【経済】【クラファン】Jリーグチームも導入! 編成などスポーツクラブのDX経営を実現 SportMeme、5月14日募集開始
スポーツクラブのDX経営を支援するサービスを展開するSportMeme株式会社(東京都調布市)が、株式投資型クラウドファンディング(普通株式型)による出資を募集します。申し込みは5月14日19時30分開始を予定しています。
※「みなし時価総額」はミンカブ編集部が「発行済み株式数×募集株式の払込金額」により試算
SaaS起点にスポーツ産業の発展に貢献
SportMemeは、プロスポーツクラブのDX経営を実現するSaaS「DePosta」(デポスタ)を起点としたサービスを通じて、スポーツ産業の持続的な発展に貢献することを目指すスタートアップです。
「DePosta」は、得点やアシスト数などの成績だけでは見えにくい選手の貢献度を可視化するサービス。選手の価値を適正に評価する「チーム編成クラウド」を中心に、予測勝率の推移を注視し、選手のパフォーマンス改善、投資対効果の算出などクラブ経営をワンストップで支援します。
Bリーグ加盟のプロバスケットボールチームやJリーグ加盟のプロサッカーチームなど、サービスリリース後1年半足らずで8団体のプロスポーツチームに導入され、今後も機能拡張や周辺領域への事業展開でグローバルなスポーツマーケットに挑む予定です。
同社は事業の成長性を評価され、ベンチャーキャピタルや東大発AIベンチャー、国内外でバスケットボール事業を展開する事業会社などから出資を受けています。
多くのスポーツクラブが慢性的な赤字体質…
同社によると、スポーツクラブは莫大なリターンをもたらす投資先と考えられるようになり、近年、プライベート・エクイティ(未公開株式)ファンドを通じたグローバルな資金供給が活発に。
しかし、資金供給が活発に行われている一方で、世界のスポーツクラブの多くが慢性的な赤字体質に陥っており、その背景には、競争激化による「選手人件費の高騰」「施設の維持・改善コストの増加」があるそうです。
(出典:イークラウド)
特にクラブ運営の支出で大きな割合を占めているのは選手の人件費ですが、多くのスポーツクラブは、選手の評価やリクルーティングでは「経験」「直感」を重視し、データ分析を活用した効率的な獲得ができていないといいます。
結果、チーム強化につながらない選手を獲得したり、過剰な獲得予算を組んでしまったりする非効率なクラブ経営が行われているそうです。
「チーム編成の成否はクラブの勝率に直結するため、勝率が低下すると集客が落ち、それによって収益が落ち、チームを強化するための予算が組めないという悪循環が生まれてしまいます」(同社)
同社は2020年、選手の評価やクラブ経営に関する課題をデータに基づいた意思決定によって解決していくことを目指して設立。まずは「チーム編成」というクリティカルな業務に対してMVPを展開することで課題を解決し、スポーツ産業の持続可能な発展を目指しています。
※MVP:「Minimum Viable Product」。顧客のニーズを満たす最小限のプロダクト(同社注)
スポーツクラブ経営のPDCAサイクルを支援する「DePosta」
同社は、スポーツクラブの経営に必要なサービスをワンストップで提供する「DePosta」を月額課金モデルで提供しています。
スポーツクラブ経営はこれまで、予算策定から選手獲得、シーズン中のモニタリングまで、判断軸として長年の経験や勘が重視されており、赤字体質を脱するためには、精度の高い意思決定ができる判断軸を取り入れ、オーナーやスポンサー、ファンなどステークホルダーの期待に再現性高く応えていく必要があると同社は見ています。
「DePosta」は選手のパフォーマンスを可視化する「チーム編成クラウド」を中心に、「経営管理クラウド」「オペレーションクラウド」などの追加機能により、スポーツクラブ経営のPDCAサイクルを支援するものです。
(出典:イークラウド)
「DePosta」の基幹が「チーム編成クラウド」です。
スポーツのチーム編成は、エージェントが提供する膨大な獲得候補選手の情報を基に、GMがパフォーマンスの期待値や適正価格を検討するのが一般的だといいます。
