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【市況】来週・再来週の相場で注目すべき3つのポイント:植田日銀総裁講演、FOMC議事要旨、米雇用統計

NYダウ <日足> 「株探」多機能チャートより

■株式相場見通し

予想レンジ:上限33900円-下限33000円


来週から再来週にかけては、年末年始の休暇等が影響して、取引参加者が減少することから、大型株や先物市場の売買は減少するとみられる。今週末の米国市場は、NYダウが反落した一方、ナスダック総合指数、S&P500が続伸とまちまちとなったが、大証ナイトセッションは、通常取引終値比220円高の33280円で取引を終えた。来週初の東京市場は続伸スタートとなりそうだが、日経平均は寄付きに上昇した後は、積極的な売買は手控えられるとの見方から、取引時間中は上下の値幅が狭いこう着相場となろう。一方、個人投資家が売買の主体とみられていることから、グロース市場は東証グロースCore20など時価総額が大きい主力銘柄や材料のある銘柄、直近IPO銘柄などが物色されると考える。22日までの出来高や物色状況を見る限り、中小型株物色が強まっているようには見えないが、来週以降の新興市場の相場活況に期待したい。


これまで、日経平均など日本株を押し上げていた東京エレクトロン<8035>やアドバンテスト<6857>など半導体関連が足元上げ一服となっている一方、海運やパルプ・紙、鉱業、鉄鋼などの上昇が目立っている。日経平均へのインパクトは小さいものの、いわゆる景気敏感といわれるセクターが上昇していることから、米国景気のソフトランディングを期待するムードが日本株市場にも伝わっているようだ。限られた業種だけではなく幅広い業種が上昇する地合いとなっていることは、相場の底堅さにつながることでポジティブと言えよう。日銀会合後、日銀が「金融政策の正常化」を来年1月から4月に開催される会合で判断する可能性が高まっていることから、銀行株や保険株など時価総額が大きい銘柄も物色される展開も期待できよう。日米ともに少々楽観ムードが強まっている感はあるが、2024年は大相場となる可能性があることは意識したい。


2023年最後の中央銀行イベントを通過し、機関投資家の多くはクリスマス・年末年始休暇に入っていることから、例年通りであれば主体は個人投資家となる。年末年始は中小型株を中心とした物色に期待したい。今年は12月27日が、12月期企業などの配当・優待に絡んだ権利取り最終となるため、関連銘柄への物色が強まるだろう。また、2024年からは、新しいNISA(小額投資非課税制度)制度がスタートすることもあり、現行NISA制度で残っている投資枠を使い切るために、配当利回りが高い大型株や優待銘柄、大化け期待での時価総額が小さい中小型株などNISAで買われやすい銘柄に駆け込み需要が発生すると想定する。このほか、上記でも述べた通り、大型株ではあるが銀行株や保険株など金利メリット銘柄への関心も高めておきたい。年末にかけての上昇を意味する「掉尾の一振」が見られるか注目だ。


■為替市場見通し


来週・再来週のドル・円は下げ渋りか。米連邦準備制度理事会(FRB)による早期利下げ観測が広がっているが、日本銀行による緩和修正期待は大幅に後退し、リスク選好的な円売りがただちに縮小する可能性は低いとみられる。FRBは今月開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で、想定通り政策金利の据え置きを決定。また、金融当局者による金利見通しによると、市場は早ければ来年3月の利下げを想定している。FRB内では今後の政策方針についての見解は一致していないため、一部メンバーから早期利下げに否定的な見解が提示された場合、ドルを買い戻す動きが広がりやすい。


一方、日本銀行は直近の金融政策決定会合で、現行の大規模緩和政策を堅持。「年末から来年にかけて一段とチャレンジング」との植田日銀総裁の国会答弁を受けたマイナス金利の早期解除観測は大幅に後退した。この結果を受けて米ドル以外の主要通貨に対する円売りが観測されており、この動きがドルをサポートするとみられる。ただ、ドルの上値の重さは消えていないため、ドル・円相場で明確な方向感は出にくい。


■来週・再来週の注目スケジュール

12月25日(月):植田日銀総裁が経団連審議員会で講演、全国百貨店売上高(11月)、米・欧・英・香港・株式市場は祝日のため休場(クリスマス)、など

12月26日(火):有効求人倍率(11月)、失業率(11月)、企業向けサービス価格指数(11月)、米・FHFA住宅価格指数(10月)、英・欧・香港・株式市場は休場、など

12月27日(水):日銀金融政策決定会合における主な意見(12月18、19日分)、住宅着工件数(11月)、など

12月28日(木):小売売上高(11月)、米・新規失業保険申請件数(先週)、米・中古住宅販売成約指数(11月)、など

12月29日(金):大納会、米・MNIシカゴ購買部協会景気指数(12月)、中・経常収支確定値(7-9月)など

1月1日(月):元日で国内市場は休場(~3日)、米・欧・英・中・香港・株式市場は休場、など

1月2日(火):中・財新製造業PMI(12月)、欧・ユーロ圏製造業PMI(12月)、米・製造業PMI(12月)、など

1月3日(水):米・ISM製造業景況指数(12月)、米・JOLT求人件数(11月)、米・連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(12月12-13日会合分)、米・リッチモンド連銀総裁が講演、など

1月4日(木):大発会、中・財新サービス業PMI(12月)、欧・ユーロ圏サービス業PMI(12月)、独・消費者物価指数(12月)、米・ADP全米雇用報告(12月)、など

1月5日(金):欧・ユーロ圏消費者物価コア指数(12月)、印・年間GDP予想(2024年)、米・雇用統計(12月)、米・ISM非製造業景況指数(12月)、など

《CN》

 提供:フィスコ

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