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4442 バルテスHD

東証G
488円
前日比
-28
-5.43%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
15.5 3.38 0.82 27.12
時価総額 105億円
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バルテス Research Memo(3):主力はソフトウェアテストだが、Web/モバイルアプリ開発も行う(1)


■事業概要

1. 事業内容及びセグメント別概要
バルテス<4442>の事業セグメントは、「ソフトウェアテストサービス」「Web/モバイルアプリ開発サービス」「オフショアサービス」の3つで開示されている。

(1) ソフトウェアテストサービス事業(2023年3月期第2四半期売上高比率90.8%)
a) 対象領域と業務フロー
当事業では、ユーザー企業、メーカー、ソフトウェアベンダーに対して、ソフトウェアの不具合により顕在化するリスクを回避するため、開発工程における品質計画の立案、開発プロセスの改善、ソフトウェアの不具合の発見、または重大な不具合が発生していない事を確認するためのテスト計画、テスト設計、テストケースの作成、テスト実施及びテストサマリレポートの作成まで、幅広いソフトウェアテストサービスを第三者の中立的立場で提供している。ソフトウェア開発における川上から川下までの幅広い領域をカバーしているのが特色だ。

同社が対象とするサービス提供領域は、エンタープライズ系(業務システムや基幹システム等)、組込系(AV機器や家電、産業機器等)、Web・スマートフォン系(Webサイトやモバイルアプリケーション等)、その他、と幅広い。このうちエンタープライズ系(略称:エンプラ系)の利益率が比較的高いので、今後はこの分野の拡大を目指す計画だ。

テスト対象においても、予定した動作が正確に作動するか否かの機能性に限定せず、例えば実運用を想定したユーザー数からのアクセスや、営業活動継続によるデータ量の蓄積、継続性、耐久性、またソフトウェアの不具合による個人情報流失の可能性などの発見、ソフトウェアの脆弱性発見など、様々なニーズに対応している。

b) 主な提供サービスと提供形態、契約形態
同社が提供する主なサービスは、ソフトウェアテストサービス、品質コンサルティングサービス、ソフトウェア品質セミナーサービス、デジタル放送テストサービス、セキュリティ・脆弱性診断サービス、リバースエンジニアリングサービス、出版・情報発信・サイト運営など多岐にわたる。

提供形態としては、同社グループにテストセンターを設置して顧客のニーズに合わせたテスト環境を構築し、ソフトウェアテストサービスを提供する「テストセンターテストサービス」と、顧客のニーズに合わせた人材を提供(派遣)する「オンサイトテストサービス」がある※。

※同社は、一般労働者派遣事業の免許を保持している。


契約形態としては、労働者派遣契約に基づき同社のエンジニアを顧客先に派遣し、顧客の指揮命令下でサービスの提供を行う「派遣契約」、同社の指揮命令下において顧客との契約内容に応じた役務提供を行う「準委任契約」、主に同社のテストセンターにてテストを行い、テストサマリレポート等の成果物を顧客に納品する「請負契約」の3つがあるが、現在では大部分が「準委任契約」となっている。

c) KPI
同社の業務は「準委任契約」が大部分であり、不採算プロジェクト化するリスクのある「請負契約」は少ない。基本は案件ごとの契約となるが、次々と開発プロジェクトや開発課題が出てくることや、一度受注したシステムの更新時などに顧客からの要望で継続契約につながることも多く、これが相応の参入障壁になっているとも言える。受注金額は案件によって様々で、数百万円~数千万円と幅広いが、プロジェクトが継続した場合には、結果として当該顧客への売上高は数億円単位になる場合もある。これら各案件の売上高を累積したものがセグメント売上高の大部分を占めるので、「案件数」が同社の業績におけるKPIの1つであると言える。2022年3月期の案件数は2,632件となっており、直近4年間の案件数は順調に拡大している。

また当然であるが、これらの受注案件に対応していくためにはエンジニアが必要であり、エンジニア数も同社の事業にとっては重要な要素となる。同社のエンジニア数はメーカーにおける生産能力に等しく、一定の知識・知見を持ったエンジニアを増やしていくことが同社の生産能力を増やすことであり、結果として売上高を増やすことにつながる。なおエンジニアには、正社員と契約社員に加え、ビジネスパートナーと呼ばれる企業のエンジニアも含まれる。2022年3月期末のそれぞれのエンジニア数は、正社員476名(構成比51.3%)、契約社員143名(同15.4%)、ビジネスパートナー309名(同33.3%)であり、全エンジニア数も直近4年間は順調に増加している。

もう1つの重要な要素は、「エンジニア1人当たりの売上高」である。同社ではこの数値を「単価(月間)」と定義し、「ソフトウェアテストサービス事業の売上高÷エンジニア数」としている。2020年3月期は新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響もあり低下したものの、その後は順調に上昇している。

d) テスト工程をアウトソーシングする理由
顧客が同社のような外部企業にソフトウェアテストを依頼(発注)する理由の1つは、一般的なシステムエンジニアはテストに関する体系的な教育を受けておらず、テストのプロではないため、効率が悪いからである。特に下請け小規模SIerは、開発を行ったエンジニアがテストを実行しがちである。しかしながら、一般的に自分で作ったプログラムに関しては客観的なテストの実行が難しいと言われている。これは、雑誌記者やレポーター等が、自分が書いた記事を自身で校正・校閲すると見落としが多くなることと類似する。さらに、体系的・網羅的なテスト手法を知っている開発者は少数であり、かつ開発者はテスト作業自体を好まないことから、開発者がテスト工程を行うことは結果的にテスト工程の長期化と品質の低下(バグが未発見のままローンチ)につながることが多い。これら問題点の解消のために、外部企業への外注が近年進んでいる。

もう1つの理由は、現状の国内IT産業でのエンジニア不足である。DX施策等により、国内のIT市場は今後も拡大が続くと見込まれているが、一方でエンジニアが不足しているのも事実で、多くのSIerでは引き合いはあるが人員不足によって受注が難しい状況が多々発生している。そのような状況下で、開発全行程の37%を超えるテスト工程を外注できれば、空いたリソースで新しい開発案件を受注できる。また、工程の短期化や品質担保に加え、人的リソースの最適化によっても生産性が向上することから、テスト工程を外注する大手SIerやユーザーが増えているも事実だ。

このような現状から、ソフトウェアテストのアウトソーシング化は、今後さらに増加していく可能性が高いと言えるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《TY》

 提供:フィスコ

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