しかし、エージェントの情報は選手の簡単なプロフィールや動画、民間データサイトのリンク程度に限られ、クリティカルな業務にもかかわらず、属人的になっていることで、期待値が高すぎる評価をしてしまったり、ポテンシャルの高い選手を獲得し損ねたりすることが課題になっていたそうです。
【チーム編成クラウド】
チーム編成クラウドが評価する主なポイントには「選手個人のパフォーマンス」「選手同士の相性」などがあります。
(1)選手個人のパフォーマンス評価
得点やアシストなど「スタッツ」と呼ばれるプレー成績だけでなく、選手がチームの勝利にもたらした貢献度を可視化し、より総合的なパフォーマンス評価を算出します。
チーム編成クラウドは独自の評価指標によって、数字では見えにくい勝利貢献度の高い選手を見つけられる可能性が高まるそうです。
(2)選手同士の相性評価
バスケットボールやサッカーなど、選手同士の密な連携が求められる競技では、選手同士の相性が勝利に大きく影響します。
単に技術的な能力の補完性だけでなく、適切な選手同士の組み合わせを見つけ出し、それをチーム編成に落とし込むことができれば、チームのパフォーマンスが大幅に向上する可能性があるそうです。
(出典:イークラウド)
チーム編成クラウドを利用することで、勝利貢献度の高いドリームチームを仮想的につくることはできるものの、現実には獲得予算、オーナーやスポンサーが期待する勝率、既に所属している選手が存在するため、「目標とする勝率を達成するための選手を予算内で獲得することがGMに求められる仕事です」(同社)。
GMはまず、現在のチームで予測される来期の勝率を確認し、それがオーナーやスポンサーが期待する勝率を下回っていた場合、良い選手を見つけて補強する必要があります。このとき、「良い選手」とは単に能力の高い選手ではなく、予算内で獲得でき、勝率を高める可能性が大きい選手のことを指すと同社は考えています。
「目標勝率を満たすために必要な選手を獲得して、チームを編成した後は、実際にチームが想定通りのパフォーマンスを発揮できているかモニタリングし、目標勝率から乖離しないように選手のパフォーマンスをケアしていくことになります」(同社)
こうした、クラブ経営のPDCAプロセスをサポートする拡張機能が「経営管理クラウド」「オペレーションクラウド」です。
【経営管理クラウド・オペレーションクラウド・管理会計クラウド】
期待される勝率を理論上達成できるチームが編成できたとしても、各選手は好不調があるため、シーズン中に目標勝率を下回る可能性もあります。しかし、正しい課題認識がなければ、目標勝率から乖離している状況に気付けないケースや、エース選手など特定の選手に過度な負荷を与えてしまう可能性があり、そうした状況の課題を可視化するのが「経営管理クラウド」だといいます。
これを利用することで、シーズン中に変化していく最終勝率の予測値をモニタリングできるようになり、目標勝率と乖離した際、早期に状況を把握する必要がありますが、そうした状況をもたらしている選手を可視化し、スランプ脱出のための要因分析をサポートするのが「オペレーションクラウド」です。
オペレーションクラウドでは、各選手のパフォーマンス推移を可視化し、調子が良いときと悪いときで何が違うのかを分析します。現在はスタッツから分かる情報が中心の分析ですが、今後はGPSなどのIoTを活用した選手のパーソナルデータ(試合中の運動量や睡眠時間など)も取り込むことで、分析の幅を広げ、解決策の精度を上げられると見込んでいます。
(出典:イークラウド)
選手の価値については、集客やグッズ販売などの売上も加味して考える必要があるため、「DePosta」を提供するチームからの要望を受け、勝利への貢献度とグッズなど売上の貢献度を総合的に評価する「管理会計クラウド」の開発も行っています。
2024年度第1四半期のSaaS収益は前年同期比880%超へ
現在、「DePosta」は、JリーグやBリーグなど4リーグ・8チームで導入され、同一チームで複数のプロダクトを導入するケースもあるため、2024年度第1四半期のSaaS収益は前年同期比880%超を見込んでいます。
(出典:イークラウド)
