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【市況】【村瀬智一が斬る!深層マーケット】ハイテク主導のなか出遅れ銘柄の見直しが強まるか

RAKAN RICERCA 取締役 会長 村瀬智一

「ハイテク主導のなか出遅れ銘柄の見直しが強まるか」

●7月相場は調整からスタート

 日経平均株価は6月30日につけた4万0852円をピークに調整に転じている。急ピッチの上昇で過熱感が警戒されていたうえ、6月は配当の再投資や株主総会シーズンを迎えて上昇トレンドが強まりやすかった。これら需給による影響が一巡したところに、相互関税の一時停止猶予期限が7月9日に迫り、利益確定の売りが入りやすくなっている。

 また、直近2年間は7月に高値ピークを形成しており、アノマリー的な要因も積極的な買いを手控えさせている。もっとも、海外投資家の買い越し基調が継続していることもあり、押し目待ち狙いの買い意欲は強そうだ。米国ではナスダック総合指数が最高値を更新するなかで、エヌビディア<NVDA>などハイテク株の強さが目立つ。東京市場においても指数インパクトの大きい値がさハイテク株などの支援材料となろう。

 一方、9日の期限を前にした日米通商交渉の合意期待は薄らいでいる。仮に協議継続などの動きがみられるようであれば、いったんはリバウンド基調が強まりそうだが、参院選の結果判明までは交渉は合意に向けて動きそうもない。

 このため、膠着を強めながらも相場全体の底堅さが意識されるなか、ハイテク株や相対的に出遅れている銘柄・セクターを見直す動きがみられそうだ。

●活躍が期待される「注目5銘柄」

◆ANAホールディングス <9202> [東証P]
航空会社大手の一角。JTBが7月3日に発表した今年の夏休み期間の旅行動向によると、日並びの良さや夏のボーナスが高水準だったこと、円安の落ち着きなどを背景に、今夏の海外旅行者数は前年比21%増の約244万人とコロナ禍前平均の9割程度まで回復しているという。堅調な夏休みの海外旅行需要は国際旅客収入の伸びを通じて、業績改善を後押しするとみられる。また、6月27日に開催した株主総会で、芝田浩二社長は「2026年度からの次期中期経営戦略では株主還元の強化を打ち出したい」と語り、自社株買いの実施に意欲も示したことも引き続き材料視されよう。株価は足もとのリバウンドにより52週移動平均線を突破しており、トレンド転換が意識されやすい。

◆KOKUSAI ELECTRIC <6525> [東証P]
半導体製造の前工程・成膜装置に特化した半導体製造装置大手。2026年3月期の連結営業利益は前期比4.1%減の492億円を見込む。だが、中長期的には電子機器向けの需要拡大に加え、AI(人工知能)DX(デジタルトランスフォーメーション)の広がりを背景としたデータセンターの拡充などにより、半導体関連市場は高成長が期待される。株価は4月9日安値から大きな調整を入れることなく上昇し続けており、2月のリバウンド局面で上値を抑えられた52週線を明確に突破した。一段の上昇に期待したい。

◆イリソ電子工業 <6908> [東証P]
車載用途を主力とするコネクター製造大手。6月26日付の大量保有報告書により旧村上ファンド系のシティインデックスイレブンスが同社株を5.04%取得したことが明らかとなった。保有目的は「投資及び状況に応じて経営陣への助言、重要提案行為等を行うこと」としている。今後、折に触れて株主価値向上に向けた施策などを巡り思惑が高まりやすいだろう。株価は52週線をクリアしたが、足もとで一休止を入れている。ここから2月5日高値(3030円)と昨年11月高値(3040円)とのダブルトップ突破に向けて再び騰勢を強められるかが注目される。

◆カナモト <9678> [東証P]
北海道を地盤とする建設機械レンタル大手。国内の建設投資が底堅く推移する中、地域によってばらつきは見られるものの、総じて建設機械のレンタル需要は堅調に推移している。株価は3400円辺りが上値抵抗として意識される一方で、下値は52週線が支持線として機能している。13週・26週線を上回ってきており、3400円処の抵抗帯の突破に期待したい。

◆パルグループホールディングス <2726> [東証P]
若年層の女性を対象としたファッション衣料、雑貨を多ブランド展開。フォロワー総数2000万人を超える社員インフルエンサーのSNSアカウントを通じて積極的に発信し、顧客の反応をMD(マーチャンダイジング)施策に生かすWEBプロモーション活動は、売上増のみならず発注量の適正化を通じて、在庫や廃棄商品の削減にも大きく寄与している。2026年2月期の連結営業利益は前期比11.6%増の264億円と4期連続で最高益更新を見込む。株価は4月22日につけた上場来高値4265円をピークに調整を続けているが、上向きで推移する26週線が支持線として機能しており、リバウンド狙いのタイミングにあるとみる。

(2025年7月4日 記)

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