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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「強い相場でも調整を挟む」

株式評論家 富田隆弥

◆3月3日に保ち合いを上放れた日経平均株価は、9日時点で5日続伸。高値を2万8734円まで伸ばし、まさに相場格言の通り「保ち合い放れにつけ」となった。チャートは2月高値の2万7821円を抜いて二段上げを演じ、11月高値の2万8502円も突破して一気に昨年8月高値の2万9222円を目指す構えを見せている。

◆米国では7日にNYダウが574ドル安、ナスダックが145ポイント安と大きく下落したが、日経平均株価は翌8日も上昇を続けた。この日本株の強さの背景には、137円91銭まで進んだ円安(ドル高)や、東証がPBR 1倍割れ企業に促したROEの向上など改善策への期待、そして10日のメジャーSQ(先物・オプション特別清算指数算出)に絡んだ先物の買い戻し(ショートカバー)もあったのだろう。

◆テクニカル面では9日時点で空売り比率が38.9%まで低下したほか、騰落レシオ132%、新高値銘柄数328、日経平均株価のRCI 9日線(順位相関指数)98%、平均線総合かい離+12.9%など過熱を示すシグナルが数多く灯っている。日経平均株価は節目の2万9000円台に近づいた。ならば、そろそろスピード調整を挟むことを想定しておく。

◆米国では2年物国債利回りが約15年ぶりに5%台に乗せ、10年債利回りを上回る逆イールドの幅は41年半ぶりに1%超に開いた。そして、NYダウの日足チャートは3万3500ドル台でデッドクロスした25日・75日移動平均線を抜けずに反落するなど、気になる動きをみせている。

◆不穏な気配が漂う米国市場を無視して、日本株は独歩高を続けることができるのだろうか。日本では10日にメジャーSQと日銀金融政策決定会合があり、そして3月は年度末でもある。米国では雇用統計(10日)や消費者物価指数(14日)、連邦公開市場委員会(FOMC: 21~22日)など重要スケジュールが続く。低PBR株や高配当株への積極投資は日本株の本格上昇を予感させるものだが、とはいえ相場であれば折に触れて調整を挟むもの。ここからは出遅れ主力株の調整を待って動きたい。

(3月9日 記、次回更新は3月16日を予定)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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