国内で同様のSaaS事業を行う企業は確認できていないといい、主な競合はコンサルティング事業者があり得ますが、要件定義に始まり、オリジナルの評価分析システムを構築するために数百万~数千万円必要なコンサルに対し、必要な機能単位で利用できる導入ハードルの低さが「DePosta」の優位性だといいます。
「DePosta」は「チーム編成クラウド」「経営管理クラウド」「オペレーションクラウド」など各チームが必要なタイミングで必要な機能を利用することができるため、各チームにとって効率的な運用を安価に行うことが可能。また、2022年12月の初導入以来、2024年4月現在まで解約は発生していないそうです。
今後は海外チームでの実績を積み、その結果を元に国内での浸透を図っていく計画で現在、ベルギーのプロサッカーチームと話し合いを進めています。
「DePosta」は現在、サッカーやバスケットボール、ラグビーで導入されていますが、その他さまざまなスポーツにも横展開していく計画です。
「国際間移籍数の増加」などの課題に立ち向かう
近年、プロスポーツ業界では「選手の国際間移籍の増加」「クラブライセンス制度の導入」が主要なトレンドになっているといいます。市場拡大を続けるスポーツマーケットでは、今まで以上に透明性の高いクラブ経営が求められているそうです。
(1)選手の国際間移籍数の増加
サッカーやバスケットボールなど多くのスポーツでは、競争力を高めるため積極的に国外の有望な選手を発掘するチームが増加。国際サッカー連盟(FIFA)では2023年の移籍シーズン、男子選手の国際的な移籍額が史上最高の73億6000万米ドルに達しているそうです。
「各クラブが国外の才能を獲得する動きを活発化させている一方、スカウティングに必要な情報量やデータ分析の技術はまだ十分なレベルに達していません。クラブは効率的なチーム編成ができず、選手も適切な評価や移籍機会を得られていないなどの課題があります」(同社)
(2)財務基準・過剰な人件費投資に規制を設ける「クラブライセンス制度」導入
1990年代~2000年代、欧州サッカー界では多くのクラブが財政危機に直面し、クラブの持続可能性を確保するために「クラブライセンス制度」が導入されたそうです。
財務報告や組織運営、施設インフラなど厳格な基準が設定され、2004年に欧州サッカー連盟(UEFA)への導入後、多くのスポーツ組織やリーグが採用しているといいます。
これら2つのトレンドが抱える課題の根底には、データに基づかない不透明な意思決定プロセスが存在すると同社は考えています。
「弊社は『DePosta』を通じてグローバルな選手情報やデータの分析結果を提供することで、データに基づいた意思決定や戦略立案をサポートし、プロスポーツの持続可能な発展に寄与することを目指します」(同社)
評価データを元に周辺領域で新規事業構築へ
同社は初期の段階では「スポーツクラブ経営のDX」という業界特化型ビジネスで市場シェアの獲得に注力したい考えです。中長期的には、SaaSを通じて取得した評価データを元に周辺領域における新規事業を通して、巨大なスポーツマーケットに挑むとしています。
(出典:イークラウド)
現在、中期で取り組む事業の一つとして、スポーツ特化ファンドを通じた「エンティティ・ベッティング事業」を構想しています。
【SaaS事業によるデータを活用した「エンティティ・ベッティング事業」】
「エンティティ・ベッティング」は、運営会社がファンドを組成し、スポーツベッティングを通じて資金の運用とリターン獲得を狙うヘッジファンド事業の形態。同社の持つ選手の適正評価技術とチームの勝率予測は、ベッティングにおけるデータ分析技術(評価/予測)と相性がいいと考えています。
「今後、SaaS事業を通じて、より多くのクラブ経営に関するデータを蓄積していくことで、エンティティ・ベッティングの予想精度を上げていくことを目指します」(同社)
【スポーツクラブ投資・再建事業】
経営不振に陥った割安なクラブを発掘して資金を投入し、同社のSaaSを利用してバリューアップ、再建後の売却益やクラブ経営収益の配当を狙う事業も構想しています。
同社はクラブ再建後、別オーナーへの売却、または複数のクラブを同じ組織や企業が所有・運営するMCO(マルチクラブオーナーシップ)を通じた収益化を想定しています。
