【市況】明日の株式相場に向けて=金市況高騰で次はプラチナの出番
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
NYダウは4月に入ってから前日までの11営業日で高かった日は1営業日のみ。1勝10敗で、この間に2000ドル以上も水準を切り下げている。中長期波動の分水嶺である75日移動平均線を踏み抜き、なお連続陰線で下値を試す展開は、振り返ってもここ半年くらいは経験がなかった弱さである。ダウは昨年9月下旬にも同じような調整局面があったが、この時は75日線を下回ってからリバウンド局面に移行するまでに1カ月強の日柄を要し、株価水準的にも75日線を起点に約7%程度の下落をみた。仮に今回に当てはめると、5月中旬までは売り圧力に抗(あらが)えず、3万6000ドルを下回る水準(3万5000ドル台後半)まで調整が入る算段だ。米国では6月利下げ実施の可能性が希薄化するなか、米10年債利回りが4.6%台まで上昇、ハイテクセクターを中心に風向きの悪さは否めない。ということで、今は全体観として東京市場でも手を出しにくい時間軸にある。
では米国以外の海外株市場の動向はどうかというと、6月にECBによる利下げ期待が楽しみとして残る欧州株市場は相対的に強さを発揮している。独DAXや仏CAC40などチャートがお辞儀した状態ながらも高値圏でのもみ合いだ。ただ、アジア株市場は意外にも日本株に輪をかけて調整色を強めているマーケットが多い。香港ハンセン指数、韓国KOSPIともに直近にきて75日線を下に抜けた。ベトナム、シンガポール、インドネシアなども同移動平均線を下回り、インドSENSEXはギリギリで同移動平均線の上をキープしてはいるものの、上方カイ離をほぼ解消した状態にある。
こうなると、日経平均やTOPIXも75日線を割り込ませようとする仕掛け的な売り圧力が発生しやすい。特に半導体関連などハイテク株の構成比率が高い日経平均は、売り方にすれば揺さぶり余地が大きい指数である。東京市場では為替の円安進行が株価の下支え材料として機能しづらくなっている点も弱みで、逆張りを狙うにも足もとではまだ中途半端なタイミングといえる。リバウンド局面に入れば半導体セクターの戻りが大きくなるのは自明で、主力どころの銘柄は一斉高で切り返す展開が読めるが、とはいえ無計画に押し目買いを入れて僥倖を期待するのは得策とは言えない。米国株の乱調が収拾するまでは一段の下げに備えて小出しに買い下がるくらいの参戦が妥当である。
目先の物色対象としては、強い銘柄が輩出されているセクター周辺に着目。例えばきょうストップ高を演じたさくらケーシーエス<4761>とAGS<3648>はデータセンター 関連の穴株で、さくらインターネット<3778>の余熱で火がついた格好だが、この火は横に広がる可能性がある。データセンターのサービス料金改定効果などが発現し、業績が急拡大している鈴与シンワート<9360>は意外性を内包しておりチェックしておきたい。
また、金や銀など貴金属の市況高騰が顕著だが、ここ10年来のチャートを見比べて出遅れが際立つのがプラチナ価格という。「今後は世界的なインフレ環境が意識されるなか、プラチナはゴールドに急速にキャッチアップする可能性がある」(ネット証券アナリスト)という指摘がある。東京市場でプラチナに連動する関連株を探すのは難儀だが、ここは直球勝負で、純プラチナ上場信託(現物国内保管型)<1541>やWisdomTree 白金上場投資信託<1674>などに投資するのが、中期スタンスで妙味が大きそうだ。
あすのスケジュールでは、朝方取引開始前に3月の貿易統計が発表され、午後取引時間中には実質輸出入の動向が開示されるほか、森田日証協会長の会見が予定されている。また、午後取引終了後には3月の訪日外国人客数が発表される。海外では3月の英消費者物価指数(CPI)、3月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値のほか、米地区連銀経済報告(ベージュブック)、2月の対米証券投資などにマーケットの関心が高い。なお、インド市場は休場となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS