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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「強まる需給懸念、休むも相場」

株式評論家 富田隆弥

◆8月26日の経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」でパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長がインフレ抑制(タカ派)姿勢を改めて示したことに対し、株式市場ではNYダウが同日に1000ドル超も下げるなど大幅下落で反応した。その後もマーケットは下落基調にあるが、注意しなければならないのはNYダウの週足チャートが「調整入り」したことだ。

◆先週も触れたが、NYダウの8月16日高値の3万4281ドルは52週移動平均線や1月5日高値の3万6952ドルから引く上値抵抗線に差し掛かり、年初から6月安値までの下げ幅(7299ドル)に対する61.8%戻しと合致した水準となる。週足は「宵の明星」を描き、そして足もと3万1219ドル(9月1日時点)と下落し、26週移動平均線に続き、13週線を割り込んだ。こうなると、6月安値の2万9653ドルを意識するような下値模索の展開となることも否定できない。

◆NYダウが調整すれば、日本株も連れ安を強いられる。日経平均株価は8月17日高値の2万9222円から9月1日安値の2万7589円まで2週間で1600円以上下落して、2万7400円~2万7500円近辺に控える200日移動平均線と75日線に近づいた。ここまで来ればいつ反発してもおかしくないところだが、大きく戻せるかは疑問だ。

◆裁定買い残(プログラム売買に伴う現物株買い残)が8月19日時点で1兆4617億円と3年10カ月ぶりの水準に増加した。8月17日までの上昇が先物主導であったことを裏づける証左の一つだが、その後の相場下落でこの買い残は「解消売り」が出やすくなっている。9月9日がメジャーSQ(先物とオプションの特別清算指数の算出日)であるから、しばらく需給により乱高下しやすい。

◆日米市場ともにそろそろ反発しておかしくない水準まで調整してきたが、原油や商品市場の下落、140円台に加速する円安など、他のマーケットも不穏な様相を呈しているだけに、もう少し様子を見たいところだ。「休むも相場」だ。

(9月1日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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