市場ニュース

戻る
 

【特集】三栄コーポ Research Memo(1):2025年3月期中間期は大幅増収増益。通期も増収増益で経常利益15億円予想

三栄コ <日足> 「株探」多機能チャートより

■要約

三栄コーポレーション<8119>は78年の歴史を持ち、高付加価値品を主に取り扱う多機能な商社である。生活用品全般を扱い、製造・輸出入・卸・小売までのサプライチェーンを幅広く手掛ける。海外には17ヶ所の拠点、国内直営小売店29店舗を持つ。欧州ブランドの日本導入や、良品計画<7453>に代表される商品OEM供給など、付加価値の高い商品を取り扱う点で個性が明確である。売上高比率はOEM事業が約7割、ブランド事業が約3割である。事業セグメント別では家具家庭用品事業(2024年3月期中間期売上比45.2%)、服飾雑貨事業(同42.6%)、家電事業(同7.9%)の3事業が柱である。

1. 2025年3月期中間期の業績概要
2025年3月期第2四半期(以下、中間期)の連結業績は、売上高が20,900百万円(前年同期比22.6%増)、営業利益が1,328百万円(同189.5%増)、経常利益が1,217百万円(同117.4%増)、親会社株主に帰属する中間純利益が1,018百万円(同99.7%増)と、大幅な増収増益となった。売上高に関しては、服飾雑貨事業と家具家庭用品事業がけん引し、全社として2ケタ増収となった。服飾雑貨事業では、外出・旅行・インバウンド需要の回復を背景に、外出・トラベル関連商材の需要が伸長したのに加え、サステナブル商品などの新規取り組みも寄与し増収となった。家具家庭用品事業では、欧州や中国の景気低迷の影響があったものの、全般的にOEMは回復基調であり、eコマースも増収に大きく寄与した。増収による売上総利益の増加に加え、子会社解散や店舗数縮減による販管費の抑制が奏功。営業利益は同869百万円増の1,328百万円、経常利益は同657百万円増の1,217百万円と大幅増益を達成した。経常利益の期初予想が500百万円だったことから、半期で約2.4倍の実績を出したことになる。

2. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の連結業績は、売上高が前期比6.3%増の39,000百万円、経常利益が同20.2%増の1,500百万円と、増収増益を見込んでいる。2025年3月期は新中期経営戦略「SANYEI 2025」の2年目であり、最終年度の経常利益20億円の達成に向けての足場固めの1年と位置付け成長投資を積極化する。売上面においては、家具家庭用品事業では、中期経営戦略の成長ドライバーであるEC事業の拡大や重点施策である新規取引先からの受注等による増収が期待される。服飾雑貨事業では、外出やインバウンド需要の好調は継続することが見込まれ、環境関連商材の拡大も期待できる。ただし家電事業では、海外OEMの減少が見込まれるため減収を予想する。中間期における売上高進捗率は53.6%である。利益面では、増収に加え、上半期に構造改革の進捗が一定の効果を生み、上方修正を行った経緯がある。中間期における経常利益進捗率は81.2%と高水準に達する。下半期においては、外部要因はインバウンド消費などを含めて国内の個人消費は堅調であり、特に同社が得意とするトラベル・服飾雑貨・理美容商材、環境商材の事業環境は下半期も良好であると、弊社では見ている。内部要因に関しては、過去から行ってきた構造改革・事業再編の仕上げの段階であり、稼ぐ力をさらに強化するための前向きな投資が下半期に行われると捉えている。

3. 成長戦略
同社は、2019年9月に“より地球にやさしい”をコンセプトにした「Our EARTH Project」を立ち上げる等、「サステナブル」「エシカル」をキーワードとした海外ブランド製品の輸入販売、自社ブランドの開発、材料の提供・ものづくりなどの活動を行った。取り扱いブランドは10銘柄を超え、リサイクル素材を使用したバッグやポーチを取り扱う「uF(ユーエフ)」、おもちゃの廃材から生まれた腕時計「YOT WATCH(ヨットウォッチ)」などのほか、無水染色技術を活用した原着生地のブランド「e.dye(イーダイ)(R)」、建物の屋根や壁に使用することで太陽等の熱の侵入を抑える猛暑対策商品「遮熱シート」など、急成長する商品・素材も増えてきた。2024年10月には、「uF」が2024年度グッドデザイン・ベスト100を受賞した。デザイン性や利便性の高さとともに、「e.dye」染色生地を活用した点やCO2排出量の削減と可視化(QRコードで確認できる)が高く評価された。

4. 株主還元策
同社では、2024年5月に剰余金の配当等の決定に関する方針を改定した。新方針では、企業理念である「随縁の思想」の下、同社と縁を紡ぐ株主への適切な利益還元を経営の重要課題の1つと位置付ける。配当に関しては、中間配当及び期末配当の年2回を基本とし、配当性向30~50%を目途に実施する。現状は利益創出に手応えを得ており、新方針により配当性向の上昇の可能性が出てきたことで、増配ペースが上がることが期待できる。

同社は、投資しやすい環境を整え、投資家層の拡大を図ることを目的に、2024年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき4株の割合で株式分割を行った。2025年3月期の配当金は、年間配当29.0円(中間10.0円済、期末19.0円で、前期から19.0円増配)となり期初予想の年20.0円から大幅な増配を予定している(株式分割前の金額は分割後の数値に換算)。配当性向は30.5%を見込む。

■Key Points
・2025年3月期中間期は大幅増収増益。外出需要により関連商材が伸長。構造改革により販管費減少
・2025年3月期は売上高390億円、経常利益15億円(7月上方修正)予想。下半期は中期経営計画の最終年度に向けた足場固めの投資を積極化
・成長ドライバーとして注力するEC事業及びサステナブルビジネスの存在感が増す
・株式分割を実施。2025年3月期の年間配当は前期比9.0円増の29.0円、配当性向30.5%を予定

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

《HN》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均