※MCO(マルチクラブオーナーシップ):1つの企業が複数のクラブを保有・運営することで、経営管理の効率化や、グローバル規模でのスポンサーシップ獲得、マーケティング事業などを行う形態(同社注)
【スポーツ隣接事業(フィンテック)】
最終的には、SaaS事業を通じて得られたデータを活用し、スポーツ保険に関する金融商品の開発や、与信データに基づいた資本コストの低い融資など、スポーツ隣接産業における事業開発への参入を検討する計画です。
今後の成長に向けて
同社は「チーム編成」という、クラブ経営において影響が大きく、重要な課題に関連する業務に対してMVPを展開しており、今後、経営管理・オペレーション・管理会計クラウドへのアップセル・クロスセルを通して売上継続率の最大化を図るといいます。
(出典:イークラウド)
SaaS事業のターゲットは、売上規模が数十億円あり、クラブライセンスを維持するために、財務状況の安定性の重要度が高いリーグに所属する国内外のプロスポーツクラブです。
販売経路としては、現在、株主や関係者からの紹介、実績を元にしたアウトバウンド営業を行っていますが、今後は同リーグでの導入実績や、導入済みチームからのリファラルが重要になるといいます。
エンティティ・ベッティング事業では、海外子会社設立とベッティングライセンスの取得が必要だといい、精度の高い勝敗予想アルゴリズムを構築していきたい考えです。
「これらを実現するため、中長期的にはプロダクトとデータ研究開発、営業人材の組織体制構築が必要と考えています」(同社)
(出典:イークラウド)
※上記の売上計画には、エンティティ・ベッティング事業、スポーツクラブ投資・再建事業の収益、スポーツ隣接事業の売上は含まない。
株主構成
・W ventures投資事業有限責任組合(W株式会社)
・ニッセイ・キャピタル12号投資事業有限責任組合(ニッセイ・キャピタル株式会社)
・株式会社oneroots
・ライムズスポーツコンサルティング株式会社
・その他個人株主
類似上場企業(業態やサービス・製品などで類似性の見られる企業)
・識学 <7049> [東証G]
・スポーツフィールド <7080> [東証G]
・イシン <143A> [東証G]
・情報戦略テクノロジー <155A> [東証G]
・Will Smart <175A> [東証G]
発行者・募集情報
商 号:SportMeme株式会社
所在地:〒182-0021 東京都調布市調布ヶ丘3-15-22
URL:https://sportmeme.co/
代表取締役:長野遼太
資本金:46,529,500円
発行可能株式総数:10,000,000株
発行済株式総数:13,489株
調達前評価額:512,582,000円
設立年月日:2020年1月17日
決算期:12月
■募集株式の数(上限)
普通株式 1,350株
■募集株式の払込金額
1株当たり 38,000円
■申込期間
2024年5月14日~5月31日
※上記申込期間のうち募集期間は5月14日~5月30日。早期終了の場合、予定した申込期間の最終日よりも早く、申込みの受付を終了することがある、
■払込期日
2024年6月14日
■目標募集額
1,653万円
■上限募集額
5,130万円
■投資金額のコース及び株数
11.4万円コース(3株)
22.8万円コース(6株)
34.2万円コース(9株)
45.6万円コース(12株)
特定投資家向けコース
102.6万円コース(27株)
216.6万円コース(57株)
■資金使途
・調達額1,653万円(目標募集額)の資金使途
プロダクト開発費 600万円
分析データ研究開発費 362万円
セールス・CS人件費 362万円
手数料 327万円
・調達額5,130万円(上限募集額)の資金使途
プロダクト開発費 1,850万円
分析データ研究開発費 1,135万円
セールス・CS人件費 1,135万円
手数料 1,009万円
■連絡先
SportMeme株式会社
090-2056-6867
※本株式投資型クラウドファンディングの詳細については、イークラウドの下記ページをご覧ください。
▼あのプロチームも導入!スポーツ×データ分析で巨大なスポーツ市場に挑む「SportMeme」
株探ニュース
・ | 普通株式型 |
・ | 目標募集額:1653万円、上限募集額:5130万円 |
