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【市況】米決算シーズン折り返し 決算のリセッションは概ね終了との声も反応は冴えない そんな中でも!

 第3四半期の決算発表シーズンも折り返し時点に差し掛かっているが、結果を見ると好調な内容が相次ぎ、これまでの減益傾向に歯止めがかかっている。このままの流れで行けば、S&P500企業の利益は前年比で2.7%の増益となる見込みで、4四半期ぶりの増益を記録する可能性が高い。市場からは、決算はある種のリセッション(2四半期以上の連続の減益)を概ね終了との声も出ている。

 しかし、米株式市場の反応は冴えない。S&P500企業で予想外の好決算を発表した企業の株価は、決算発表の2日前から同2日後までの間に平均1%下落。過去5年間の状況を見ると、こうした企業の株価は同じ期間内に平均で0.9%上昇していたという。

 特にIT・ハイテク大手の一部は好業績にもかかわらず株価は不振。特にアルファベット<GOOG>は過去1年以上で最高の業績を記録したにもかかわらず、先週の時価総額は約1800億ドル(約27兆円)近く減少。メタ<META>も同様で、2012年のIPO以降で最高の四半期ベースの売上高を記録したが、時価総額は決算発表後1日で300億ドル(約4.5兆円)以上減少した。成長分野の業績が物足りなかったことや、先行きに慎重な見方を示した点が嫌気されたようだ。

 IT・ハイテク株は8月に不調の兆しを見せ始めた。想定以上に強い米経済指標と米政府の財政赤字拡大により米国債利回りが上昇。その局面ではIT・ハイテクのような成長株には重しとなる。そのような中で、今回の決算は弱気な材料に市場が敏感になっている表れなのかもしれない。

 その影響もあり、先週のナスダックは2.6%下落したほか、S&P500指数も2.5%の下落。いずれの指数も7月高値から10%超下落し、調整局面を迎えている。

 ただ、IT・ハイテク大手に関するニュースは悪いものばかりではない。マイクロソフトやアマゾンはポジティブな反応を見せていた。しかし、マイクロソフトについては割高感も指摘されており、今後12カ月の利益に基づく予想PER(株価収益率)は28倍と過去10年平均の約23倍を上回っている。また、アップルの予想PERも約25倍となっており、過去平均の約19倍を上回って推移。これに対し、S&P500指数の予想PERは17倍となっている状況。

 今週はアップル<AAPL>の決算が2日木曜日に予定され、7.8%の増益が予想されている。また、エヌビディア<NVDA>が11月21日に8-10月期決算を発表予定。一部の投資家からは、さらにボラティリティが高まるのではと警戒感も高まる中で、好決算は期待されるものの素直な反応を示すか注目される。

 一方、そんな中でも一部の投資家は、株価が十分に下落し、投資妙味が出ていると思われる銘柄を拾っており、オラクル<ORCL>とアドビ<ADBE>の持ち高を増やしたという。「昨年も全く同じことが起き、IT・ハイテク株は終わったとも言われていた。昨年のこの時期に株を売っていたら、素晴らしい投資成果を逃すことになった」としている。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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