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【通貨】為替週間見通し:下げ渋りか、地政学的リスク増大も米大幅利上げの可能性残る

米ドル/円 <日足> 「株探」多機能チャートより

【今週の概況】
■7月米雇用統計の改善を受けてリスク回避の円買い縮小

今週のドル・円は反発。ペロシ米下院議長の台湾訪問を受けた米中関係の悪化、東アジアにおける地政学的リスクの高まりを意識して、リスク回避的なドル売り・円買いが観測された。ドル・円は一時130円41銭まで売られたが、米国金利の先高観が再浮上したことからリスク回避のドル売り・円買いは縮小し、ドル・円は8月4日に134円台に反発した。

5日のニューヨーク外為市場でドル・円は133円18銭から135円50銭まで一段高となった。この日発表された7月米雇用統計は市場予想を大幅に上回り、米国の景気後退入りの可能性は低下したとの見方が広がった。米長期金利は上昇し、リスク選好的なドル買い・円売りが活発となり、ドル・円は134円98銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:130円41銭-135円50銭。

【来週の見通し】
■下げ渋りか、地政学的リスク増大も米大幅利上げの可能性残る

来週のドル・円は下げ渋りか。米下院議長の訪台をめぐる米中関係の悪化を受け、地政学的リスクの高まりを意識したドル売り・円買いが大幅に縮小する可能性は低いとみられる。ペロシ米下院議長はアジア歴訪中、台湾を訪問し、米台関係の強化を強調。中国側は内政干渉と主張し、今後米国に対する報復措置を講じる考えのようだ。日本にも何らかの影響が及ぶ可能性が高いことから、東アジアにおける地政学的リスクの増大を意識したドル売り・円買いが再び強まる可能性は残されている。

ただ、米インフレ高進の可能性が改めて示された場合、米連邦準備制度理事会(FRB)による追加利上げを期待したドル買いも見込まれる。直近の連邦公開市場委員会(FOMC)を受け、9月以降は利上げペースを緩めるとの思惑が広がっていたが、7月雇用統計の改善を受けて米長期金利は反発し、9月開催のFOMC会合で0.75ポイントの追加利上げが行われるとの観測が広がっている。8月10日発表の7月米消費者物価コア指数(CPI)は前年比+6.1%と予想されており、コアインフレ率は6月実績を上回る見通し。市場予想と一致した場合、インフレ鈍化の思惑は後退し、次回9月開催のFOMCでの0.75ポイントの追加利上げを見込んだドル買いが入りやすい。
また、CB消費者信頼感指数の先行指標とみられる8月ミシガン大学消費者信頼感指数は、7月との比較で多少の改善が見込まれており、市場予想を上回った場合、景気後退(リセッション)入りを警戒したドル売りは縮小するとみられる。

【米・7月消費者物価コア指数(CPI)】(10日発表予定)
10日発表の7月米消費者物価コア指数(CPI)は前年比+6.1%と予想される。市場予想と一致した場合、9月の0.75ポイント追加利上げを後押しする要因となろう。

【米・8月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値】(12日発表予定)
12日発表の8月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)は52.0と、7月実績をやや上回る数値が予想されている。市場予想を上回った場合、米国の景気後退入りの懸念は和らぎ、金利高・ドル高の要因となりそうだ。

予想レンジ:133円50銭-136円50銭

《FA》

 提供:フィスコ

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