウド「UMWELT」を主力製品とし、経済メディアでの露出度も高まりつつある。同社の株主には豊田合成 <7282> [東証P]や東急不動産ホールディングス <3289> [東証P]、Sun Asterisk <4053> [東証G]などが名を連ねている。UMWELTの普及と、各社の事業との相乗効果に関心が集まりそうだ。

 小型株では、トヨクモ <4058> [東証G]がサイボウズのキントーンと連携する豊富なサービスを強みとしている。23年12月期は単体売上高で前期比20.3%増の23億3000万円、最終利益で同14.7%増の4億9000万円を計画。主力製品の従業員安否確認サービスとともに、キントーン連携サービスでも有償契約数の伸長を見込む。

 キーウェアソリューションズ <3799> [東証S]は、インフラ関連のシステム開発を手掛けつつ、ローコード開発支援も展開する。NEC <6701> [東証P]やNTT、JR東日本 <9020> [東証P]グループからの安定した受注が業績を支えてきたが、兼松エレクトロニクス <8096> [東証P]やキヤノンマーケティングジャパン <8060> [東証P]との資本・業務提携を21年に締結するなど、一段の事業拡大の布石を打っている。ローコード開発での新たなニュースフローに注目をしたい。

 ローコード技術に特化した受託開発とコンサルティングサービスを手掛けるBlueMeme <4069> [東証G]は、三井物産 <8031> [東証P]子会社の三井情報と昨年、資本・業務提携した。ローコード向けアジャイル開発手法「AGILE-DX」を活用し、国内企業の業務システムの刷新につなげる構えだ。

 このほか、子会社が提供する自治体専用ノーコード電子申請システム「LoGoフォーム」の導入自治体数が500を超えたチェンジ <3962> [東証P]や、「パワーアップス」のマイクロソフトとの強固な関係性をもとに、大手企業案件が増加しているヘッドウォータース <4011> [東証G]なども関連銘柄に位置付けられそうだ。

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