貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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7911 TOPPAN

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ベネ・ワン Research Memo(7):「ベネワン・プラットフォーム」の会員数拡大とペイメント事業を育成(2)


■中長期の成長戦略

3. ベネワン・プラットフォームの会員数拡大と収益構造の多様化を目指す
ベネフィット・ワン<2412>は中期経営計画の下、同社サービスを利用する会員数の拡大、「給トク払い」による新たな収益源の確立を同時並行で進める構えだ。

会員数の拡大について、先述のとおり効率性・利便性を高めることを中心とした取り組みを進めている。2020年6月にリリースした「ベネワン・プラットフォーム」へ従来個別に提供されていたサービスを集約し、ワンストップでの提供を可能にして、利便性を高めていく。また、旧JTBベネフィットとの統合により2022年9月末時点の総会員数は1,128万人(個人会員を含む)まで拡大した。「ベネワン・プラットフォーム」利用の入り口として「タレントマネジメント」「ストレスチェック」「ポイント管理基盤」などのサービスを無料で提供するほか、引き続き大規模プロモーションを行うことで、会員数拡大のスピードを早めていきたい考えだ。

収益構造の多様化については、決済代行手数料を新たな収益源とすべく、「給トク払い」を2021年6月にリリースした。電気、ガスなどのサービスを提供するサプライヤー※にとってはベネワン・プラットフォームを介すことで大口顧客を容易に獲得できるほか、顧客企業の従業員は、本来よりも割引された職域価格にてサービスを受けることができる(これにより、顧客企業は従業員満足度の向上も期待できる)。将来的には決済代行手数料を原資に会費の引き下げを段階的に実施することで会員数の拡大にもつなげていく。同社は、最終的には会費無料化により、国民の大半を会員にすることを目指している。

※サプライヤー:ここでは福利厚生サービスやヘルスケアサービスなど、ベネワン・プラットフォーム上で利用可能な様々なサービスを提供する企業のことを指す。


4. 「ベネワン・プラットフォーム」に蓄積されたデータを活用し顧客のHRDXを支援
会員数の拡大、収益構造の多様化と同時並行で進めていくのが、「ベネワン・プラットフォーム」上に蓄積された人事関連のビッグデータを活用した顧客企業のHRDX支援の構想だ。データを活用することによって会員一人ひとりにテーラーメイド型のサービスを提供することが可能となり、顧客企業では従業員データの一元管理、人事管理に関するシステムの統合などのメリットが想定される。また、外部サービスとの連携も積極的に行ってきた。2021年6月にはSCSKが開発した「ProActive E2(プロアクティブ イーツー)」とのデータ連携を通じて従業員の働き方や健康状態を見える化するサービスを追加したほか、同年10月にはSmartHRとの協業・「SmartHR」とのデータ連携を開始し、主に人事・総務部の業務効率化支援を可能にした。

また同社は、今後「HRDX」参画企業との連携によるサービスの提供によって顧客企業のHRDX推進、ベネワン・プラットフォームの魅力向上も実現する考えだ。「HRDX」とは、同社が2019年に組織した、HRDXをリードするオープンイノベーション連合である。2022年4月時点で、前述のSmartHRに加えて、凸版印刷<7911>、NEC<6701>、帝人<3401>など126社が参画している。

5. 成長ポテンシャル
前述のとおり、会員数の拡大と収益構造の多様化に向けた各施策は着実に進捗している。サプライヤーを新たに獲得していくことにより「ベネワン・プラットフォーム」の魅力が一段と高まり、同サービスの利用者が増加すれば同社にサービスを提供するサプライヤーが増加し、さらに利用できるサービスが増加すれば会員が増加する、というプラスの循環が存在する。こうしたプラットフォームビジネスのプラスの循環を考えると、今後のさらなる会員数の拡大、それにより蓄積データのさらなる増大が予想され、まさに勝者総取りのシステムであると言える。また、昨今の外部環境も中期経営計画の進捗に寄与することが想定される。従来からの課題であった「働き方改革(同一労働同一賃金)」「健康経営」「デジタル化(データ活用による生産性の向上)」などに加えて最近は、「労働市場のひっ迫」といった課題も表れてきた。また、健康経営、ESGなど企業の人材投資が加速している状況もある。こういった市場環境のなかで同社の福利厚生事業やHRDXに対するニーズはますます高まっていくことが予想される。

既に同社は高い割合で市場シェアを占めているものの、成長の余地はまだまだあると言えそうだ。2022年9月末時点で同社の福利厚生サービスの利用者数は906万人である。就業人口が6,700万人(総務省統計局による数値を基に作成した数値)であることを考えると同社のサービスが浸透する余地は非常に大きいと言えるだろう。同社は、リーチ可能な市場規模として、福利厚生事業で4,000億円、ヘルスケア事業で1兆円、インセンティブ事業で1兆2,000億円、ペイメント事業で35兆6,000億円を見立てている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

《SI》

 提供:フィスコ

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