貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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8591 オリックス

東証P
3,303.0円
前日比
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PTS
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17:56 11/22
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
9.7 0.97 2.99 12.46
時価総額 4130億円

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ミロク情報 Research Memo(6):2023年3月期は営業利益、経常利益は3期振りに過去最高を更新へ


■今後の見通し

1. 2023年3月期業績見通し
ミロク情報サービス<9928>の2023年3月期の連結業績は売上高で前期比11.5%増の40,800百万円、営業利益で同21.1%増の5,800百万円、経常利益で同17.4%増の5,600百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同20.3%減の3,600百万円と期初計画を上方修正した。売上高は2期連続で過去最高を更新し、営業利益と経常利益も3期振りに過去最高を更新することになる。

期初計画ではERP製品の提供形態を売切り型からクラウド・サブスク型へ徐々に移行する影響を勘案し、保守的な計画を立てていた。既述のとおりクラウド・サブスクへの移行の影響があったものの、売切り型についても販売が好調で第2四半期累計業績が計画を上回ったこと、下期についても企業におけるバックオフィスのデジタル化、DX化に関する投資意欲が旺盛で、ERP製品の販売好調が続く見込みであることが上方修正の要因となっている。なお、通期計画に対する第2四半期までの進捗率は売上高で48.7%、営業利益で53.5%と利益の進捗率が高くなっているが、これは2023年10月からのインボイス制度の導入を控えて、関連商材の需要を取り込むべくテレビCMを中心に広告宣伝費を当初計画から2億円ほど積み増すことや、人件費の増加並びに子会社業績の下振れリスクを織り込んだことによるもので保守的な数値と考えられる。

子会社については受託開発3社やトランストラクチャでは増収増益を見込んでいるものの、MJS M&Aパートナーズの伸び悩みが続きそうなほか、トライベックについても2022年7月にリリースした新サービス「Hirameki 7」のプロモーション費用や開発費の増加により増収減益を見込んでいる。同サービスは中期成長戦略の重点施策の1つとなる中小企業向け統合型プラットフォームの核となるサービスで、マーケティングやファイナンス、オペレーション、コミュニケーション機能のほか、ビジネスマッチングやコーポレート、CX(カスタマーエクスペリエンス)等、事業を拡大していくうえで必要となる7つの機能をワンストップで提供するクラウドサービスとなる。リリース以降、タクシー広告など各種プロモーションを展開しており、2022年12月時点で導入社数が1,000社を突破している。

2022年12月には、オリックス<8591>と同社が会計事務所が保有する会計データ連携に関する業務提携を発表し、同社のERP製品「ACELINK NX-Pro」を利用する会計事務所の顧問先企業(約50万社)は、「Hirameki 7」を通じてオリックスのオンライン融資サービスが利用できるようになった。融資を希望する企業の会計データがオリックスと連携されるため、通常融資に必要となる決算書や事業計画書等の提出、代表者保証や担保の提供が不要となる。また、すべてオンラインで完結するため、申込みから最短即日融資が可能となるなど利便性が大幅に向上するメリットがある。「Hirameki 7」については当面、先行投資が続く見通しだが、中小企業におけるDX化支援のニーズは大きく、成長が期待できるサービスとして注目される。

2023年3月期の品目別売上高については、期初計画から見直しを行っていないものの、主にはEPR製品の販売増加によりシステム導入契約売上高が上振れる見通しの一方で、下期の成長加速を見込んでいたグループ会社の業績下振れ(アド・トップ売却の影響も含む)により、その他売上高が計画を下回る見通しだ。

(1) システム導入契約売上高
システム導入契約売上高の第2四半期までの進捗率が54.0%と当初計画を上回って推移しているほか、第2四半期末の受注残高(単体)も前期末比3.0%増の10,280百万円、受注残月数で6.53ヶ月と高水準にあること、下期も企業のバックオフィス部門におけるDX化への投資が堅調に推移する見込みであることから、通期売上高も前期比10%以上の増収となる見通しである。クラウド・サブスク型への移行による売上高へのマイナス影響額は15億円程度を見込んでおり、ソフト使用料の2023年3月期以降の売上に計上されることになる。なお、同社はクラウド・サブスク型への移行スピードについて、全体の業績に大きな影響を与えない範囲で進めていく意向で、新規顧客についてもニーズに応じて売切り型での販売を継続していくことにしている。ただ、クラウド・サブスク型の比率は今後も上昇していくことから、システム導入契約売上高の受注残高については今後緩やかに減少していくものと同社では想定している。実際、受注残高については2022年6月末の10,320百万円をピークに9月末は若干減少した。

販売先別で見ると、企業向けは引き続き新製品のリプレース需要や新規顧客の開拓により2ケタ増収が続く見通しである。一方、会計事務所向けについては期初計画においてクラウド・サブスクへの移行の影響を織り込み、前期比11.5%減の5,299百万円と減収を見込んでいたが、実際には売切り型でのリプレースが大半を占めており、通期でも増収となる可能性が高い。また、その他(子会社売上、パートナー向け売上等)についても期初段階では同1.7%減の3,611百万円と保守的な売上計画を立てていたものの、販売パートナー経由での売上好調により増収となる見通しだ。なお、2023年3月期から、営業部門の最高執行責任者兼副社長が全子会社の業績管理を担当している。現在は同社の営業手法を子会社に導入して営業力の強化に取り組んでいる段階にあり、その効果は2024年3月期以降に顕在化するものと期待される。

(2) サービス収入
サービス収入の内訳を見ると、ソフト運用支援サービスが前期比2.3%増の5,725百万円、TVSが同0.3%増の2,524百万円と微増にとどまるのに対して、ソフト使用料が同40.2%増の3,894百万円と大きく伸長する見通しとなっている。売切り型からクラウド・サブスク型への移行が進んでいることが主因だ。第2四半期までの進捗率は、ソフト運用支援サービスが49.6%、TVSが50.1%とおおむね計画どおりの進捗となっており、ソフト使用料については46.9%とやや低い水準になっているが、9月のARRは前年同期比45.6%増と成長スピードが加速していることを考えれば、通期計画の達成は十分可能と弊社では見ている。

なお、統合型DXプラットフォーム事業については、「Hirameki 7」などのリリースによって通期で数億円の売上を見込んでいたが、事業の進捗がやや遅れ気味となっており、本格的に売上に貢献し始めるのは2024年3月期以降にずれ込む見通しだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《NS》

 提供:フィスコ

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