【特集】ODK Research Memo(7):中期経営計画を軸に、新事業ポートフォリオやグループシナジー具体化を推進
ODK <日足> 「株探」多機能チャートより
■ODKソリューションズ<3839>の成長戦略
1. 中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)
2024年4月に策定した中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期、経営環境変化に適切に対応するため毎年度改定するローリング方式)では、目標値に最終年度2027年3月期連結売上高8,500百万円、経常利益900百万円、ROIC7.0%を掲げている。基本方針として成長路線を継続するが、本3ヶ年計画では特に収益性向上施策を優先し、グループ内再編等による連結ベースでのコスト削減、適正価格での提供等による既存事業の再構築、新規事業の早期収益化を推進する。なおキャピタルアロケーション方針として、財務基盤の健全性を維持しつつ成長投資を行うため、3年間で30億円規模の投資枠(内訳は、次世代サービス創出に関連する投資で約5億円、M&Aへの投資で約8億円、既存事業の収益性改善に資する投資で約17億円)を設けるとともに、安定的かつ継続的な配当・株主優待を堅持する方針としている。
2. 新事業ポートフォリオやグループシナジー具体化を推進
重点施策としては、新事業ポートフォリオの推進、グループシナジーの具体化、M&A・アライアンスの推進を掲げている。新事業ポートフォリオの推進では「EdTech×FinTech」として、大学入試の一時点に留まらず個人のキャリア形成を支援する新サービスの開発・収益化を図る。具体的には、人材マッチングとして、Web3.0サービス「アプデミー(R)」やキャリア体験プラットフォーム「キャリポート」、大学向けの評価入力・管理システム「iiscore-U」、リカレント・リスキリングとして、人材育成サポート関連のラーニングプラットフォーム「SLAP」「iStudy(R) LMS」といった新サービスの拡大である。また、将来の事業領域候補として、「アルムナイサービス」や「タレントマネジメント」や「金融教育」といった分野への進出も検討している。グループシナジーの具体化では、グループ内再編を視野に入れた連結ベースでのコスト削減や、大学受験ポータルサイト「UCARO(R)」が保有するデータのグループ内活用などを行っている。M&A・アライアンスの推進では、成長戦略の早期実現に向けて、不足する経営資源の獲得(IT人材の獲得、教育事業の中京圏での拠点獲得、データビジネスを実現するための技術・データの獲得、新事業領域の獲得など)を推進する。
また同社単体ベースでは、基本戦略にコア事業の再構築とデータビジネスの収益化、重点課題に個別収益管理の深化、ターゲット市場の拡大、個人の価値最大化に向けた研究開発成果の活用を掲げている。個別収益管理の深化は、教育関連では顧客別収益管理に基づく価格適正化、BPO受託範囲拡大(収益性の高い関東圏大学の成績・合格処理の受注など)、金融関連ではサービス単位の収益管理徹底、大手顧客獲得等による「mynaone(R)」の収益性改善、人材育成サポート関連ではeラーニングプラットフォーム「SLAP」の機能強化による大手顧客獲得などを推進する。ターゲット市場の拡大は、教育関連では中京圏エリアの強化、入試課以外へのサービス提供など、金融関連では外資系・中規模証券やその他の金融機関の獲得を目指している。個人の価値最大化に向けた研究開発成果の活用は、Web3.0サービス「アプデミー(R)」の研究開発成果を活用し、企業向けのマーケティングや採用活動の支援、個人向けのキャリア形成や就職活動の支援につながる新サービスの開発などを行っている。
中期経営計画の達成に向けた取り組みの一つとして、子会社ポトスが2023年8月に提供を開始したキャリア体験プラットフォーム「キャリポート」の拡大を推進する。「UCARO(R)」と連携し、「企業の採用ブランディング」×「大学生のキャリア形成支援」により、ミスマッチのない社会の形成や、30年以上続く社会課題「入社3年以内に3割が離職」の解決につながるサービスである。導入企業例としてアイザワ証券、F.C.大阪、学研HD、クレディセゾンなどがある。「マーケティング支援パッケージ」等のサービスラインナップ充実とともに、導入企業の体験イベント開催支援等も行っている。2024年2月にはクレディセゾンと「大学生がクレカの未来を描くワークショップ」を開催、同年3月にはアイザワ証券と大学生が金融教育ゲームで投資やお金を学ぶ体験型イベントを開催した。また同年4月には、戦略就活塾「Abuild就活」を運営するNINJAPAN(株)とともに、大学生対象のリアルイベント「準備は早ければ早いほど良い!?楽しく学ぶガクチカ最前線」を開催した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
《HN》
提供:フィスコ