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【市況】UAWのストライキがインフレを再燃させる可能性

 全米自動車労組(UAW)のストライキが続いており、依然として突破口が見い出せない状況が続いている。このような中でアナリストからは、ストライキが長引けば、インフレとの闘いにリスクをもたらす可能性があるとの指摘が出ている。

 今回のストライキは、フォード<F>、GM<GM>、ステラントスのビッグスリーの工場を標的にしているが、すでに低水準にあった自動車在庫をさらに縮小させるリスクがあるという。これは、インフレ圧力の持続に大きな役割を果たしてきた自動車価格に上昇圧力をかける可能性があるとしている。

 コアインフレに対する上昇リスクは、在庫が急速に縮小した場合、主に中古車価格において顕在化すると考えられるという。米消費者物価指数(CPI)のコア指数に大きな影響度を占める中古車価格は、新車在庫の影響を受けやすい。ただ、10月までは自動車価格に影響を与えないだろうとも指摘。

 新車・中古車価格はパンデミック時に高インフレの兆候を示した最初の消費財の1つであった。これらの価格水準は最高値からは後退しているものの、それでも新車価格は8月に前年比2.9%上昇していた。この上昇は、8月に19.1%急上昇した自動車保険料への転嫁効果を通じて、消費者の財布をさらに締め付けている。

 アナリストの現在の基本シナリオは、さらなる工場を対象としたストライキが長期化し、その終了時期は製造拠点によって異なり、10月上旬から11月中旬まで続くという。この場合、コアインフレは12月に前年比3.9%まで上昇させる可能性があり、来年第1四半期の初頭には緩やかになり、来年末までには反転すると予想している。

 FOMCはストライキによる生産中断のコアインフレの短期的な押し上げは目を瞑るだろう。しかし、UAWが賃上げだけでなく、その他の諸手当も含めたより寛大な契約を交渉することに成功した場合、これは根強いコスト圧力の最新の兆候と見なされる可能性があり、賃金およびスーパーコアの鈍化ペースが緩む可能性が高いという。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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