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【市況】後場に注目すべき3つのポイント~テクニカル強気転換も裏付けに自信持てず

日経平均 <1分足> 「株探」多機能チャートより

3日の後場の取引では以下の3つのポイントに注目したい。

・日経平均は大幅反発、テクニカル強気転換も裏付けに自信持てず
・ドル・円は下げ渋り、米金利先高観で
・値上がり寄与トップはファーストリテ<9983>、同2位は第一三共<4568>

■日経平均は大幅反発、テクニカル強気転換も裏付けに自信持てず

日経平均は大幅反発。399.50円高の27898.37円(出来高概算5億8544万株)で前場の取引を終えている。

2日の米株式市場でダウ平均は341.73ドル高(+1.04%)と続伸。一部小売りの好決算を好感した買いが全体をけん引し、ダウ平均は終日堅調に推移。一方、10-12月期単位労働コスト改定値が予想を上回ったことなどがハイテクの重しとなった。ただ、終盤にかけ、連銀総裁が段階的な利上げや夏の利上げ停止の可能性を示唆したため、ナスダック総合指数も+0.73%と3日ぶり反発。 引け味良く終わった米株式市場を引き継いで日経平均は184.39円高からスタート。為替の円安基調も追い風にハイテク・グロース(成長)株や景気敏感株、ディフェンシブ系に幅広く買いが入る中、日経平均が27500円を明確に上放れたことが短期筋の買い戻しを誘ったか、ほぼ一本調子で上げ幅を広げる展開となり、前引け直前には27910.36円(411.49円高)まで上昇した。

個別では、レーザーテック<6920>、ソシオネクスト<6526>の半導体関連のほか、ファナック<6954>、安川電機<6506>の機械、村田製<6981>、TDK<6762>の電子部品、メルカリ<4385>、ギフティ<4449>のグロース株が全般高い。三菱UFJ<8306>、三井住友<8316>の銀行、三井物産<8031>、丸紅<8002>の商社、JFE<5411>、神戸製鋼所<5406>の鉄鋼など高配当利回り銘柄も強い。武田薬<4502>、第一三共<4568>の医薬品、NTT<9432>、KDDI<9433>の通信、味の素<2802>、東洋水産<2875>の食料品などディフェンシブ系も上昇しておりほぼ全面高。既存店売上動向が好感されたファーストリテ<9983>、エービーシー・マート<2670>が大幅高で、サックスバーHD<9990>は急伸。有名個人投資家の大量保有が判明したサイボウズ<4776>は思惑から急騰。外資証券によるレーティング格上げが観測されたオークマ<6103>も高い。

セクターでは精密機器、卸売、化学を筆頭に全面高となった。東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の84%、対して値下がり銘柄は13%となっている。

本日の日経平均は久々に大幅に上昇、根強い戻り待ちの売りから長らく明確に超えることができていなかった27500円水準を大きく上放れ、2月6日高値27821.22円を超えてきている。27500円を挟んだ長いもみ合いを経た後の上放れとあって強気トレンドへの転換が期待される展開だ。2月東京都区部消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)が前年同月比+3.3%と1月(+4.3%)から大幅に鈍化したが、銀行株なども上昇するなど本日の東京市場ではセクターを問わずほぼ全面高となっている。銀行株については、生鮮食品を除く食料とエネルギーを除いたコアコアCPIは+3.2%と1月(+3.0%)から加速していることもあり、金融緩和の修正路線に変更なしと捉えられているようだ。

前日の米株式市場も引け味良く、重要な形で取引を終えた。週次失業保険申請件数が予想外に減少したほか、10-12月期単位労働コスト改定値が予想を上回ったことで長期金利が上昇する中、寄り付き後は売りが先行した。しかし、その後の米連銀総裁の発言を受けて投資家心理が改善すると、大きく切り返して主要株価指数は揃ってプラスで終えた。一昨日に200日移動平均線を割り込んで下落トレンド入りが懸念されたナスダック総合指数は25日線を下値支持線とした反発により終値で200日線上に復帰。ナスダックに続いて200日線割れが警戒されていたS&P500種株価指数も200日線がしっかりとサポートとなる形で大きな陽線を描いた。日米ともにテクニカル的には強気派を支援する展開だ。

