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【市況】明日の株式相場に向けて=データセンター関連に流れ込む投資マネー

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 きょう(3日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比14円安の3万8686円と3日ぶり小反落。プライム市場の75%の銘柄が上昇する地合いで日経平均が小安く引けたのは、ひとえに指数寄与度の高い半導体製造装置関連の軟調によるもの。金利上昇効果で銀行株が買われTOPIXは6連騰と気を吐いたが、これについては日替わり循環物色の一環で今の相場の急所はここではない。

 相場の流れが変わってきた。中小型株への資金還流が単発的ではなく恒常的に進み始めた雰囲気がある。全体上昇トレンドを象徴する相場の華だった半導体製造装置関連株については、押し目買いよりも戻り売りニーズが強い。レーザーテック<6920>をはじめディスコ<6146>や東京エレクトロン<8035>など売買代金は引き続き上位5傑を占める状況ながら、株価の方はある程度上がると戻り売りの集中砲火でチャートはおじぎを余儀なくされ、仕切り直しとなるパターンが定着している。

 しかし、以前と比べ大きく異なるのは全体相場への影響力だ。 半導体主力株が売られれば投資マインドもシュリンクし、日経平均は下値を探るのが当たり前だったが、最近はそうでもなくなっている。半導体主力株が売られても、半導体周辺の中小型株はどこ吹く風で上値を指向するパターンが目立ち始めている。

 きょうは午前中に行われた10年物国債の入札が不調に終わったことで、新発10年債利回りは約1カ月ぶりの水準である0.925%まで上昇する場面があった。この場合、小型成長株が集結するグロース市場は向かい風が意識され、軟調な地合いとなるのがお決まりだった。ところが、きょうは金利上昇局面で日経平均がマイナス圏に沈むのを横目にグロース250指数は上値を指向、一時681.13まで買われ、8月27日につけた戻り高値をクリアした。つまり、「金利上昇でグロース売り」という単純思考から抜け出し、良い意味で潮の流れが変わったことを物語っている。これはもちろんグロース市場の銘柄に限らない。プライム市場あるいはスタンダード市場においても、グロース株(成長株)の範疇に属する中小型株の戻りを取りに行く方向に投資マネーが誘導されている。それと共鳴するようにテーマ物色の流れも再生されている。

 今のマーケットの隠れテーマとして再燃しているのは データセンター建設特需である。半導体周辺の業績好調企業の決算発表に際し、短信ではデータセンター向け需要に言及するケースが目立っており、これは株式市場の物色動向にも如実に影響を及ぼしている。最近では、データセンター向け光ファイバー特需で今期業績予想の上方修正を発表したフジクラ<5803>などの物色人気に反映された。また、政府クラウドの担い手であるさくらインターネット<3778>なども再び動兆。データセンターで喚起される電力需要の増大思惑では常連だった北海道電力<9509>などにも資金が還流している。直近、上値指向を強めるMipox<5381>も、今期業績の上方修正が好感されているが、その背景にはデータセンター投資拡大による恩恵が大きいという。

 政府は産業の競争力強化と経済安全保障の観点から半導体関連の投資支援に傾注しているのは周知の通り。前週末は、時事通信が最先端半導体の量産を目指す日の丸半導体会社ラピダスに政府が出資を検討していると報道、この話自体は目新しくはないが、テーマ買いの動きを渇望しているマーケットには慈雨となった。その際、大口の戻り売りが待つ半導体製造装置主力株をスルーして、データセンター関連に資金が向かったのは株式需給に尽きるというしかない。ここから注目しておきたい銘柄としては、データセンター向けを睨んだ光半導体事業に照準を合わせるザインエレクトロニクス<6769>や、独立系データセンター大手のアイネット<9600>、同じくデータセンターを全国で多極展開するシーイーシー<9692>、このほか東京エレクトロン デバイス<2760>やさくらケーシーエス<4761>といった銘柄をマークしてみたい。

 あすのスケジュールでは、9月の日銀当座預金増減要因見込みなど。海外では8月の財新中国非製造業購買担当者景気指数(PMI)、ポーランド中銀の政策金利発表、カナダ中銀の金融政策決定会合のほか、7月の米貿易収支、7月の米雇用動態調査(JOLTS)、7月の米製造業受注、米地区連銀経済報告(ベージュブック)など。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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