【注目】話題株ピックアップ【夕刊】(1):Jフロント、高島屋、川崎汽
Jフロント <日足> 「株探」多機能チャートより
長野計器<7715>がストップ高。いちよし経済研究所が6月28日付で新規に「A(買い)」で格付けを行っており、これを手掛かりに買いを集めた。同社の今25年3月期業績予想は売上高が前期比4.1%増の707億円、営業利益が同8.4%増の77億5000万円。前期に続き最高業績を更新する見通しだ。半導体業界を中心とした設備投資の回復が追い風になると見込んでいる。
■Jフロント <3086> 1,924.5円 +247 円 (+14.7%) 本日終値 東証プライム 上昇率2位
J.フロント リテイリング<3086>はマドを開けて急伸。年初来高値を更新した。前週末6月28日の取引終了後、25年2月期連結業績予想について売上高を4215億円から4245億円(前期比4.3%増)へ、純利益を235億円から265億円(同11.4%減)へ上方修正すると発表。これが好感された。第1四半期に国内売り上げが堅調だったほか、訪日外国人観光客の増加で免税売り上げが想定以上に伸長。これを踏まえて通期予想を見直した。なお、同時に発表した第1四半期決算は売上高が1014億6900万円(前年同期比8.6%増)、純利益が113億1600万円(同76.9%増)だった。
■高島屋 <8233> 3,007円 +299.5 円 (+11.1%) 本日終値 東証プライム 上昇率3位
高島屋<8233>が上値指向鮮明、きょうで7連騰となり6月中旬につけた年初来高値2760円50銭を更新した。前週末28日取引終了後、25年2月期業績予想の修正を発表、営業利益は従来予想の500億円から550億円(前期比20%増)に大幅増額した。訪日外国人観光客の増勢が続くなか、旺盛なインバウンド需要を取り込み、足もとの業績は会社側の想定を上回って推移している。訪日外客数の増加もさることながら、外国為替市場で円安が続いていることがインバウンド消費の伸びを助長しており、特に高級ブランド品や宝飾品を扱う同社をはじめとする百貨店は追い風が強い。
■川崎汽船 <9107> 2,500円 +160 円 (+6.8%) 本日終値 東証プライム 上昇率4位
川崎汽船<9107>が急伸。商船三井<9104>や日本郵船<9101>が買われるなど、海運株が堅調に推移。ばら積み船市況の値動きを示すバルチック海運指数は6月に入り上昇基調を続けており、海運市況の先行きに対する楽観的な見方が広がりつつある。さらに、中国からの輸出向け海上コンテナの輸送量が堅調に推移しているとの見方もあり、海運株への資金が流入しているようだ。東証の業種別指数の海運業は3%を超す上昇となり、上昇率トップとなっている。
■オムロン <6645> 5,666円 +137 円 (+2.5%) 本日終値
オムロン<6645>は反発した。SMBC日興証券が前週末6月28日の取引終了後、オムロンの目標株価を5500円から5900円に引き上げた。投資評価は上から2番目の「2」を継続する。FA(ファクトリーオートメーション)関連での減収計画は保守的と指摘。出荷に伴って部品在庫引当の減少・戻り益の拡大の可能性があるとの見方を示す。同証券はオムロンの25年3月期の営業利益予想をこれまでの367億円から515億円に見直した。
■KDDI <9433> 4,345円 +91 円 (+2.1%) 本日終値
KDDI<9433>が続伸した。日本経済新聞電子版が6月30日、「総務省とKDDIは日本語に特化した生成AI(人工知能)の共同研究に乗り出す」と報じた。生成AI関連での事業拡大を期待した買いが入ったようだ。大量の日本語で作った学習用データを総務省傘下の研究機関が提供。KDDIのAI技術を生かして国内で使いやすいAI基盤の性能引き上げを目指すとしている。
■エーザイ <4523> 6,680円 +88 円 (+1.3%) 本日終値
エーザイ<4523>が反発。きょう付の日本経済新聞朝刊で、「アルツハイマー病の症状を引き起こす『タウ』と呼ぶたんぱく質を標的とした新薬を開発する方針だ」と報じられており、好材料視された。記事によると、アルツハイマー病患者の脳内では「アミロイド」と呼ばれるたんぱく質が蓄積し始め、その後タウがたまっていくことが判明しているが、多くの企業の新薬開発ではアミロイドを標的としているという。30年度をメドに実用化するとしており、新薬への期待感が買いにつながっているようだ。
■ツルハホールディングス <3391> 9,245円 +85 円 (+0.9%) 本日終値
ツルハホールディングス<3391>が4日ぶりに反発した。前週末6月28日に6月度(15日締め)の月次営業速報を開示。既存店売上高は前年同月比2.8%増となった。増収基調を維持したとあって、株価の支援材料となったようだ。既存店の客数は同0.8%増、客単価は同1.9%増だった。全店売上高は同5.9%増。直営店では6店舗が開店し、22店舗が閉店した。
■松田産業 <7456> 2,955円 +24 円 (+0.8%) 本日終値
松田産業<7456>が反発。岩井コスモ証券は6月28日、同社株の投資判断を新規「A」でカバレッジを開始した。目標株価は3500円に設定した。同社はエレクトロニクス業界における貴金属リサイクルのリーディングカンパニー。24年3月期の連結営業利益は前の期比32.3%減の93億5600万円で着地。電子デバイス分野からの貴金属リサイクル取扱量減少の影響を受けた。ただ、25年3月期は同分野の生産状況の改善を背景に同利益は前期比6.9%増の100億円が見込まれている。近年では、日本でエレクトロニクス産業の大型投資が相次いでいることは追い風となる。また、EVの普及で今後廃棄されるリチウムイオン電池が急増することが予想されるなか、同社は太平洋セメント<5233>と共同で同電池のリサイクル事業を開始したことも評価している。
■アダストリア <2685> 3,215円 -420 円 (-11.6%) 本日終値 東証プライム 下落率トップ
アダストリア<2685>が大幅安で3日続落。6月28日の取引終了後に発表した第1四半期(3~5月)連結決算が、売上高740億100万円(前年同期比8.1%増)、営業利益60億1400万円(同4.2%減)、純利益44億500万円(同1.3%減)となり、減益着地したことが嫌気された。国内売上高は3月の低気温による一時的な減速感はあったもののその後天候に恵まれたことや、トレンドを捉えた商品展開やヒット商品の育成、テレビCMやポイント還元などのプロモーションの結果、グローバルワークなど主力ブランドが堅調に推移し売上高を押し上げた。一方で、円安の影響や卸売事業の増加が粗利率を押し下げたほか、一部子会社の苦戦もあり営業利益は減益となった。なお、25年2月期通期業績予想は、売上高2900億円(前期比5.2%増)、営業利益190億円(同5.5%増)、純利益127億円(同6.0%減)の従来見通しを据え置いている。
株探ニュース