・ | VC出資実績あり |
・ | 事業会社/CVC出資実績あり |
・ | エンジェル出資実績あり |
・ | エンジェル税制あり(優遇措置AまたはB) |
・ | みなし時価総額:5億1258万2000円 |
・ | 類似上場企業:識学 <7049> [東証G]、スポーツフィールド <7080> [東証G]、イシン <143A> [東証G]、情報戦略テクノロジー <155A> [東証G]、Will Smart <175A> [東証G] |
SaaS起点にスポーツ産業の発展に貢献
SportMemeは、プロスポーツクラブのDX経営を実現するSaaS「DePosta」(デポスタ)を起点としたサービスを通じて、スポーツ産業の持続的な発展に貢献することを目指すスタートアップです。
「DePosta」は、得点やアシスト数などの成績だけでは見えにくい選手の貢献度を可視化するサービス。選手の価値を適正に評価する「チーム編成クラウド」を中心に、予測勝率の推移を注視し、選手のパフォーマンス改善、投資対効果の算出などクラブ経営をワンストップで支援します。
Bリーグ加盟のプロバスケットボールチームやJリーグ加盟のプロサッカーチームなど、サービスリリース後1年半足らずで8団体のプロスポーツチームに導入され、今後も機能拡張や周辺領域への事業展開でグローバルなスポーツマーケットに挑む予定です。
同社は事業の成長性を評価され、ベンチャーキャピタルや東大発AIベンチャー、国内外でバスケットボール事業を展開する事業会社などから出資を受けています。
多くのスポーツクラブが慢性的な赤字体質…
同社によると、スポーツクラブは莫大なリターンをもたらす投資先と考えられるようになり、近年、プライベート・エクイティ(未公開株式)ファンドを通じたグローバルな資金供給が活発に。
しかし、資金供給が活発に行われている一方で、世界のスポーツクラブの多くが慢性的な赤字体質に陥っており、その背景には、競争激化による「選手人件費の高騰」「施設の維持・改善コストの増加」があるそうです。
(出典:イークラウド)
特にクラブ運営の支出で大きな割合を占めているのは選手の人件費ですが、多くのスポーツクラブは、選手の評価やリクルーティングでは「経験」「直感」を重視し、データ分析を活用した効率的な獲得ができていないといいます。
結果、チーム強化につながらない選手を獲得したり、過剰な獲得予算を組んでしまったりする非効率なクラブ経営が行われているそうです。
「チーム編成の成否はクラブの勝率に直結するため、勝率が低下すると集客が落ち、それによって収益が落ち、チームを強化するための予算が組めないという悪循環が生まれてしまいます」(同社)
同社は2020年、選手の評価やクラブ経営に関する課題をデータに基づいた意思決定によって解決していくことを目指して設立。まずは「チーム編成」というクリティカルな業務に対してMVPを展開することで課題を解決し、スポーツ産業の持続可能な発展を目指しています。
※MVP:「Minimum Viable Product」。顧客のニーズを満たす最小限のプロダクト(同社注)
スポーツクラブ経営のPDCAサイクルを支援する「DePosta」
同社は、スポーツクラブの経営に必要なサービスをワンストップで提供する「DePosta」を月額課金モデルで提供しています。
スポーツクラブ経営はこれまで、予算策定から選手獲得、シーズン中のモニタリングまで、判断軸として長年の経験や勘が重視されており、赤字体質を脱するためには、精度の高い意思決定ができる判断軸を取り入れ、オーナーやスポンサー、ファンなどステークホルダーの期待に再現性高く応えていく必要があると同社は見ています。
「DePosta」は選手のパフォーマンスを可視化する「チーム編成クラウド」を中心に、「経営管理クラウド」「オペレーションクラウド」などの追加機能により、スポーツクラブ経営のPDCAサイクルを支援するものです。
(出典:イークラウド)
「DePosta」の基幹が「チーム編成クラウド」です。
スポーツのチーム編成は、エージェントが提供する膨大な獲得候補選手の情報を基に、GMがパフォーマンスの期待値や適正価格を検討するのが一般的だといいます。
