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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「最大の材料は"需給"、慎重姿勢を継続」

株式評論家 富田隆弥

◆友人に聞いた話だが、米国の知人が持ち家を売りに出しているという。450平米の中古住宅でプール付き、リフォーム済みのきれいな家を1年前に120万ドルで売りに出していたが、それをいま何と34万ドルに値下げしているとのこと。ところが、それでも買い手が現れず、「買ってくれない?」と相談を持ちかけられたらしい。

◆FRB(米連邦準備制度理事会)の相次ぐ利上げを背景に、米国10年債利回りは9月28日に4%台をつけたが、米国住宅ローンの30年物固定金利も6.7%(9月29日時点、前週6.29%)と2007年以来の水準に上昇している。これでは住宅市場が冷え込むのも無理はないが、米国では住宅市場の動向が個人消費の趨勢に結びつくだけに、先行きの景気減速が懸念される。

NYダウは9月27日まで6日続落し、2万8958ドルまで売られて年初来安値を更新。週足チャートは6月安値の2万9653ドルを割り込み、年初からの波動は「二段下げ」に入った。そして、それは2020年3月から始まった「コロナバブル相場」の終焉を暗示するものだ。

日経平均株価は28日に2万5938円の安値をつけた。まだ6月安値の2万5520円や3月安値の2万4681円の上にあるが、その両安値を結んだ下値支持線(直近2万6350円付近)を割り込んだ。カギを握るNYダウが年初来安値を更新しているだけに、日経平均株価も先行き3月の年初来安値を試す展開となる可能性も否定できない。

◆日経平均株価、NYダウともにチャートが「陰転」し、買い方にとっては苦しい地合いになっている。それはドイツDAX指数、香港ハンセン指数も同様だ。時には反発を見せるだろうが、買い方に余裕が戻るのは少なくとも25日移動平均線を奪回してからだ。逆に下げ基調が続くなら、どこかで買い方の投げ(損切り)が加速してセリング・クライマックスを迎えかねない。

◆相場で最大の材料は「需給」である。金利や為替、景気や業績など材料はさまざまあるが、株価はチャートの流れに従うことになる。好転信号、もしくはセリング・クライマックスを見せるまでは「様子見」が無難であろう。

(9月29日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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