【市況】国内株式市場見通し:日経平均9月戻り高値にらむも神経質な展開か
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
■日経平均4週ぶり反発で32000円台回復
今週の日経平均は週間で1321.32円高(+4.3%)の32315.99円と4週ぶりに反発し3週ぶりに終値で32000円台を回復した。3連休明けの東京市場は中東の地政学リスクの影響が限定的にとどまり、雇用統計の発表を通過した米国市場上昇の流れを受けて買いが先行し、日経平均は先週末比751.86円高と今年最大の上げ幅をマークした。12日に掛けては半導体関連株の上昇と米長期金利の低下を追い風に全般買いが先行し、日経平均は終値で9月27日以来となる32000円の大台を回復した。その後、注目の9月の米消費者物価指数(CPI)が予想を上回る伸びとなったことで5日ぶりの反落となったNYダウとナスダック総合指数の流れを受けて、13日の日経平均は4日ぶりの反落に転じた。
■17日の米9月小売売上高が今週の焦点
来週の日経平均は9月15日の戻り高値33634.31円奪回を意識した戻りを試す展開となることが期待される。日経平均は9月15日の高値33634.31円から10月4日の安値30487.67円までの下げ幅(3146.64円)の半値戻しを達成したことから、投資家に強気姿勢が広がりつつある。
米国のインフレ長期化懸念とFRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策への思惑に左右される相場展開が継続することになるだろう。まず17日発表が予定される米9月小売売上高が今週の焦点となる。8月の前月0.6%に対して9月の事前予想は0.2%と伸びは鈍化が見込まれている。予想より強めの数値が表れる可能性が市場の一部から出ているが、8月の伸びを下回る範囲ならば、大きな下振れリスクは回避され、日経平均の戻りに寄与することが期待される。
ただし、イスラエルに対するイスラム武装組織「ハマス」による大規模攻撃で生じた中東の地政学リスクが引き続き不安定材料として横たわっている。地上戦への移行で戦線の拡大が懸念されて、13日のNYダウは企業業績が下支えして小幅反発したものの、ナスダック総合指数は1.2%を超える大幅安となり、S&P500も0.5%安で引けた。来週の東京市場は波乱のスタートとなりそうで、週を通じては、原油市場や為替動向をにらんで神経質な展開を強いられることにもなりそうだ。
一方、米連邦準備制度理事会(FRB)高官によるハト派的な発言も散見されるようになってきた。中東の地政学リスクが米国の金融政策に影響して、利上げに対するブレーキとしてはたらくことも意識されており、相場は強弱感が対立することにもなるだろう。
このほか、18日は中国の9月小売売上高と中国7-9月期GDPの発表があり、中国の景気動向や金利政策、経済対策にも関心が向きやすくなる。経済対策は日本国内でも意識される材料だ。20日に召集される臨時国会では経済対策を巡る論戦が展開されることになる。物価高対策とともに課題となっている企業の賃上げ税制支援は企業業績を左右することにもつながり、翌週以降にかけての注目点ともなりそうだ。
■米決算本格化で業績相場に移行の前哨戦
物色面をみると来週は大きな転換点を迎えるタイミングに入る。日本では23日のニデック<6594>から決算発表が本格化するが、これを前に米国では金融株を中心に決算発表が活発化する。17日にはゴールドマン・サックス、ジョンソン・エンド・ジョンソン、18日にはテスラ、ネットフリックス、プロクター・アンド・ギャンブル、トラベラーズ、20日はアメリカン・エキスプレスがそれぞれ発表を予定している。なかでもゴールドマン・サックスは金融株、テスラは新興市場銘柄や自動車株など東京市場の物色動向にも影響を与える可能性があり、決算を受けた株価動向が注目されてくることになりそうだ。
また、19日にディスコ<6146>、半導体受託製造世界最大手のTSMC(台湾積体電路製造)と半導体設備投資関連に影響が大きい銘柄の決算が関心を集めることにもなりそうだ。熊本での新工場建設が進むTSMCの場合、半導体製造装置の納入延期を取引先に要請したとの報道が9月中旬にあったことから、決算数値にとどまらず、そのアナウンスも注目度が高まる可能性がある。業績相場に移行する前哨戦が展開される中、その主役探しが始まることになる。
一方、物色への影響が未知数なのが、東証の特例措置により20日に実施される東証上場177社(東証2日発表データ)のプライムからスタンダードへの市場変更だ。各企業のファンダメンタルに影響を与えるわけではないが、最上位のプライム市場からスタンダード市場への移行は、格落ちと捉えられる可能性があり、これら銘柄への投資家の見方は変化が生じる可能性もある。
■米中9月小売売上高、臨時国会召集、など
来週は17日に8月の第三次産業活動指数、18日に9月訪日外客数、19日に貿易統計、20日に9月消費者物価指数(CPI)、臨時国会召集、東証上場177社がプライムからスタンダードに移行がそれぞれ予定されている。一方、海外では16日に米10月NY連銀製造業景気指数、17日に米9月小売売上高・鉱工業生産・設備稼働率、18日に米9月住宅着工件数、中国9月小売売上高、中国7-9月期国内総生産(GDP)が予定されている。
《FA》
提供:フィスコ