しかし、エージェントの情報は選手の簡単なプロフィールや動画、民間データサイトのリンク程度に限られ、クリティカルな業務にもかかわらず、属人的になっていることで、期待値が高すぎる評価をしてしまったり、ポテンシャルの高い選手を獲得し損ねたりすることが課題になっていたそうです。
【チーム編成クラウド】
チーム編成クラウドが評価する主なポイントには「選手個人のパフォーマンス」「選手同士の相性」などがあります。
(1)選手個人のパフォーマンス評価
得点やアシストなど「スタッツ」と呼ばれるプレー成績だけでなく、選手がチームの勝利にもたらした貢献度を可視化し、より総合的なパフォーマンス評価を算出します。
チーム編成クラウドは独自の評価指標によって、数字では見えにくい勝利貢献度の高い選手を見つけられる可能性が高まるそうです。
(2)選手同士の相性評価
バスケットボールやサッカーなど、選手同士の密な連携が求められる競技では、選手同士の相性が勝利に大きく影響します。
単に技術的な能力の補完性だけでなく、適切な選手同士の組み合わせを見つけ出し、それをチーム編成に落とし込むことができれば、チームのパフォーマンスが大幅に向上する可能性があるそうです。
(出典:イークラウド)
チーム編成クラウドを利用することで、勝利貢献度の高いドリームチームを仮想的につくることはできるものの、現実には獲得予算、オーナーやスポンサーが期待する勝率、既に所属している選手が存在するため、「目標とする勝率を達成するための選手を予算内で獲得することがGMに求められる仕事です」(同社)。
GMはまず、現在のチームで予測される来期の勝率を確認し、それがオーナーやスポンサーが期待する勝率を下回っていた場合、良い選手を見つけて補強する必要があります。このとき、「良い選手」とは単に能力の高い選手ではなく、予算内で獲得でき、勝率を高める可能性が大きい選手のことを指すと同社は考えています。
「目標勝率を満たすために必要な選手を獲得して、チームを編成した後は、実際にチームが想定通りのパフォーマンスを発揮できているかモニタリングし、目標勝率から乖離しないように選手のパフォーマンスをケアしていくことになります」(同社)
こうした、クラブ経営のPDCAプロセスをサポートする拡張機能が「経営管理クラウド」「オペレーションクラウド」です。
【経営管理クラウド・オペレーションクラウド・管理会計クラウド】
期待される勝率を理論上達成できるチームが編成できたとしても、各選手は好不調があるため、シーズン中に目標勝率を下回る可能性もあります。しかし、正しい課題認識がなければ、目標勝率から乖離している状況に気付けないケースや、エース選手など特定の選手に過度な負荷を与えてしまう可能性があり、そうした状況の課題を可視化するのが「経営管理クラウド」だといいます。
これを利用することで、シーズン中に変化していく最終勝率の予測値をモニタリングできるようになり、目標勝率と乖離した際、早期に状況を把握する必要がありますが、そうした状況をもたらしている選手を可視化し、スランプ脱出のための要因分析をサポートするのが「オペレーションクラウド」です。
オペレーションクラウドでは、各選手のパフォーマンス推移を可視化し、調子が良いときと悪いときで何が違うのかを分析します。現在はスタッツから分かる情報が中心の分析ですが、今後はGPSなどのIoTを活用した選手のパーソナルデータ(試合中の運動量や睡眠時間など)も取り込むことで、分析の幅を広げ、解決策の精度を上げられると見込んでいます。
(出典:イークラウド)
選手の価値については、集客やグッズ販売などの売上も加味して考える必要があるため、「DePosta」を提供するチームからの要望を受け、勝利への貢献度とグッズなど売上の貢献度を総合的に評価する「管理会計クラウド」の開発も行っています。
2024年度第1四半期のSaaS収益は前年同期比880%超へ
現在、「DePosta」は、JリーグやBリーグなど4リーグ・8チームで導入され、同一チームで複数のプロダクトを導入するケースもあるため、2024年度第1四半期のSaaS収益は前年同期比880%超を見込んでいます。
(出典:イークラウド)
国内で同様のSaaS事業を行う企業は確認できていないといい、主な競合はコンサルティング事業者があり得ますが、要件定義に始まり、オリジナルの評価分析システムを構築するために数百万~数千万円必要なコンサルに対し、必要な機能単位で利用できる導入ハードルの低さが「DePosta」の優位性だといいます。
「DePosta」は「チーム編成クラウド」「経営管理クラウド」「オペレーションクラウド」など各チームが必要なタイミングで必要な機能を利用することができるため、各チームにとって効率的な運用を安価に行うことが可能。また、2022年12月の初導入以来、2024年4月現在まで解約は発生していないそうです。
今後は海外チームでの実績を積み、その結果を元に国内での浸透を図っていく計画で現在、ベルギーのプロサッカーチームと話し合いを進めています。
「DePosta」は現在、サッカーやバスケットボール、ラグビーで導入されていますが、その他さまざまなスポーツにも横展開していく計画です。
「国際間移籍数の増加」などの課題に立ち向かう
近年、プロスポーツ業界では「選手の国際間移籍の増加」「クラブライセンス制度の導入」が主要なトレンドになっているといいます。市場拡大を続けるスポーツマーケットでは、今まで以上に透明性の高いクラブ経営が求められているそうです。
(1)選手の国際間移籍数の増加
サッカーやバスケットボールなど多くのスポーツでは、競争力を高めるため積極的に国外の有望な選手を発掘するチームが増加。国際サッカー連盟(FIFA)では2023年の移籍シーズン、男子選手の国際的な移籍額が史上最高の73億6000万米ドルに達しているそうです。
「各クラブが国外の才能を獲得する動きを活発化させている一方、スカウティングに必要な情報量やデータ分析の技術はまだ十分なレベルに達していません。クラブは効率的なチーム編成ができず、選手も適切な評価や移籍機会を得られていないなどの課題があります」(同社)
(2)財務基準・過剰な人件費投資に規制を設ける「クラブライセンス制度」導入
1990年代~2000年代、欧州サッカー界では多くのクラブが財政危機に直面し、クラブの持続可能性を確保するために「クラブライセンス制度」が導入されたそうです。
財務報告や組織運営、施設インフラなど厳格な基準が設定され、2004年に欧州サッカー連盟(UEFA)への導入後、多くのスポーツ組織やリーグが採用しているといいます。
これら2つのトレンドが抱える課題の根底には、データに基づかない不透明な意思決定プロセスが存在すると同社は考えています。
「弊社は『DePosta』を通じてグローバルな選手情報やデータの分析結果を提供することで、データに基づいた意思決定や戦略立案をサポートし、プロスポーツの持続可能な発展に寄与することを目指します」(同社)
評価データを元に周辺領域で新規事業構築へ
同社は初期の段階では「スポーツクラブ経営のDX」という業界特化型ビジネスで市場シェアの獲得に注力したい考えです。中長期的には、SaaSを通じて取得した評価データを元に周辺領域における新規事業を通して、巨大なスポーツマーケットに挑むとしています。
(出典:イークラウド)
現在、中期で取り組む事業の一つとして、スポーツ特化ファンドを通じた「エンティティ・ベッティング事業」を構想しています。
【SaaS事業によるデータを活用した「エンティティ・ベッティング事業」】
「エンティティ・ベッティング」は、運営会社がファンドを組成し、スポーツベッティングを通じて資金の運用とリターン獲得を狙うヘッジファンド事業の形態。同社の持つ選手の適正評価技術とチームの勝率予測は、ベッティングにおけるデータ分析技術(評価/予測)と相性がいいと考えています。
「今後、SaaS事業を通じて、より多くのクラブ経営に関するデータを蓄積していくことで、エンティティ・ベッティングの予想精度を上げていくことを目指します」(同社)
【スポーツクラブ投資・再建事業】
経営不振に陥った割安なクラブを発掘して資金を投入し、同社のSaaSを利用してバリューアップ、再建後の売却益やクラブ経営収益の配当を狙う事業も構想しています。
同社はクラブ再建後、別オーナーへの売却、または複数のクラブを同じ組織や企業が所有・運営するMCO(マルチクラブオーナーシップ)を通じた収益化を想定しています。