背景としては、米アトランタ連銀のボスティック総裁と米ボストン連銀のコリンズ総裁の発言が挙げられる。ボスティック総裁は利上げ幅については今後のデータ次第と柔軟性を持たせたが、基本的には0.25ptの利上げを支持し、利上げ幅の再加速には現状は積極的でない様子。また、マーケットが好感したのは今夏にも利上げ停止の可能性があることを示唆したことだ。コリンズ総裁も同様の見解を示したこともあり、米金利が全面的に上昇する中でも株式市場は終盤にかけて持ち直した。

一方、ボスティック総裁についてはこれより前の日の1日には、政策金利を5.00-5.25%に引き上げた後は、2024年もしばらくその水準で維持する必要性について言及し、米10年債利回りの4%乗せの材料を与えた人物だ。政策金利の上限を5.25%にした後は据え置くべきと発言している時点で、単純に現状の政策金利水準から逆算すれば、昨日の発言の通り夏頃にはいったん利上げが打ち止めになることは自明のこと。一昨日はそれよりも来年も高水準の金利が続くことをネガティブに捉えていたはず。それが昨日はすでに自明のことをポジティブに捉え直すという何ともちぐはぐな様相を呈している。

前日の米株式市場の引け味が良かったとはいえ、為替の円安水準にも大きな変化がない中、今日の東京市場の上昇率がやけに大きいのも少し気掛かり。前引け時点での東証プライム市場の売買高は5億株台にとどまっており、値幅程には商いが膨らんでいない点も気になる。やや需給主導的な面が否めず、今後の展開には少し注意したい。

今晩は米供給管理協会(ISM)の2月非製造業(サービス業)景況指数が発表される。前回1月分は55.2と大幅に改善し、景況感の拡大を示す50を一気に回復した。今回は54.6と引き続き高い水準が予想されている。先週は米2月サービス業購買担当者景気指数(PMI)が予想以上に大きく改善しことをきっかけに米長期金利の大幅上昇につながった。このため、今晩の米ISMサービス業景況指数の結果を受けた金利動向に注意したい。金利の動き次第では相場が再びネガティブな反応に転換する可能性は残されており、予断を許さないだろう。足元でトレンド転換が期待される株式市場だが、日経平均の28000円超えはハードルが高いとみておきたい。

■ドル・円は下げ渋り、米金利先高観で

3日午前の東京市場でドル・円は136円後半から半ばに下げた後は小幅に値を戻した。米10年債利回りは伸び悩むものの、先高観からドルは売りづらいもよう。米連邦準備制度理事会(FRB)による引き締め長期観測で、ドル・円は引き続き下げづらい。

ここまでの取引レンジは、ドル・円は136円50銭から136円79銭、ユーロ・円は144円70銭から145円04銭、ユーロ・ドルは1.0596ドルから1.0615ドル。

■後場のチェック銘柄

・BTM<5247>、ピアズ<7066>など、4銘柄がストップ高

※一時ストップ高(気配値)を含みます

・値上がり寄与トップはファーストリテ<9983>、同2位は第一三共<4568>

■経済指標・要人発言

【経済指標】

・日・2月東京都区部消費者物価指数(生鮮食品除く) :前年比+3.3%(予想:+3.3%、1月:+4.3%)
・日・1月有効求人倍率:1.35倍(予想:1.36倍、12月:1.35倍)
・日・1月失業率:2.4%(予想:2.5%、12月:2.5%)
・中・2月財新サービス業PMI:55.0(予想:54.5、1月:52.9)

【要人発言】

・鈴木財務相
「日銀によるETF買入れが個人の資産形成に悪影響を与えているとは考えていない」
「日銀のETF出口戦略は日銀に委ねられるべき。適切な政策運営を期待」

・中国人民銀行総裁
「現相場と物価の安定を維持」
「元はより柔軟化し、経済の安定に寄与」

<国内>
特になし

<海外>
・16:00 独・1月貿易収支(予想:+110億ユーロ、12月:+100億ユーロ)

《CS》

 提供:フィスコ

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