【通貨】為替週間見通し:ドルは底堅い値動きか、日米中央銀行の政策方針の違いを意識
米ドル/円 <日足> 「株探」多機能チャートより
【今週の概況】
■ドルはやや強含み、米国経済の過度な減速に対する警戒感は低下
今週のドル・円はやや強含み。米国経済の過度な減速に対する警戒感は低下し、大幅利下げ観測は一段と後退したことから、リスク回避的な米ドル売り・円買いは縮小し、米ドル・円は一時150円台前半まで買われる場面があった。中東地域における地政学的リスクの高まりや中国経済の減速懸念を警戒して米ドル売り・円買いがやや優勢となったが、欧州中央銀行(ECB)による大幅利下げ観測が浮上し、米ドル買い・ユーロ売りが一時活発となったことからリスク回避の米ドル売り・円買いは縮小した。
10月18日のニューヨーク外為市場でドル・円は150円08銭まで買われた後、149円37銭まで下落した。この日発表された9月米住宅着工件数は前月から減少し、長期金利低下に伴うドル売り・円買いが優勢となった。また、日本の通貨当局による円安是正措置が警戒され、リスク選好的な円売りは縮小した。米ドル・円は149円51銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:148円85銭-150円32銭。
【来週の見通し】
■ドルは底堅い値動きか、日米中央銀行の政策方針の違いを意識
来週のドル・円は底堅い値動きか。10月27日の日本の衆院選挙(総選挙)、11月5日の米国大統領選をにらんで、積極的に動きづらい展開となりそうだが、日米中央銀行の政策方針の違いでドルは下げ渋る状況が続くと予想される。直近発表の米インフレ指標は堅調で、インフレ緩和のペースが減速しており、連邦準備制度理事会(FRB)の緩和的な政策方針を弱める手がかりとなろう。11月と12月に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で追加利下げが決まる見込みだが、下げ幅は合計で0.5ptにとどまる可能性が高い。
日本銀行は金融正常化方針を堅持するものの、日本のインフレ指標は鈍化し、追加利上げは年明け以降となる見方が増えている。10月30-31日の金融政策決定会合では現行政策の維持が予想され、円売り要因となろう。それに先立つ総選挙では、自民・公明の連立与党で過半数を維持できるかが焦点。一方、11月5日に行われる米大統領選は接戦が予想され、選挙戦を見極める展開に。米企業決算が本格化し、序盤は金融を中心に好業績が目立つ。目先も堅調なら米国経済のソフトランディング期待のドル買いに振れやすい。中東情勢の悪化が引き続き警戒されているが、日米金利差などからリスク回避の円買いが拡大する可能性は低いと予想される。
【米・10月製造業PMI速報値】(24日発表予定)
24日発表の10月S&Pグローバル製造業PMIは前回から改善するか注目される。市場予想を上回った場合、米国経済のソフトランディングへの期待が高まり、ドル買い材料になりやすい。
【日・10月東京都区部消費者物価コア指数】(25日発表予定)
25日発表の日本の9月消費者物価コア指数(コアCPI)は前回から伸びの鈍化が予想される。市場予想と一致、または下回った場合、日本銀行による追加利上げ期待の後退により円売り要因となりそうだ。
ドル・円の予想レンジ:148円00銭-151円50銭
《FA》
提供:フィスコ