※MCO(マルチクラブオーナーシップ):1つの企業が複数のクラブを保有・運営することで、経営管理の効率化や、グローバル規模でのスポンサーシップ獲得、マーケティング事業などを行う形態(同社注)
【スポーツ隣接事業(フィンテック)】
最終的には、SaaS事業を通じて得られたデータを活用し、スポーツ保険に関する金融商品の開発や、与信データに基づいた資本コストの低い融資など、スポーツ隣接産業における事業開発への参入を検討する計画です。
今後の成長に向けて
同社は「チーム編成」という、クラブ経営において影響が大きく、重要な課題に関連する業務に対してMVPを展開しており、今後、経営管理・オペレーション・管理会計クラウドへのアップセル・クロスセルを通して売上継続率の最大化を図るといいます。
(出典:イークラウド)
SaaS事業のターゲットは、売上規模が数十億円あり、クラブライセンスを維持するために、財務状況の安定性の重要度が高いリーグに所属する国内外のプロスポーツクラブです。
販売経路としては、現在、株主や関係者からの紹介、実績を元にしたアウトバウンド営業を行っていますが、今後は同リーグでの導入実績や、導入済みチームからのリファラルが重要になるといいます。
エンティティ・ベッティング事業では、海外子会社設立とベッティングライセンスの取得が必要だといい、精度の高い勝敗予想アルゴリズムを構築していきたい考えです。
「これらを実現するため、中長期的にはプロダクトとデータ研究開発、営業人材の組織体制構築が必要と考えています」(同社)
(出典:イークラウド)
※上記の売上計画には、エンティティ・ベッティング事業、スポーツクラブ投資・再建事業の収益、スポーツ隣接事業の売上は含まない。
株主構成
・W ventures投資事業有限責任組合(W株式会社)
・ニッセイ・キャピタル12号投資事業有限責任組合(ニッセイ・キャピタル株式会社)
・株式会社oneroots
・ライムズスポーツコンサルティング株式会社
・その他個人株主
類似上場企業(業態やサービス・製品などで類似性の見られる企業)
・識学 <7049> [東証G]
・スポーツフィールド <7080> [東証G]
・イシン <143A> [東証G]
・情報戦略テクノロジー <155A> [東証G]
・Will Smart <175A> [東証G]
発行者・募集情報
商 号:SportMeme株式会社
所在地:〒182-0021 東京都調布市調布ヶ丘3-15-22
URL:https://sportmeme.co/
代表取締役:長野遼太
資本金:46,529,500円
発行可能株式総数:10,000,000株
発行済株式総数:13,489株
調達前評価額:512,582,000円
設立年月日:2020年1月17日
決算期:12月
■募集株式の数(上限)
普通株式 1,350株
■募集株式の払込金額
1株当たり 38,000円
■申込期間
2024年5月14日~5月31日
※上記申込期間のうち募集期間は5月14日~5月30日。早期終了の場合、予定した申込期間の最終日よりも早く、申込みの受付を終了することがある、
■払込期日
2024年6月14日
■目標募集額
1,653万円
■上限募集額
5,130万円
■投資金額のコース及び株数
11.4万円コース(3株)
22.8万円コース(6株)
34.2万円コース(9株)
45.6万円コース(12株)
特定投資家向けコース
102.6万円コース(27株)
216.6万円コース(57株)
■資金使途
・調達額1,653万円(目標募集額)の資金使途
プロダクト開発費 600万円
分析データ研究開発費 362万円
セールス・CS人件費 362万円
手数料 327万円
・調達額5,130万円(上限募集額)の資金使途
プロダクト開発費 1,850万円
分析データ研究開発費 1,135万円
セールス・CS人件費 1,135万円
手数料 1,009万円
■連絡先
SportMeme株式会社
090-2056-6867
※本株式投資型クラウドファンディングの詳細については、イークラウドの下記ページをご覧ください。
▼あのプロチームも導入!スポーツ×データ分析で巨大なスポーツ市場に挑む「SportMeme」
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