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【市況】米株の最高値更新とトランプ氏の勝利はまだ関係ない

 米株式市場が最高値を更新しているが、アイオワ州とニューハンプシャー州の共和党予備選でトランプ氏が勝利したことが、その要因の1つではないかと指摘する向きがいる。しかし、ストラテジストらはそうではないと答えているようだ。このような背景の中で選挙の話題も出ている。前日にニューハンプシャー州で共和党の予備選挙が行われ、トランプ氏が勝利したことで、トランプ氏が共和党の候補になるのかについての議論はほとんど終わったはずだ。アイオワでの勝利を受けて、大統領候補のラマスワミ氏とデサンティス氏が脱落し、共和党の候補は少なくなった。

 ストラテジストはトランプ氏の勝利が市場を押し上げる可能性について、「顧客からこの話題に関する質問が数多く寄せられる」と語ったうえで、米国内の売上高の79%を占める小型株は、トランプ氏が提案している全ての輸入品に対する10%関税の恩恵を相対的に受ける可能性があると指摘。

 また、銀行株も上昇するはずだという。トランプ氏が任命したボーマンFRB理事は、昨年の銀行破綻を受けてバーFRB副議長が提案している銀行の自己資本規制強化に反対している。これは銀行融資にとっては朗報になる可能性があるという。しかし、銀行株はさほど上昇していない。市場がヘイリー氏の勝利の可能性を否定しているのであれば、銀行株はもっと堅調に推移しているはずだという。

 トランプ氏をコロラド州の共和党予備選投票から除外させる訴訟の口頭弁論が2月8日に予定されており、不確定要素も多く、市場が今年の大統領選で取引するにはまだ時期が早過ぎるという。市場はまず、これらの不確定要素が取り除かれるのを見る必要がある。

 その意味では9月のレイバー・デー辺りが投資家が選挙結果を検討し始める重要なポイントになると見ているという。熱狂的な政党支持者以外は、夏から秋にかけては、経済がどのように感じられ、どのように動くかに重点を置くであろう。なお、2020年、バイデン大統領勝利前の3カ月でS&P500は2.26%上昇した。トランプ前大統領の就任前の同期間は1.9%下落していた。

 現在の株式市場を牽引している要因は好調な経済とIT・ハイテク株への揺るぎない支持が相まっていることだという。FRBの利下げを巡る不透明感にもかかわらず、小売売上高と米新規失業保険申請件数のデータから、米経済が順調に推移していることが証明され、市場の高揚感が高まっている。一方、エヌビディア<NVDA>やAMD<AMD>のようなIT・ハイテク企業が人工知能(AI)の期待に支えられ、今年はすでに2桁上昇している。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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