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【特集】澁澤倉庫 Research Memo(11):2024年3月期は減益計画も、中期経営計画の目標超過を予想

渋沢倉 <日足> 「株探」多機能チャートより

■業績動向

2. 2024年3月期の業績見通し
2024年3月期の業績見通しについて澁澤倉庫<9304>は、営業収益79,000百万円(前期比0.6%増)、営業利益4,700百万円(同4.0%減)、経常利益5,300百万円(同9.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益3,600百万円(同4.2%減)を見込んでいる。増収減益予想となっているが、「澁澤倉庫グループ中期経営計画 2023」の目標値を十分に超える水準となっている。

日本経済は、ウクライナ情勢の長期化、原材料価格の高騰や物価上昇、各国の金融引締めによる世界的な景気の下振れリスク、米国による対中半導体輸出規制などが懸念され、景気の見通しは先行き不透明な状況が続くものと予測されている。物流業界においては、国内貨物、輸出入貨物ともに荷動きは緩やかに回復していくことが期待されるものの、物価上昇による個人消費の減速、競争の激化や人手不足などに伴う物流コストの増加により、厳しい環境が続くことが予想されている。また不動産業界においても、空室率のさらなる上昇や賃料水準の下落が懸念されている。

こうした環境下、海上輸送への回帰に伴う航空輸送の減少や海上・航空運賃単価の正常化による減収が見込まれる一方、新拠点や横浜市のR&D施設、連結対象となった子会社の通期寄与により、物流事業全体でわずかながら増収を見込んでいる。不動産事業については、オフィスビルを中心に安定した稼働を予想している。一方営業利益は、先進的な機器を活用した業務効率化は期待できるものの、作業費や既存設備の改修費用などの増加が見込まれるため減益予想となった。また、経常利益はベトナムにおける内航船運賃単価の正常化で持分法による投資利益の減少が見込まれる。親会社株主に帰属する当期純利益は特別損失の解消と経常減益の差し引きで引き続き減益予想となった。

2024年3月期の事業セグメント別業績予想に関して、物流事業は微増収となっている。国際輸送業務は上海ロックダウンの反動増が期待できるが、海上輸送のコンテナ不足解消に伴う航空輸送の減少や海上・航空運賃単価正常化により減収を見込む。その他の物流事業では、倉庫業務や陸上運送業務で横浜市などの拠点の通期稼働や先進的な機器を活用した業務効率化、横浜市のR&D施設のフル稼働や第2四半期より連結した子会社の通期寄与により増収を見込んでいる。営業利益は、作業費の増加が予想されるため、微減益予想となっている。不動産事業については、オフィスビルを中心に稼働は安定的に推移するものの、既存設備の改修など費用の増加が見込まれるため、微増収減益を予想している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《SI》

 提供:フィスコ

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