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【市況】明日の株式相場に向けて=史上最高値更新で新NISA第2幕が開く

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 きょう(29日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比41円安の3万9166円と続落。下げてなお強さを際立たせたというのがきょうの相場で、日経平均は終盤上昇に転じる場面もあった。

 きょうは朝方取引開始前から下値を探る展開となるのは仕方がないという雰囲気が漂っていた。前日の米国株市場ではNYダウナスダック総合株価指数ともに終日軟調であったから、東京市場でも強気になる理由には乏しい。また、日経平均は前日に4日ぶりに反落したとはいえ、下げ幅はわずか30円あまりで押し目ともいえないような微調整にとどまり、依然として荷もたれ感は拭えない。今日は2月末ということで機関投資家のアセットアロケーションに絡むポジション調整の売り圧力も想定されるところで、株式需給面からも上値は必然的に重くなる。

 スケジュール的には日本時間今晩(22時30分)に予定される1月の米PCEデフレーターの発表を控え、この結果にマーケットの関心が高く見切り発車は難しいタイミングにある。事前コンセンサスは前年比で2.4%上昇、コアデフレーターで同2.8%の上昇だが、ここから上振れるという見方が市場筋の間では優勢である。仮に上振れることを相場が織り込んでいるとしても、その程度が分からない。米国株市場がどう動くかによって、あすの東京市場の景色も変わってくる。いずれにしても足もとでは不透明感が強く、とりあえず買いポジションは軽くしておきたいというのが人情である。

 加えて、きょうは取引時間中に急速に円高が進行した。午前中に日銀の高田審議委員が滋賀県で行われた金融経済懇談会で超緩和策からの出口戦略に言及、これにアルゴリズムが反応してドル売り円買いトレードに火が付いた。午前10時を過ぎたあたりから外国為替市場では円高基調が鮮明となり、あっという間に1ドル=150円台を割り込み、149円70銭前後まで円高に傾いた。

 これだけ見送り要因が揃えば、日経平均も深押しがあって当然という環境にあったが、まるで今の東京市場は目に見えない浮揚力が働いているかのように底堅い。日経平均は3万9000円台を軽く割り込んだところで、しっかりと下げ止まった。後場寄りにいったん下げ幅を広げたものの、間髪を入れず大口の買い注文が這わされ、トランポリンで跳ねるように戻り足に転じた。外国為替市場で前日から1円近い円高に振れた状態で、なおこの強さである。TOPIXは後場中盤を境に上昇に転じ、こちらは終値でもプラス圏を維持した。

 海外投資家の現物買いが続いていることを想起させるが、「これは個人投資家のニューマネーが受け皿となるとの思惑から、安心して買いを入れているフシがある」(ネット証券アナリスト)という声もある。新NISA導入に伴う口座開設が今年に入って急増したことは既に知られるところだが、それも1月中に一巡したと思われていた。ところが、日経平均が史上最高値を更新した2月22日を境に、正確には2月23日の天皇誕生日の祝日から新NISAに絡む口座開設の申し込みが再び殺到しているという。日経平均がバブル期の高値をクリアし過去最高水準となったことがメディアなどで大々的に報じられ、これが「にわか投資家」を激増させる背景となっているようだ。「現在、当社では口座開設まで1か月待ちという状況にある」(前出のネット証券アナリスト)としており、新NISAバブルと言ってしまえば語弊があるが、まさに人気のラーメン屋に長蛇の列を作るがごときである。口座開設まで1カ月かかるとすれば、新たな買い需要が発生するまでのタイムラグを計算に入れて、NISA仕様の銘柄を先取りで仕込むのは機関投資家の発想といえる。

 あすのスケジュールでは、1月の失業率、1月の有効求人倍率が朝方取引開始前に開示されるほか、午前取引時間中に2月の車名別新車販売、2月の軽自動車販売が発表される。また、3カ月物国庫短期証券の入札も予定されている。午後取引時間中には1月の消費動向調査が発表される。海外では、2月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)、2月の中国非製造業PMI、2月の財新中国製造業PMIのほか、1月のユーロ圏失業率、2月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値などが注目される。また、米国では2月のサプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数、2月の消費者態度指数(ミシガン大学調査・確報値)などが開示される。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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