明日の株式相場に向けて=「グロース売り×低PBR買い」が加速
週明け27日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比29円安の2万7423円と小反落。外国為替市場のドル高・円安が味方したとはいえ、違和感を覚えるほどの底堅さで、TOPIXの方はプラス圏で着地している。
前週末は日経平均株価が350円弱の上昇をみせその前の日の下げをほぼ取り戻したが、25日移動平均線クリアは果たせなかった。そして、欧州時間に入るとリスクオフモードのスイッチが入ってしまい、独仏など主要国をはじめ各国の株価はほぼ全面安。ドイツの22年10~12月期のGDP確報値がコンセンサスを下回り、欧州の景気後退懸念が嫌気されたという。しかし、一方でECBの利上げ長期化を警戒してドイツの長期金利は上昇するというチグハグな動きで、本当のところは一体何を警戒したのかがはっきりしない。
米国株市場も前週末は欧州時間を引き継いで終始軟調だった。こちらは発表された1月のPCEデフレーターが総合指数、コア指数ともに事前予想を上回ったことで、景気が強過ぎることが嫌気されている。中央銀行によるタカ派的な政策に株式市場がセンシティブになっていることは米国も欧州も一緒だが、株価が下げのタームに入ったことで、後付け講釈的なネガティブ材料を強いているようなフシがある。今はいわゆる“悪いとこ取り”の地合いに切り替わっており、それがドイツのような合理性を欠いた解釈に反映されている。
さて、個別株に目を向けると、人材関連株にうねりが生じているようだ。特にIT系や製造業などの技術者が払底している状況にあり、関連銘柄の株価を刺激している。最近ではnmsホールディングス<2162>が値を飛ばしたほか、アルプス技研<4641>なども強いチャートを形成。アルトナー<2163>もきょうは目先筋の利食いにやや押されたとはいえ上値指向が強い。低位株ではジェイテック<2479>の300円未満は食指が動く。同社の23年3月期は連結最終利益が前期比倍増近い伸びで過去最高を更新する見通しにある。
また、従来のテーマ買いの動きとは異なるが、相変わらず業態を問わず低PBR銘柄への波状的な物色が続いている。グロース株から資金が引いて、今はPBRの低いものに乗り換えようとする動きが顕著である。低PBR株というのは、経営活性化を怠っているケースが多い。例えるなら基礎体温の低い銘柄であり、売られ過ぎ是正の買いは入っても継続的に資金が流れ込むというような現象はこれまであまり見られなかった。投資資金はダイナミズムを求める傾向があるため、成長株の看板を掲げる高ROE銘柄などが優位性を発揮しやすく、これは米株市場を起点とする潮流でもある。ところが、東証の大号令によってPBRの低い銘柄はそれを高める経営戦略を半ば義務付けられ、株主還元強化が最も分かりやすい対策でもあることも手伝って、投資する側にとっては理想的なテーマに化けた。
当欄で前週前半に紹介した安田倉庫<9324>、エフテック<7212>、アーレスティ<5852>、三協立山<5932>の4銘柄がいずれも首尾よく上昇波動に乗っている。物色の裾野は広く、今後は選別色も強まると思われるが、業績内容が良好で株主還元に前向きな低PBR銘柄は3月決算期末に向けた配当権利取りの動きなども交えながら、引き続き根強い買いが向かいそうだ。新たなところではムトー精工<7927>がPER7倍、PBR0.5倍と割安感が顕著であり、改めて上値追いに弾みがついている。更にサンセイ<6307>なども見逃されている好業績バリュー株として意外性がある。このほかPERは高いものの日本精機<7287>はPBR0.2倍台、配当利回り4.5%前後で要マークとなる。半導体関連ではメーカーにキャッチアップする形で半導体商社に見直し買いの流れが広がっている。そのなか、グローセル<9995>はルネサス系商社で上値を期待できそうなタイミングにある。PBR0.5倍前後と解散価値の半値水準で、株価も400円台前半と値ごろ感があり水準訂正モードに突入しそうだ。
あすのスケジュールでは、1月の商業動態統計、1月の鉱工業生産速報値、1月の自動車輸出実績、1月の建機出荷、1月の住宅着工統計のほか、2年物国債の入札も予定されている。海外では22年10~12月期インド国内総生産(GDP)、1月の豪小売売上高、12月の米S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、米12月FHFA住宅価格指数、2月の米シカゴ購買部協会景気指数、2月の米消費者信頼感指数などが注目される。なお、台湾市場は休場となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
前週末は日経平均株価が350円弱の上昇をみせその前の日の下げをほぼ取り戻したが、25日移動平均線クリアは果たせなかった。そして、欧州時間に入るとリスクオフモードのスイッチが入ってしまい、独仏など主要国をはじめ各国の株価はほぼ全面安。ドイツの22年10~12月期のGDP確報値がコンセンサスを下回り、欧州の景気後退懸念が嫌気されたという。しかし、一方でECBの利上げ長期化を警戒してドイツの長期金利は上昇するというチグハグな動きで、本当のところは一体何を警戒したのかがはっきりしない。
米国株市場も前週末は欧州時間を引き継いで終始軟調だった。こちらは発表された1月のPCEデフレーターが総合指数、コア指数ともに事前予想を上回ったことで、景気が強過ぎることが嫌気されている。中央銀行によるタカ派的な政策に株式市場がセンシティブになっていることは米国も欧州も一緒だが、株価が下げのタームに入ったことで、後付け講釈的なネガティブ材料を強いているようなフシがある。今はいわゆる“悪いとこ取り”の地合いに切り替わっており、それがドイツのような合理性を欠いた解釈に反映されている。
さて、個別株に目を向けると、人材関連株にうねりが生じているようだ。特にIT系や製造業などの技術者が払底している状況にあり、関連銘柄の株価を刺激している。最近ではnmsホールディングス<2162>が値を飛ばしたほか、アルプス技研<4641>なども強いチャートを形成。アルトナー<2163>もきょうは目先筋の利食いにやや押されたとはいえ上値指向が強い。低位株ではジェイテック<2479>の300円未満は食指が動く。同社の23年3月期は連結最終利益が前期比倍増近い伸びで過去最高を更新する見通しにある。
また、従来のテーマ買いの動きとは異なるが、相変わらず業態を問わず低PBR銘柄への波状的な物色が続いている。グロース株から資金が引いて、今はPBRの低いものに乗り換えようとする動きが顕著である。低PBR株というのは、経営活性化を怠っているケースが多い。例えるなら基礎体温の低い銘柄であり、売られ過ぎ是正の買いは入っても継続的に資金が流れ込むというような現象はこれまであまり見られなかった。投資資金はダイナミズムを求める傾向があるため、成長株の看板を掲げる高ROE銘柄などが優位性を発揮しやすく、これは米株市場を起点とする潮流でもある。ところが、東証の大号令によってPBRの低い銘柄はそれを高める経営戦略を半ば義務付けられ、株主還元強化が最も分かりやすい対策でもあることも手伝って、投資する側にとっては理想的なテーマに化けた。
当欄で前週前半に紹介した安田倉庫<9324>、エフテック<7212>、アーレスティ<5852>、三協立山<5932>の4銘柄がいずれも首尾よく上昇波動に乗っている。物色の裾野は広く、今後は選別色も強まると思われるが、業績内容が良好で株主還元に前向きな低PBR銘柄は3月決算期末に向けた配当権利取りの動きなども交えながら、引き続き根強い買いが向かいそうだ。新たなところではムトー精工<7927>がPER7倍、PBR0.5倍と割安感が顕著であり、改めて上値追いに弾みがついている。更にサンセイ<6307>なども見逃されている好業績バリュー株として意外性がある。このほかPERは高いものの日本精機<7287>はPBR0.2倍台、配当利回り4.5%前後で要マークとなる。半導体関連ではメーカーにキャッチアップする形で半導体商社に見直し買いの流れが広がっている。そのなか、グローセル<9995>はルネサス系商社で上値を期待できそうなタイミングにある。PBR0.5倍前後と解散価値の半値水準で、株価も400円台前半と値ごろ感があり水準訂正モードに突入しそうだ。
あすのスケジュールでは、1月の商業動態統計、1月の鉱工業生産速報値、1月の自動車輸出実績、1月の建機出荷、1月の住宅着工統計のほか、2年物国債の入札も予定されている。海外では22年10~12月期インド国内総生産(GDP)、1月の豪小売売上高、12月の米S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、米12月FHFA住宅価格指数、2月の米シカゴ購買部協会景気指数、2月の米消費者信頼感指数などが注目される。なお、台湾市場は休場となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS