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【注目】アナリスト、中国経済により慎重な見方強める 高級アパレルやスポーツ用品の投資判断引き下げ

 アナリストが中国経済への慎重な見方を強めている。2週間半に渡る中国訪問の後にアディダス、バーバリー、そしてグッチの親会社であるケリングの投資判断を引き下げた。

 同アナリストはブランド、高級ショッピングモール、小売業者、投資家、その他の業界専門家を訪問したうえで、現地の雰囲気は経済低迷が構造的なものであるという見方を強め、6カ月前の訪問よりも遥かに低迷しているという。

 中国経済の高成長期は終わり、金融および不動産セクターは圧力の下にあり、もはや金のなる木とはみなしていない。また、民間セクターが縮小の一方で国営企業が拡大している点、ハイテクセクターの好況は他のセクターほど多くの億万長者を生み出す可能性は低いとも結論づけている。

 同アナリストは、中国での高級品市場の改善には3ー4年程度を要する可能性があり、2025年における高級品セクターの成長見通しを7%から4%に下方修正した。

 バーバリーの投資判断を「売り」に引き下げ、目標株価を先週末終値よりも11%低い水準としている。バーバリーは中国のエクスポージャーの割合が高く、それは高級ブランドとしてのポジショニングを危険にさらし、ブランド資産に長期的な影響を及ぼす可能性があるという。また、2025年前半には赤字に転落する可能性が高いとも言及した。

 グッチは中国での販売減少が依然として大きく、同業他社よりも深刻な状況にあるという。親会社のケリングの投資判断を「売り」に引き下げ、目標株価も先週末終値よりも11%低い水準に設定。

 一方、スポーツ用品に対する見解も同様。第2四半期以降ほとんどのブランドが実店舗への来店者数の減少を報告しており、同アナリストによる中国での店舗調査では、この傾向は夏にかけてさらに悪化を示しているという。オンライン市場は活況を呈しているが、これは値引きなどのプロモーション活動によるものだとしている。そのうえでアディダスの中国での粗利益率は過去の30%台から20%台前半にまで落ち込むだろうと述べ、投資判断を「中立」に引き下げている。

 半面、中国経済の減速の影響を完全に免れているわけではないが、それでも2桁成長を達成できる可能性があるエルメスなどを選好している。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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