【注目】企業のＡＩの本格活用、２６年のＩＴ分野における最大のトレンドに

　２０２６年のＩＴ・ハイテク分野で最大のトレンドになるのは、企業が実際にＡＩを業務に本格活用する動きで、ＡＩをビジネスの中核に組み込む大企業の取り組みは、来年に向けて最も過小評価されているトレンドかもしれず、現在のＡＩの勝者がその恩恵を受ける可能性が高いとの指摘が出ている。

　７月にはマサチューセッツ工科大学（ＭＩＴ）の報告書が話題となり、ＡＩモデルを業務フローに統合する難しさから、組織の９５％がＡＩから有意な価値を生み出せていないと指摘していたが、状況は変わりつつあるという。

　企業内でのＡＩツール活用が大きく前進している兆しがあり、大企業やスタートアップが目に見える成果を示し始めている。より多くの企業から経験的な証拠が集まりつつあり、２６年にはＡＩの利用が拡大し、その効果も一段と高まっていることが明白になるという。

　例えばマイクロン<MU>の最新の決算説明会では、従業員の８０％超が積極的にＡＩツールを利用しており、全体の利用量は前年の１０倍に増加、ソフトウエア開発では生産性が３０％向上し、ＡＩを半導体の歩留まり管理プロセスに組み込むことで問題特定までの時間が半減したと説明された。

　ＡＩは単調で反復的な作業の自動化や重要情報への即時アクセスに強みを持ち、ＡＩスタートアップのカーサー社は、コードの自動補完やバグ修正の迅速化、定型作業の自動化を可能にするプログラミング支援ツールへの需要が加速している。同社の製品は、独自のカスタムデータとモデルを活用して利用者のニーズを直感的に理解しているかのような体験を提供し、知識労働者の生産性を大幅に高めており、トゥルエルＣＥＯによると、フォーチュン５００企業の６０％超がすでに顧客となっている。

　カーサー社がコーディング分野で実現したことは、あらゆる業界に広がる可能性があり、ＡＩによって新しいアイデアの迅速なテストや実験が可能になることで、顧客対応、営業・マーケティング、研究開発といった分野でも大きな生産性向上が進むと予想される。

　オープンＡＩは消費者向けのチャットＧＰＴで知られる一方、企業向けでもリーダー的存在で、１２月初旬には幹部のチャタジー氏が、企業向けＡＩは生産性の大幅な向上を通じて、顕著な経済的価値を生み出す段階に入ったと述べ、１００万社超が同社のＡＩツールを利用しており、過去１年でチャットＧＰＴエンタープライズへの週次メッセージ数が約８倍に増加したと明らかにした。

　企業でのＡＩ利用の成長が続けば、マイクロソフト<MSFT>、オープンＡＩ、アンソロピック、エヌビディア<NVDA>といったＡＩ関連の主要プレーヤーが大きな恩恵を受けるという。

株探ニュース