【特集】ポラリスHD Research Memo(2):スターアジアグループとして成長加速しているホテルオペレーター(1)
ポラリスHD <日足> 「株探」多機能チャートより
■会社概要
1. 会社概要と沿革
ポラリス・ホールディングス<3010>は、世界ブランド「Best Western(R) Hotels & Resorts」の国内展開権利を持ち、自社ブランドである「KOKO HOTELS」「バリュー・ザ・ホテル」、M&Aにより子会社化した「Red Planet Hotels」を含め国内外で47棟、8,205室(2024年3月末現在)のホテルを運営するホテルオペレーターである。2018年10月以降、独立系の投資運用グループであるスターアジアグループと資本業務提携し、新たなマネジメント体制の下、成長を加速している。2023年10月にはフィリピン国内で2位のリミテッドホテルチェーン「Red Planet Hotels」を擁するRed Planet Groupを子会社化した。
同社は1912年(大正元年)に創業し、100年以上の歴史を持つ。当時の社名は「上毛撚糸(じょうもうねんし)株式会社」であり、群馬県で製糸業を営み業界大手の一角を占めていた。繊維不況を経て、1973年に不動産業に参入。その後不動産業がメインとなり、2006年に東京証券取引所(以下、東証)の所属業種を「繊維」から「不動産」に変更、2008年には「価値開発株式会社」に社名を変更した。同年、フィーノホテルズを子会社化したことで「Best Western(R) Hotels & Resorts」のエリア開発会社となり、ホテル事業の足掛かりを築く。リーマンショックで不動産市況が悪化した後は不動産事業主体からホテル事業にシフトし、2011年3月期にはホテル事業が不動産事業の売上高を逆転した。2012年には東日本大震災復興支援プロジェクトの一環として「バリュー・ザ・ホテル」を開業。2015年には東証の所属業種を「不動産業」から「サービス業」に変更した。2018年10月以降、独立系の投資運用グループであるスターアジアグループと資本業務提携を締結し、新たなマネジメント体制の下、新たな成長ステージに入った。
親会社であるスターアジアグループは、2007年にマルコム・エフ・マクリーン4世氏及び増山太郎(ますやまたろう)氏によって設立された非上場、独立系の投資運用グループである。主として米国の大学基金、財団や年金基金等の長期運用を志向する投資家の資金を、主に日本をはじめとする不動産関連資産によって運用する。様々なアセットタイプの不動産への直接的な投資はもとより、債権及び株式への投資を通じた不動産への投資など、他の不動産投資家とは一線を画す多面的なアプローチにより機動的に投資を行うという特徴がある。これまでの不動産等への投資実績は、累計で1.27兆円を超える。同社の持つホテル運営のノウハウと、スターアジアグループが保有する不動産投資や不動産証券化等のノウハウを活用することで、国内での独自の新ブランド「KOKO HOTELS」及び「ベストウェスタンホテル」、フィリピンにおける「Red Planet Hotels」を拡大し、新たな不動産投資・開発の機会を発掘し、事業ポートフォリオの拡大を図る。なお、2021年5月に「価値開発株式会社」から「ポラリス・ホールディングス株式会社」へ社名変更した。
2. ホテル市場の概況
観光庁「宿泊旅行統計調査」(2024年3月調査)によると、国内のホテル・旅館の宿泊者数はコロナ禍が始まった2020年初頭に激減したものの、延べ宿泊者数で2019年同月の水準を超える(7.7%増)まで回復し上昇傾向がなお続いている。戻りの早かった日本人の旅行者は円安による国内旅行へのシフトなどもあり、安定的に推移する。一方で、昨今は訪日外国人の勢いが強く、2024年3月は2019年同月比36.4%増となった。訪日外国人旅行者の地域別では台湾、中国、米国、韓国、香港の順であり、コロナ禍前に国別1位だった中国からの旅行者は今後も増加する余地がある。訪日外国人旅行者の訪問先では、三大都市圏が53.7%増(2024年3月対2019年3月)、地方部が6.5%増(同)であり、三大都市圏が先行する。宿泊施設全体の稼働率は60.0%(2024年3月)、同社の主要事業であるビジネスホテルに限ると稼働率は74.6%(同)まで回復しており、今後もさらなる上昇が期待できる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
《HN》
提供:フィスコ